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2-6.勇者戦

前回のあらすじ

 勇者一行の一人リア・フェールネンドによって勇者は蘇っていた。ただ、その代償としてリアは死んでしまったのであった

 ゲイルは銃を勇者に向けて撃とうとした時、勇者は立ち上がった。


「仲間の死は・・・無駄じゃない!!」


突然勇者が振り返ってゲイルのいる方向に剣を持って突進してきた。


 だが、この突進してくること自体をゲイルは待ち望んでいたのだ。


 そう、勇者が無謀に突っ込んでくるこの瞬間を。


「待っていたぞ、怒りに身を任せて突っ込んでくることを!」


「僕の心は今、怒りに支配されている。だが、頭の冷静さは失っていない!」


 勇者がただ突っ込んでくる。


 この瞬間を待ち望んでいた。


 だが、狙いを定めるより早く勇者はゲイルとの距離詰めていた。


「・・・っ、速い」


 距離を詰めてきた勇者は剣を横に振った。


 ゲイルはその攻撃を後ろに下がってギリギリ避けた。


「魔王!! お前のその武器のカラクリは分かっているぞ!」


 勇者は、後ろに下がったゲイルを追い、瞬間的にゲイルとの距離を詰め、自分の剣の間合いにゲイルを入れた。


「一定の距離が無ければその武器は使えないんだろ!」


 勇者はまたもゲイルに剣を振るう、だがゲイルは逃げに徹しているため当たらない。


「違うぞ勇者。この武器に距離は関係ない」


「ならなぜその武器を使わない!」


 何故って、その鎧が弾を跳ね返す仕様だったら元も子もないからだ。


 異世界に来ているんだ、警戒は必要だろ。


 だがそんな事は言えるはずもなく。


「教えるつもりは無いな」


 ゲイルは勢いよく後ろに下がり、部屋全体に無数の魔法陣を作り出した。


迷いの霧(ディザーフォッグ)


 ゲイルが作り出した魔法陣から白い霧が出てきた。


 その霧は部屋全体を包み込み、視界には白い靄しか映らなくなっていた。


「目くらましのつもりか! だがこんなものなんの意味もないぞ!」


 勇者が剣を横に振るうと霧が晴れていった。


 霧自体魔力で作られているため勇者の剣に触れれば霧は霧散して消えていく。


 だが、霧が晴れた時、勇者には衝撃の場面が待ち構えていた。


「魔王が増えた・・・だと」


 そう、ゲイルが増えていた。


 部屋には20人のゲイルが色んな所に居た。


 その20人のゲイルは銃を片手に持ち勇者に狙いを付けていた。


幻想投影(ヴィジョン)。俺の姿を魔法陣の上に映し出す魔法だ。果たしてお前は本物の俺を見つけることが出来るかな?」


 そうゲイルが喋ると部屋に居る全てのゲイルも同じように喋っていた。


「なるほど。本物の魔王を探している間にその武器を使える隙を作ろうというのか。だが、お前がその武器を使えるだけの隙が出来るかな」


 勇者は目にも留まらぬ速さで19人ゲイルを斬っていた。


 速すぎるだろ!?


 部屋の端から端まで配置していたはずなのに!


 まともに戦っていたらまず勝てないだろうな。


「どうだ魔王! 武器が使える隙があったか?」


 勇者は最後のゲイルにそう言い、ゲイルに向かって突進していった。


 だが、これは計算の内。


 勇者とゲイルの位置関係は直進、つまり突進してくるよりも引き金を引く方が早いと言う事。


 つまり勝ちだ。


「ああ。あったよ。今という瞬間さ!」


 だが、勇者はゲイルの予想を遥かに超えていた。


 ゲイルが引き金を引くより早く勇者はゲイルの胸元まで詰めていた。


「取った!」


 そして、勇者はゲイルの前で立ち止まり、剣を大きく振りかぶってゲイルの肩から腰にかけて切り裂いた。


 勇者に喜びの感情が湧いてきた。


 かなりの苦戦を強いられたのだ。


 その喜びは目の前が見えなくなるほどのものだった。


「いいや、お前は取ってないさ」


 死んだはずのゲイルの声が聞こえた後、銃声が部屋全体に轟いていた。


「な・・・なん・・・で・・・」


 勇者は、再び銃弾が頭に直撃し死んだ。


 ゲイルの姿は銃を撃った後何もなかった所から姿を現した。


屈折する現実(リフレクション)。光の屈折を利用し術者自身の存在の見えなくする魔法さ。ただ弱点としては一歩も動けない所だ。動くと屈折した光が変な曲がり方をして魔法が破綻して効果が切れる」


 聞いていない勇者に丁寧に弱点まで教えてあげていた。


「勇者。お前は俺を見ているようで見てなかったのさ」


 そうして俺は勇者に勝った。


 使える物は全て使った。


 本当は勝つ事は不可能だっただろう。


 なにせ相手は魔王特効武器を持っていたのだからな。


 だが、俺も勇者特効武器を持っていた。


 勝敗はその武器の使い方、決定打で俺が勝っていた。


 ただそれだけだ。


 何か一つでも違っていたらあそこに倒れているは俺だったわけだ。

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