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4-4.どん底からの出会い

前回のあらすじ

 謎の食事を食べ気絶したゲイル

 起きた後に食事の意味を聞くとあれには回復効果があったようだ

 そんなやり取りをしているとこの隊の一番上に立つリーネに呼び出されるのであった

「次の質問いくわよ。あなたの目的を話しなさい」


 目的・・・。


 魔族のアンダーを殺すのは話してもいいだろう。


 だが、人族の王セルゲイ・ダリウスを殺すなんて言ったらここでこいつらに集中砲火を受ける可能性がある。


 ここは・・・。


「どうしたの早く答えなさい」


「・・・魔族の支配者アンダーを殺すことだ」


「鳴らないわね。嘘は言ってない。だけど視線は泳いでいたわ。これは精神的な緊張から? いや違うわね。ここまで堂々と話していたのだからあり得ないわ。すると不安もしくは警戒心があるという事・・・。つまりまだ隠し事があるという事ね」


 せ、正解だ。


 ここまでの観察眼。


 これは侮れない。


 だが、話すわけにはいかない。


 あの勇者にめちゃめちゃ苦労したんだ。


 あのレベルではないにしろそれに近いレベルの攻撃が複数から来るのはとても危険だ。


「・・・」


「なに? 答えたくないの? ・・・つまり私達に何かを隠したいのかしら」


 リーネの目に怒りがともっていた。


「さあ、早く答えなさい!」


 周りを見ると、バレッタは手を後ろに回し、臨戦態勢を整えていた。


 このまま答えなければ攻撃が始まってしまう。


 だが、ここで言ってしまっても始まってしまう。どうする・・・。


「・・・人族の王セルゲイ・ダリウスを殺すことだ!」


 俺は考えに考えた結果言うことにした。


 魔王という部分を信じないのだ。


 このことも信じることは無く、ただの異端者か精神異常者かぐらいにしか思わないだろうと考えた結果だ。


 俺はこの場から立ち上がって逃げる体制を取っていたが、バレッタは臨戦態勢を解き手を前で組んでいた。


 つまり、戦闘は避けることが出来た。そういう事だろう。


「そう。嘘じゃないみたいね。もういいわこちらからの質問は終わりよ。もう出て行って構わないわ」


 リーネはそう言ってバレッタに俺を出て行いかすように促していた。


「待ってくれ、俺はあんたの事を何も知らない。自己紹介ぐらいしてくれもいいんじゃないか?」


「私の名前はリーネ。ただのリーネよ」


 リーネは胸に手を当てて自己紹介をした。


 その胸は人並みにはあった。


「私の名前はバレッタ・ホークスです。リーネ様の秘書をやっております。以後お見知りおきを」


 バレッタは頭を下げて自己紹介をした。


 綺麗なお辞儀に一瞬見とれてしまった。


 いかんいかんそんな場合じゃない。


 今は情報を集めるのが先だ。


「ああ、よろしく。最後に一つだけ質問していいか?」


 リーネは手を顎につけて考えていた。


 考えが出たのかゲイルに返答した。


「いいわ、最後に一つだけ聞いてあげる」


「ここは何かの隊というのを聞いたんだが、ここでリーネ達は何をやっているんだ?」


「森にいる魔獣の討伐をして街を守っているのよ」


 チーン


 リーネの返答に真っ先に反応したのは嘘発見の魔道具だった。


 音が部屋に鳴り響き無言の間が続く。


 その無言の間はとても耐えがたいものだった。


 無言に耐えきれずリーネが喋りだした。


「ええそうよ。嘘よ、嘘。今の素性のわからないあなたに教えることなんて一つもないんだから」


 リーネは悪びれもせず堂々と言ってきた。


「というわけで出てってくれるかしら?」


「ああ、わかったよ。出るよ」


「あと、しばらくは滞在しても良いから」


「ありがとう。その好意に甘えさせてもらおう」


 俺は扉を開けて外に出て行った。


 ゲイルが部屋から出るのを見てリーネは机に手を伸ばしてうつぶせになった。


「行ったわね」


「そうですね」


「ねえバレッタ。この魔道具なんで私の言葉にも反応するの? 意味無いじゃない」


「質問者を固定する魔道具は高くて手が出ませんでした」


 この隊の金銭事情は火の車の状態で一日一日を過ごしていくのでやっとの状態である。


「・・・っぐ。ちなみにどれぐらい違うの?」


「ざっとその魔道具の十倍はします」


「・・・それは買えないわね」


「それよりもリーネ様、あの男をどう思われているのでしょうか?」


「さあ、今はわからないわ。彼がどう動くかを見極めて使えるようであればすべてを話すわ」


「なるほど、気に入りましたか」


「気に入ってないわよ!」


 チーン


 リーネはむきになって言ったが、その言葉は魔道具によって嘘だとバレた。


 リーネの顔は赤くなり、涙目になっていた。


「早くその魔道具をしまいなさい!」

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