5-1.新しい仕事・・・
前回のあらすじ
ゲイルは自分の目的をリーネに話したのであった。
ゲイルはリーネとの話し合いが終わった後、洞窟を光のあるほうにまっすぐ歩き外に出ていた。
外には鎧を着た兵士がたくさんいて見回りや武器の手入れなどをしていた。
これからどうするかとか考えていると俺の姿を見たカイが近づいて話しかけてきた。
「やあ、ゲイル。リーネ様との話し合いはどうだった?」
「ここに暫く居てもいいと言われた」
「それは良かったじゃないか。でもなんでそんな疑問を浮かべたような顔をしているの?」
「隠し事があるのはわかるんだが、あからさまに隠してますって態度を取られていると本当にここに居てもいいのかとか思っててな」
「ゲイルは他に行くところとかあるの?」
魔王城には居場所は無いし、ほかの所に寄ってもダリウス王の息のかかった者が俺を殺しに来るだけだしな、そう考えると。
「無いな」
「だったら次の行く所が決まるまでここにいればいいじゃないの?」
「確かにそうなんだが、なんか腑に落ちなくてな」
俺の煮え切らない態度を見たカイは、俺の悩みを解決すべく真剣に考えてくれた。
凄くいいやつだ。
「ん〜。・・・あ、そうだ。ここで仕事してリーネ様の信頼を築いたらいいんじゃないか。そうすれば隠し事も話してくれるかもよ」
「仕事か。確かにそれが一番良さそうだが、いきなり来た俺に出来るような仕事があるのか?」
「そうだね。・・・そういえばセレネが人手が欲しいって言ってたかな」
俺はその女の名前を聞くだけで喉が痙攣し始めた。
あの料理がトラウマになっているようだ。
「おい、もしかしてそのセレネってあの毒殺料理を作った女じゃ無いだろうな?」
「毒殺って、まだ一人も殺してないよ」
まだって言ったぞ。
これからあるかもしれないと思ってるぞこいつは。
「その人手ってもしかして、料理の試食とか言わないよな?」
「違うよ・・・たぶん」
カイは明後日の方向に向いて目をそらした。
「おい、目をそらすな! ・・・それしか仕事はないのか?」
「今のところはね」
俺は料理の恐怖とこの隊での信頼を築くことを天秤にかけていた。
これからの事を考えるならこの仕事を受けるしかない。
だが、あの料理だけは口にしたくないし、不味いとか本人に直接言いたくない。
できればそんな役は他のやつに任せたい。
俺は考えた。
考えに考えた結果。
「・・・わかった。やるよ」
「本当かい! ありがとう。じゃあ早速セレネの所に向かおうか」
カイは飛び跳ねて喜びステップを踏みながら洞窟に向かった。
洞窟をしばらく歩き、木製の葉っぱのマークが描かれた扉の前でカイは止まった。
「この扉の向こうにセレネが居るよ。僕は別の仕事ががあるからここでお別れだね」
カイはそういって洞窟の外に向かって走って行った。
俺は扉をノックして要件を言うことにした。
「ゲイルだ。カイから人手が欲しいって聞いたから来たんだが入ってもいいか?」
返事が無い。
もう一度ノックをするものの返事は無かった。
俺は中でセレネが倒れている可能性を考えて返事を聞かずに入ることにした。
「すまんが無理やり入るぞ」
「ちょちょ、ちょっと待って下さい!」
扉を開けたときそこにはピンク色の下着姿のセレネが立っていた。
その豊満な胸は服を着ていた時よりもボリュームがあり、思わず鼻の下が伸びてしまう。
「あ・・・」
セレネは俺を見ると顔を赤くし悲鳴を上げた。
「きゃあああああああ!」
鼻の下を伸ばしていた俺はセレネの悲鳴を聞き、冷静になって状況を分析した。
考えて、考えながらセレネを見て考えた結果、謝ることにした。
「すまない。着替え中とは思わなった。配慮が足りなかった」
「もういいですから、一回外に出て行って下さい」
俺はセレネによって扉の外に出された。
その時、憎悪に満ちた視線を感じた。
そして俺は後ろから顔に布製の袋をかぶせられて縄で簀巻きにされ別の場所に移動させられた。
所定の場所についたらしく俺の顔にかぶせられている布製の袋が取られた。
周りを見渡すと外で仕事をしていた隊の男達が俺を囲んでいた。