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4-1.どん底からの出会い

前回のあらすじ

 アンダーと人族の王セルゲイ・ダリウスが裏で繋がっていた事実を知ったゲイルは両者に必ず復讐すると告げ魔王城から逃げた。だが、アンダーの攻撃により瀕死の重傷を負うのであった。

 目覚めると目の前には空ではなく岩の壁だった。


 部屋は洞窟を利用した作りになっていて一瞬牢獄かと思ったが、木製の扉が備え付けられていていつでも出られるような作りになっていた。


 どうやら牢獄ではなさそうだ。


 俺は今の状況を知るために体を動かそうと上半身を起き上がらせようとすると腹から激痛が走った。


 だが激痛に耐えながら俺は起き上がった。


 そんな時だった、扉が開き一人の男が現れた。


 その男は短髪の栗色、体は華奢だが腰には剣を携えていた。


 そして彼は人族だった。


 頭や尻尾に何もなく魔族ではないと判別できた。


 俺は痛みに悲鳴を上げている体を無理に動かして戦闘態勢を整える。


「ちょ、ちょ、ちょっとまだ無理しちゃだめだよ。傷口が開いちゃうよ」


 俺がふらついている所を見て目の前の男は近寄ってきて、俺の肩を持ち俺を支えようとした。


 優しい男だ。


 俺は臨戦態勢を解いて寝ていたベットに腰を掛けなおした。


「お前は一体何者だ?」


「そうだね。自己紹介が遅れちゃったね。僕の名はカイ・シェールストーン。次代の隊長と噂されているほどの実力さ」


 隊長クラスか。


 ということはここはダリウス王国のどこかの隊で俺を捕まえたということか。


 だが、アンダーが俺の生存を許すはずがない。


 なぜ俺は生きている。


「お前が人族ならなぜ俺を殺さない?」


「せっかく助けたのにここで殺すとか、さすがに正気を疑うよ」


 殺さないだと?


 なるほど、アンダーは俺が死んだと思っていて探す必要が無いから俺の殺害命令がここまで下りてきてないんだな。


 フフフ、この目の前の男、情報収集にはとても使えるぞ。


「次代の隊長といったな。ということはどこかの軍に所属しているのか?」


 カイは腕を組みどう伝えようか悩んでいた。


 悩んだ結果いい案が浮かんだんだろう。


 笑顔で会話を進めてきた。


「・・・今は僕の口からは伝えられないよ。君が何処の誰で敵か味方かはっきりしないこの状況ではね」


 ・・・っち。


 そこまで馬鹿ではなかったか。


 まあいい、そこそこ情報は集まった。


 この情報を使ってこの隊でしばらくはうまく立ち回らせてもらうさ。


 俺がそんなことを考えている時、部屋の扉が開き、若い女性が現れた。


 その女性の髪は腰まである長髪でふわふわの綿あめのような髪質でピンク色の髪が優しそうな雰囲気を醸し出していた。


 極めつけはその大きな胸だ。


 アンダーには大きさで負けるものの全体の彼女の雰囲気からその胸に母性を感じてしまう。


 一言で言うなら美少女である。


 その美少女は俺が起きたことに気づいた。


「あ、起きたんですか?」


 カイが美少女に返答をする


「今さっき目を覚ましたところなんだよ」


「そうだったんですか。あの、お腹とか空いてませんか?」


 お腹か・・・。


 そういえばこの世界に来てから何も食べてないな。


 そう考えていると体は正直でお腹から大きな音を立て食事を求めていた。


 俺はその美少女に返答をした。


「そうだな。くれるというなら貰おうか」


「では用意してきますね。・・・あ、カイ君もいりますか?」


「い、いや~。今はお腹が一杯で食事は入らないかな。ざ、残念だな~」


 カイはそう言いながらお腹を鳴らしていた。


 だが、美少女はその腹の音を聞こえておらずカイの言動に疑問を持つことは無かった。


 そして美少女は料理するのが嬉しいのか、はたまた世話をするのが嬉しいのかわからないがウキウキ気分で扉から外に出て行った。


 一方カイは何かにおびえるように体を震わしていた。


 何におびえているんだろうか?


「それで、彼女は一体何者なんだ?」


「そ、そういえば紹介してなかったね。彼女の名はセレネ・ワーランド。うちの隊の薬師さ。・・・あ、言っとくけど、ちょっかいとか掛けないでよね」


「・・・そういう事か。まあ安心しろよカイ。誰もお前の彼女を取ったりしないって」


 俺がそういうとカイの顔は赤くなり、思春期の男の子のように話し始めた。


「か、か、彼女って・・・。将来そうなればなとは思うけど。・・・今は違うからね!?」


「そ、そうか。・・・そういえばカイ。腹が鳴っていたようだが本当にお腹は空いてないのか?」


 俺がカイにそう指摘すると、カイの顔から汗が大量に出していた。


「空いてない、空いてない。それに患者より先に食べるなんてそんな恐ろし・・・じゃなくて可哀そうなこと出来ないよ」


 ん? こいつ今なんて言った?


「恐ろしい?」


「言ってない」


 カイの顔はこわばっていた。


 笑顔を振りまくも嘘くさく見える。


 お腹が減る事がそんなに恥ずかしいことなのか?


「そういえば僕は自己紹介したけど君の自己紹介は聞いてないよね。教えてくれないかな?」


「俺の名前はゲイル・リバスター」


「そうかゲイル。いい名前だ。あ、呼び捨てでいいよね?」


「そうだな。俺もカイの事を呼び捨てるにしてるしな」


 カイとは年も近そうだし今後も仲良くできそうだ。それにこいつは馬鹿だから色々聞けそうだ。

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