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3.アンダーの思惑

前回のあらすじ

 ゲイル・リバスターは襲い来る危機(勇者一行)を返り討ちにした

 そう考えながらゲイルはアンダーの元に足を運んでいた。


 場所はわからないけど色々部屋を歩き回れば見つかるだろう


 色々散策しているとアンダーの声が部屋から聞こえてきた。


 そして俺は扉に耳を傾け聞き耳を立てていた。


「次の召喚は来月あたりにしようかと思っているわ」


「わかった。それでは次の召喚までにはこちらも勇者を用意しておこう」


 知らない男の声が混じっていた。


 だが会話内容からアンダーが人族と組んでいる。


 そう判断できた。


 だが、話し合わないとわからないこともあるだろう。


 なので部屋の扉を開けて報告することにした。


「よう、アンダー。依頼通り勇者は殺したぜ」


 その言葉を聞いたアンダーは、一瞬表情が暗くなったが、いつも通りの笑顔を戻しゲイルに返事をした。


「さ、流石は魔王様。信じておりました」


「それで、さっきまで話していたのは誰なんだ?」


「そ、それは、ほら下の者からの報告ですよ。最近何かと忙しいもので・・・」


 アンダーの言葉にはこの場をなんとかしようしているだけの薄っぺらい言葉に聞こえた。


「次の召喚とか聞こえてきたんだが。もう俺は用済みと言うことなのか?」


 アンダーの顔から笑顔がすっと消えた。


「・・・そこまで聞いていたのですね。せっかく楽に終わらそうとしていたのですが、失敗しました」


 アンダーは肩を落として大きなため息を吐いた。


 失敗だと?


 人を呼んでおいて用済みになったら捨てて次の奴を呼ぶだと?


 ふざけているのかこいつは。


「何のためにこんな事をしている」


「初代魔王様を復活させるためよ」


「復活だと・・・。その為に異世界から人を呼び寄せているのか。そんなんで初代魔王とやらが復活するわけないだろ!」


 俺はあまりにも馬鹿げた思想に苛立ち大きな声を上げていた。


 俺らしくない。


「復活しますよ! 魔王様は今も世界の理に従い輪廻転生を繰り返しています。その魂が転生する前に私の元に体と共に呼び出す事で復活させる事が出来るのよ!」


「その魂が初代魔王じゃなかったら、召喚体を殺して別の人間を召喚するつもりか!」


「その通りよ。魔王様が出るまで続けるわ」


 狂ってるなこいつは。


 ここで始末をつけないと俺が危ないな。


 俺は右手を後ろに回し、腰にある拳銃を抜く体勢を整えていた。


 そんな中、俺とアンダーの会話を遮るようにさっきの男の声が会話に割り込んできた。


「そろそろ話をさせて貰ってもいいかね、アンダー君」


 その声はアンダーの後ろにあった四角い枠から発せられていた。


 その四角い枠にはどこかの部屋で座っている茶髪で髭の生えた貫禄のある男が映っていた。


 さながらテレビ電話の様だった。


「あら、これはこれはお待たせして申し訳ありません。ダリウス様」


「お前は何者だ!」


「何者だと? そういえば君には自己紹介はまだだったな。私の名前はセルゲイ・ダリウス。すべての人族を束ねるダリウス王国の王だ」


 人族の王だと・・・、つまり勇者の言う事は正しかったのか。


「人族と組んでいるというのは本当だったんだな」


「そういえばアンダー君、勇者と魔王の戦いの結果はどうなったのだ?」


 どうなったって、俺がここにいる時点で魔王の勝利以外ないだろ!


「はい、ダリウス様。確か、激闘の末に両者相打ちだったと記憶しております」


「では、そこにいるのは王との会談に踏み込んだ不届き者ということになるな」


「ええ、そうなりますね。・・・ダリウス王、この不届き者には死がふさわしいと考えておりますが、いかがでしょう?」


「いいだろう。会談はその不届き者が死んだ後にするとしよう」


「ありがとうございます」


 四角い枠は消え、男の声もしなくなった。


「・・・というわけで、あなたはもう用済みです。死んでくれませんか?」


「ふん。お断りだ。それよりも追加報酬をもらおうか」


「欲しがりサンですね。それでは、私からの追加報酬はあなたの安らかな死をプレゼントいたしましょう」


 アンダーは、手を前に出した。


 アンダーの手からは文字が書かれた青白い帯が出現し円を描きながら宙を舞っていた。


魔神弾(デビルバレット)


 アンダーが魔法名を言うと、青白い帯の中心から巨大な魔力の塊が高速で発射された。


 そして、その魔神弾はゲイルに向かって行き、直撃した。直撃した場所は煙が舞い、何も見えなかった。


 アンダーは終わったと思い手を下ろした。


 だが、煙が晴れるとそこには無傷のゲイルが立っていた。


「違うぞ! 俺の求める報酬、それは・・・お前の命だ!」


 ゲイルの左手には勇者が持っていた断罪剣ヴァルカンザードが握られていた。


「その武器は・・・! 死体漁りは傭兵の趣味なんですか?」


 アンダーの顔から冷や汗がこぼれ落ちる。


「使えるものは使う。これは師匠に教えてもらった生きるすべの一つ。だからこうして今も生きている」


「これで勝ったつもりですか。私がその武器の弱点を知らないとでも思っているのですか?」


「やはり弱点を知っていたか・・・だが」


 俺は腰のホルスターから拳銃を取り出しアンダーにその銃口を向けた。


「そんな武器でこの私を倒せるとでも言うのかしら。笑わせてくれますね」


「この武器で俺は勇者を殺したんだぞ。お前を殺せない道理は無い!」


「ただの人間ならそれで死ぬでしょう。でも私は魔族、そこら辺にいる柔な者たちとは格が違うのですよ」


「やってみなければわからないだろ!」


「・・・いいでしょう。その武器の力、受けてあげます」


 アンダーは両手を横に出し無防備をゲイルを晒した。


 流石にゲイルはこのアンダーの余裕の表情や態度から警戒せざる終えなかった。


 この余裕、本当に効かない可能性があるな。


 弾も残り6発、殺せる確証が無いまま戦うなのは無謀だな。


 俺は部屋の窓に飛び込み逃げる選択をした。


 外は海が広がっていて魔族達が住む場所は孤島だったという事に今気づいた。


 落ちていく中、周りを見渡し移動する場所を探していた。


 見渡すと目に見える場所に人が住んでいるであろう街が見える。


 だが街に潜り込むのは危険だ。


 ダリウス王が何をしてくるかわからないからな。


 俺は別の場所を探していた時、遠くだが森が見えた。


 サバイバルの知識と経験はある。


 逃げるなら森だ。


飛翔(フライ)!」


 落ちていく自身を魔法によって上空に飛び上がり遠くに見える対岸の森に向かう事にした。


「こんな好機を捨てて逃げるのですか?」


「今はお前を殺すには情報が少なすぎる。だから、この武器を使うには割り合わなかっただけだ。だが、いつか必ずお前の命はもらい受ける」


「逃がすと思っているのですか?」


「逃げ切るさ。必ず」


 俺は全速力で森に向かう。


 そんな俺を逃がさないようにアンダーは魔法帯を再び組んだ。


念動操作(サイコキネシス)


 魔王城から大きな塊が飛んできた。


「所詮魔力で作った物だろ! この断罪剣ヴァルカンザードで消しやるよ」


 俺は飛んできた大きな塊に対して左手で持っていた断罪剣ヴァルカンザードで斬りつけた。


 魔法に対しては絶対の力を持つこの武器を相手に魔法など食うわけがない。


 たが、そんな慢心はすぐに打ち砕かれた。


「・・・っ、消えないだと!?」


 大きな塊は魔力で作られていなかったのだ。


 剣は弾かれ大きく仰け反ってしまう。


「その岩は魔法で作った物ではないの。念動操作(サイコキネシス)、これは周りの物を浮かせる魔法。でもね、使い方によっては城の床を引き抜いて投げることも可能になるのです」


 さっき飛ばしてきた塊は魔王城の一部だった。


「断罪剣ヴァルカンザードの弱点は、魔法を使わない攻撃にはただの剣と変わらないという事ですよ」


 仰け反った俺に非常にも次の塊が迫ってきていた。


「しま・・・」


 俺はその塊を避け切ることが出来ず、塊の勢いに捕まり、対岸の森に岩と共に勢いよく衝突した。


 衝突した瞬間に肋骨が折れる音がし、口から血が吐き出た。


 俺は激痛と遠のく意識に恐怖し死を覚悟した。


 痛みに耐え意識を保っていたが痛みに耐えかね意識を失った。

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