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4-3.どん底からの出会い

前回のあらすじ

 満身創痍の状態のゲイル、食事だと出たよくわからない物に殺されかけられるのであった

「はっ! ここは・・・。そうか確かここで劇物のような食事を食べたんだったな」


 俺は体を伸ばそうとベットから降りた。


「ぐえ」


 足に変な温かな感触があった。


 足元を見るとそこにはカイが寝ていた。


 手元にはゲイルのバカとダイイングメッセージを書いていた。


 俺はカイを揺らして起こすことにした。


「カイ、カイ起きろ!」


「ふぇ、やあゲイル。おはよ」


「おう、おはよう。・・・じゃない! よく考えたらあんな食事する必要すらなかったんじゃないか?」


「いやいや、あの食事はゲイルに必要だったよ」


「はあぁ? 何言ってんだ。あの食事のせいで死にかけたんだぞ」


「でも現に死んでない。それに体の痛みも消えてるんじゃないかな?」


 俺は自分に巻きついている包帯を取り、体中を見渡した。


 体には傷一つ残ってないし、体を動かしても昨日のような激痛は走らなかった。


「・・・確かに。昨日の激痛が嘘のようだ」


「あの食事は食事ではないんだよ。薬なんだ。副作用として三途の川を渡りかけるけど」


 カイは明後日の方向を向いていた。


 目を合わせたくないのか?


「おい、あの食事で死んだやつとか出てないよな」


「今のところはね」


「今後増える可能性があるのか」


「・・・」


 カイは無言だった。


 こちらに向きたくないあたり、確証はできないんだろう。


 カイはその無言の間を嫌ったのか急に顔をこちらに向けて話し始めた。


「ま、あれを食べたくなかったらケガをしないようにする。これを守っていれば食べることは無い」


「なるほど! それだ!」


 俺がカイの発想に感銘を受けていると、部屋の扉が開きそこからメイド服を着たブロンドカラーの髪の女性が部屋に入ってきた。


 髪は頭の上でくくり真面目なところが出ているが、スカートの短いメイド服が真面目感をぶち壊していい感じにエロさを醸し出していた。


「失礼致します。ここで治療を受けている者、リーネ様がお呼びです」


「リーネ? 誰だそれは?」


「この隊で最も偉い人だよ」


「なるほど、そのお偉いさんが俺に何の用なんだ?」


「それは付いてきてもらえばわかります」


 俺は治療を受けた恩や、泊めてくれた恩があるので付いて行くことにした。


 部屋を出るとそこもまだ洞窟内で、洞窟の穴を利用した部屋がたくさんあった。


 そして洞窟を光の無いほうへ進んでいくと両開きの木製の扉の前にメイドさんは止まり、ノックをした。


「リーネ様、お連れ致しました」


「入って」


 扉の奥から綺麗な声が返ってきた後、メイドは扉を開き俺を通した。


 その部屋には黒いソファが二つ、壁には青白い透明な結晶で作られた直剣が飾られていた。


 大きな机の前に水晶のような輝きを放つ髪と目を持つ凛とした少女が座っていた。


 歳も俺と同じぐらいに見える。もしかして、この女の子がこの隊のトップだというのか。


「あなたがカイが拾ってきた男ね。・・・まあいいわ。とりあえず座りなさい」


 俺は目の前にあったソファに向かってそのまま腰を掛けた。


「今から私が質問するわ。嘘偽りなく答えなさい」


 リーネは机から教会の鐘を小さくしたような物を机の上に置いた。


「これは嘘を見抜く魔道具よ。嘘をつけば音を鳴らして知らせてくれるの。いいかしら、嘘はダメよ」


 嘘を付くなと念を押してきた。


 俺もさすがに馬鹿ではない。


 この場で付く嘘は今後の自分の立場を悪くするだけだ。


 嘘を付くメリットは無いが・・・。


 無いがあの魔道具というものが本物か気になる。


「まずは自己紹介からしてくれるかしら」


「ゲイル・リバスター。旅人だ」


 気になりすぎた俺は普通に嘘を付いた。


 そして、その魔道具はゲイルの言葉を聞き終わった後に鐘が鳴る。


「嘘はダメって言ったわよね? 次は・・・無いわよ」


 リーネの顔は笑顔のままだが目が笑っていなかった。


 怒らせてしまったようだ。


 これ以上嘘を付くと取り返しがつかなそうだな。


「ゲイル・リバスター。職業は・・・魔王やってます」


 俺は少し恥ずかしくなって敬語になってしまった。


 リーネは俺の自己紹介を聞き終わると鐘の魔道具を見ていた。


「バレッタ、この魔道具壊れてるんじゃないかしら?」


 バレッタと呼ばれる先ほどのメイドが答える。


「いいえリーネ様、壊れてなどおりません。最初は鳴っていたではありませんか」


「職業が魔王はおかしくないかしら?」


「魔道具も万能では無いということです。過去に心の底からそう思っている場合は音が鳴らない可能性があると報告を受けたことがあります」


「なるほど、すごいわね自称魔王。魔道具を騙すほどの思い込みを持ってるなんて」


 リーネは俺に別の意味で感心していた。


 変な特技があるという点で。


 さすがに嘘だ嘘だと言われて俺は黙っては居られなかった。


「自称じゃないから」


「はいはい、すごいね」


 リーネは子供をあやすかのように適当な返事でゲイルの言葉に反応した。


 絶対に信じてないなこれは。

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