表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生内親王は上医を目指す  作者: 佐藤庵
第60章 1916(明治49)年霜降~1916(大正元)年冬至
508/799

大喪儀は忙しい!

※新イスラエルのことをすっかり忘れていたので書き加えました。申し訳ありません。(2022年11月6日)

 1916(大正元)年11月22日水曜日午前10時10分、皇居・表御座所。

「……という訳で、先ほど、オーストリア大使からは、斂葬(れんそう)にはオーストリア皇族は参列しないと、正式に連絡がございました」

 天皇の執務室・御学問所。宮内大臣兼大喪使(たいそうし)副総裁の山縣さんは、兄に(うやうや)しく報告した。

「そうか……」

 執務机の前にある椅子に座った兄は、山縣さんに向かって頷いた。兄の顔には、明らかに安堵の色が浮かんでいる。……無理はない。もし、オーストリアの最初の連絡通り、フランツ皇太子が……いや、フランツ2世がお父様(おもうさま)の斂葬に参列するならば、大変なことになっていたのだから。

 8日前の11月14日、お父様(おもうさま)の斂葬……一般のお葬式の本葬にあたるような儀式が、来月の22日から24日にかけて行われることが正式に発表された。日本に大使館や公使館を置いている全ての国から、代表者を参列させるという通告が外務省と宮内省にあったのだけれど、ここで問題が発生した。日本側の想定以上に、外国の高貴な方々が斂葬への参列を希望したのである。

 まず、日本の同盟国であるイギリスからは、コンノート公のご子息・アーサー殿下がイギリス国王の名代として参列することになった。イギリスの現国王・ジョージ5世の従弟である彼は、斂葬に参列するだけではなく、日本の新しい元首となった兄にガーター勲章を奉呈する予定だ。イギリスと同じく、日本と同盟を結ぶ清からも、皇族中の重鎮である(しゅく)親王・善耆(ぜんき)殿下が、光緒帝(こうしょてい)の名代として参列することになった。

 また、ハワイ王国からもカハレポウリ殿下が、リリウオカラニ女王の名代として参列する。更には、ドイツからも皇帝・ヴィルヘルム2世の弟であるハインリヒ殿下が皇帝名代として参列するし、スペインからも国王・アルフォンソ13世の名代として、アルフォンソ・デ・オルレアンス殿下が参列すると通告があった。つまり、お父様(おもうさま)の斂葬の時期に、世界5か国の皇帝・国王の名代が日本に滞在することになったのである。

 もちろん、世界各国の要人がこんなに多く日本に集まったことは今までに無い。このため、特使の接待を担当する大喪使の総務部は、様々な問題に頭を悩ませることになった。しかも、オーストリアからも皇太子が斂葬に参列すると連絡されたので、大喪使総務部は、宿舎の調整や各国の席次の調整などで異様な緊張状態に置かれていたのだ。

 ところが、昨日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世が肺炎で亡くなった。抗生物質も投与されたということだったけれど、効果が出る前に生命力の限界を迎えてしまったようだ。フランツ・ヨーゼフ1世の崩御を受け、フランツ皇太子はフランツ2世として皇帝に即位したので、本国から動けなくなった。このため、お父様(おもうさま)の斂葬には、オーストリア=ハンガリー帝国の特使として、皇族ではなく、駐日大使が参列することになったのである。

「妥当なところに落ち着いたのかな」

 袖机のそばの椅子に座っていた私は、ほっと息をついた。「大体、同盟国でもないのに皇太子が来るという話がおかしかったのよ。イギリスと清だって、日本に派遣する皇族は皇位継承順位が低い人なのに……」

「まぁ、梨花がオーストリアに来られなかったから、お父様(おもうさま)の斂葬にかこつけて自分が日本に行こうと考えたのだろうが……自分が即位することになれば、そういう訳にもいかないな」

 苦笑いを浮かべて言った兄に、「さようで」と、御学問所の隅に控えていた大山さんが深く頷く。そして、彼は私に微笑を向けると、

「梨花さまも罪作りでございますなぁ」

とのんびりと言った。

「迷惑だわ。私には夫がいるのよ」

 私は吐き捨てるように呟いてから、

「けれど……フランツ陛下が来日しないということは、特使の宿舎問題、これで解決するのかしら?」

非常に有能で経験豊富な我が臣下に確認した。

「確かに、解決いたします」

 大山さんは微笑を崩さずに答えた。「外国の皇族・王族にお泊りいただける宿舎は、この東京市の場合、芝区の芝離宮か京橋区の浜離宮、もしくは、西洋館を備えている宮家の屋敷しかありません。市内に西洋館を持つ宮家は、伏見宮(ふしみのみや)家・有栖川宮(ありすがわのみや)家・北白川宮(きたしらかわのみや)家の3家。これで皇族・王族用の宿舎は合計5か所となりますから、イギリス・清・ハワイ・ドイツ・スペイン……この5か国で1か所ずつ使用できます」

「なるほど。どの国にどの宿舎を割り当てるかは考えなければならないが、宿舎が不足することは無くなった、と……」

 兄が手元の紙にメモを取りながら言った。「フランスとアメリカと新イスラエルが、駐日大使とは別に大統領特使を派遣するということだが、その3か国の特使の宿舎には、空いている宮内大臣官邸と文部大臣官邸と内務大臣官邸を使う。あとの国は全て、駐日大使や公使が特使に任命されて、斂葬に参列するということだったから……うん、何とかなったか」

 一通り紙に文章を書き付けると、兄は鉛筆を机に置き、大きく息を吐いた。

「しかし、こんなに大勢の皇族や王族が日本を同時に訪れるとは思っていなかった。……交通機関が梨花の時代ほど発達していない今ですら、この騒ぎだ。未来に行われる即位礼や大喪儀は、もっと大変な騒ぎになるのだろうな」

「大変なことになったみたいだよ。世界中から大統領や国王が参列したって、前世のじーちゃんから聞いた。前世の私が生まれる数年前のことだから、私もこれ以上のことは知らないけど」

 これ以上、突っ込まれた質問がされないことを願いながら、私は兄に笑顔で答えた。これで兄が、「“史実”の裕仁(ひろひと)の即位礼はどうだったのだ?」などと質問すれば、それに答えていく過程で、“史実”の昭和時代がいつ始まったか……つまり、兄は“史実”でいつ亡くなったかを兄に答えなければならなくなるかもしれない。それは避けなければならないのだ。幸い、私の願いが通じたのか、

「そうか。そうなると、世界各国の要人の宿舎が、離宮や皇族の屋敷だけで賄えるとは思えないが……」

兄の思考は、私の恐れていた方向とは別の方角へと向かった。

「たぶん、ホテルに泊まったんだと思うよ。東京だけでも、ホテルはたくさんあったから。それこそ、今以上にね」

「ふむ。しかし、外国要人が宿泊できるようなホテルを建設するのは、今は難しいな」

「関東大震災があるからね。震災の後に、復興事業の一環として建設する方が、経済効果が高くなるんじゃないかな」

 私は考え込んだ兄に微笑みかけた。1923年9月1日午前11時58分……つまり、あと7年もしないうちに、関東大震災が発生する。地震そのものが消えてなくなってしまえばいいのだけれど、私の時代でもそんなことは不可能だ。発生の日付と時間が分かっているだけ幸運なのだと思って、被害を抑えるためにできることをするしかない。

「外国要人を多数受け入れられるようなホテルの建設は、震災復興後の課題の1つという訳だな」

 兄はこう言って頷くと、

「だが、まずは大喪儀だ。何とかしてやり果せなければ、お父様(おもうさま)に笑われてしまう」

と言いながら苦笑した。

「そうね。1つ1つ片付けていかないと」

 未来のことを考えるのも大事だ。けれど、目前の課題も片付けなければならない。

(未来の課題と現在の課題、バランスを取るのは難しいわねぇ……)

 軽くため息をついた私は、

「では山縣さん、次のご報告、お願いしますね」

気を取り直して、山縣さんに微笑を向けた。


「では、大喪使の業務の進捗につき、ご報告申し上げます」

 山縣さんは兄に一礼すると、手際よく全体の説明を始めた。

 まず、お父様(おもうさま)の大喪儀は、以下のようなスケジュールで行われることになっている。


 11月8日(水)拝訣(はいけつ)御船入(おふないり)

 11月16日(木)大行天皇十日祭

 11月19日(日)陵所地鎮祭

 11月21日(火)殯宮(ひんきゅう)移御(いぎょ)の儀・殯宮移御後櫬殿(しんでん)祓除(ばつじょ)の儀

 11月22日(水)殯宮移御翌日祭


 ……“櫬殿”とは遺体の仮の安置場所、“殯宮”とは、斂葬までの間、遺体を安置する御殿のことだ。お父様(おもうさま)の場合は、奥御座所のお父様(おもうさま)の居間が櫬殿、表御殿の正殿が殯宮になる。ここまでの儀式と、26日の殯宮二十日祭、来月4日の追号奉告の儀、来月6日の殯宮三十日祭、来月16日の殯宮四十日祭は、祭官長に任命された鷹司(たかつかさ)煕通(ひろみち)さん以下、儀式を担当する祭官さんたちの指示に従っているだけでいいから、頭は使わなくていい分、まだ楽だ。

 問題はこの先である。特に、斂葬の数日前、外国からの特使が日本に到着するころから、大喪儀の儀式も、それに伴う外交も、頻度と密度がとんでもなく増していくのだ。

 斂葬の儀が始まる4日前、12月18日以降の、兄を中心としたスケジュールは、今のところ、次のようになっている。


 12月18日(月)

  午前11時30分に、ドイツのハインリヒ殿下を新橋駅で出迎える

  午後3時に、ハワイのカハレポウリ殿下を新橋駅で出迎える


 12月19日(火)

  午前9時30分に、スペインのアルフォンソ・デ・オルレアンス殿下を新橋駅で出迎える

  午前11時30分に、清の善耆殿下を新橋駅で出迎える

  午後3時に、イギリスのアーサー殿下を新橋駅で出迎える


 12月20日(水)

  午前10時から、参内してきた各国特使を皇居で引見し、その後昼食会(参加国はドイツ・スペイン・アメリカなど)

  午後2時30分から、ハインリヒ殿下とアルフォンソ・デ・オルレアンス殿下を宿舎に答礼のため訪問


 12月21日(木)

  午前10時から、参内してきた各国特使を皇居で引見し、その後昼食会(参加国はイギリス・フランス・清・ハワイ・新イスラエルなど)

  午後2時30分から、アーサー殿下、善耆殿下、カハレポウリ殿下を宿舎に答礼のため訪問


 12月22日(金)

  午前6時 霊代(れいだい)奉安の儀

  午前7時 斂葬当日殯宮祭

  午後7時 轜車(じしゃ)発引(はついん)の儀(※轜車とは、棺を載せて運ぶ車)

  午後8時 轜車が正門から出発するのを見送った後、馬車で葬場殿の儀が行われる青山練兵場へ移動

  午後11時ごろ 青山練兵場で葬場殿の儀開始


 12月23日(土)

  午前2時 霊柩列車が青山練兵場に設けられた青山仮停車場を発車

  午前2時10分 御召列車が青山仮停車場発車

  午後4時40分 御召列車が桃山駅到着

  午後5時10分 霊柩列車が桃山駅到着。その後葬列を組んで陵所に向かい、翌朝にかけて埋葬


 12月24日(日)

  午前10時 斂葬翌日山陵祭

  午後0時30分 新橋行きの御召列車が桃山駅発車


 12月25日(月)

  午前5時 御召列車が新橋駅に到着


 ……とりあえず、私が把握しているだけで、斂葬近辺の兄のスケジュールはこれだけある。天皇の大喪儀というものは、本当に大変で忙しいものなのだ。

「青山練兵場の葬場殿、桃山の山陵、ともに建設作業は順調です。青山の仮停車場の設置と桃山駅の拡張、その他、霊柩車や轜車の製造も進んでおります。斂葬当日には完成するでしょう。また、昨日、浜口が臨時議会に提出する予算案を完成させました。予算総額は約150万円です」

 山縣さんが兄に報告すると、

「先ほど、予算案を拝見させていただきましたが、流石、浜口ですな。今回の予算案は、貴衆両院ともに議事もなく、全会一致で可決いたしますが、だからと言って、手を抜いている訳ではないようです」

大山さんが横から付け足して満足そうに微笑んだ。帝国議会の臨時会は、8日後の11月30日に召集されることになった。召集の目的はただ1つ、お父様(おもうさま)の大喪儀に関する追加の国家予算を成立させるためだ。梨花会の根回しにより、既に与党・立憲改進党と野党・立憲自由党は追加予算案に賛成することになっている。貴族院の無所属議員の動向が少しだけ気がかりだけれど、無所属議員のまとめ役を務めている鷹司さんが、大喪儀の祭官長になっているから、予算案に反対して、鷹司さんの顔に泥を塗るようなことはしないだろう。

「これから、フランツ・ヨーゼフ1世陛下の弔電も準備しなければならない。それに、斂葬の前に、裕仁(ひろひと)に大勲位を授けなければならない。……色々とやることはあるが、粛々とやっていくしかないな」

 軽く頷いた兄に、

「ところで、1つ、確認させていただきたいことがございまして……」

山縣さんはこう前置きをすると、

「各国の特使との離別の宴の初日は、12月25日でよろしいでしょうか?」

とお伺いを立てた。

「うん、それで構わない」

「い、いや、それダメだよ、兄上!」

 首を縦に振ってしまった兄を、私は全力で制止した。

「ん?どうしてだ?」

 のんびりと尋ねた兄を、

「あのさあ、斂葬の前後の予定、ちゃんと分かって言っているの?!」

私は軽く睨みつけた。

「分かって言っているぞ?」

「いいや、分かってないね」

 私は兄を睨みつけたまま、袖机の上に置いてあるスケジュール帳を開き、来月の予定を改めて確認した。

「公務が立て続けにある上に、22日は朝から儀式があって、それが深夜まで続く。23日も、夕方に桃山に着いた後は、埋葬が終わる次の日の朝まで徹夜でしょ。列車の中で多少は休めるかもしれないけれど、途中で駅に停車すれば、ホームで待っている人たちに会釈しないといけないからゆっくりはできない。そんな状態で25日の朝に東京に戻って、そのまま離別の宴に出るなんて、過労死まっしぐらじゃないの!帰る途中、静岡か沼津で1泊するべきよ!」

 スケジュール帳に書き込んだ予定を指さしながら兄に訴えたけれど、

「それはダメだ。のろのろと戻ってしまえば、俺と節子(さだこ)の警備で、沿道の町に余計な出費を強いることになるぞ」

兄は私にこう反論して渋い顔をする。

「兄上が過労で倒れる方がお金の無駄だってば!」

 カッとなってしまった私は、椅子から立ち上がりながら、兄に怒鳴り声を叩きつけた。「それに、25日はクリスマスよ!各国から来た特使の人たちも、自分の国の人とクリスマスをゆっくり過ごしたいと思うわ!だったら、特使の人たちとの離別の宴も、26日からの方がいいんじゃない?!」

 私の言葉を、兄は渋い顔のままでじっと聞いていたけれど、やがて、

「……仕方がない。山縣大臣、梨花の言う通りに調整してくれないか」

ため息を吐き出すと、山縣さんにこう命じた。

「かしこまりました。では、桃山からの帰京は25日の午前5時で変えませんが、各国の特使との離別の宴は26日と27日の両日に分けて行い、28日にガーター勲章の奉呈とアーサー殿下との昼食会、29日に渋沢どの以下、閣僚たちとの昼食会……このような予定に致しましょう」

 山縣さんが兄に最敬礼した途端、御学問所の隅に控えている大山さんがクスクス笑い始めた。

「大山さん、何がおかしいの!」

 私は自分の秘書官長を睨んだ。「もし兄上がこの過密スケジュールで倒れたら、国政が滞るわよ!それに、万が一、兄上が、兄上が……」

「在りし日の、大行天皇と梨花さまのやり取りを思い出したのでございますよ」

 目を怒らせる私を、大山さんは優しい瞳でじっと見つめた。「大行天皇は、休養をお取りになることが大のお嫌いで、避暑に行きたくないとごねられるたびに、梨花さまに叱られておいででした。その光景が、陛下と梨花さまの今のやり取りと重なりまして……」

 そう言うと大山さんは、優しくて暖かい瞳を、今度は兄に向けた。

「陛下、ご公務を国民の迷惑にならぬように行われようとするご姿勢は、この大山、感服致しているところでございます。しかしながら、迷惑を掛けぬようにとなさる余り、お身体に負担を掛け、ご体調を崩すことになってしまえば、かえって国民に大きな迷惑を掛けます。どうか、ご体調を崩さないことにも、ご留意いただければと思います」

「む……」

 大山さんが最敬礼すると、兄は軽く顔をしかめ、

「……まさか、梨花に説教されていた時のお父様(おもうさま)の気持ちが分かるようになってしまったとは」

と言って、大きく肩を落とした。

「職務に真摯に取り組もうとする為政者に共通する感情なのかもしれません」

 山縣さんが苦笑いして兄に応じる。「しかし、内府殿下のおっしゃる通り、ご無理を重ねた結果、玉体が損なわれてしまっては意味がありません」

「分かった。これからは留意しよう」

 素直に頷いた兄は、私に目を向けると、

「……うん、やはり、梨花は俺のそばにいてくれなくては困るな」

と、穏やかな口調で言った。

「奥侍従長や梨花会の面々も、俺に非があると思えば、俺を忌憚なく止めてくれる。しかし、俺を一番遠慮なく諌めてくれるのは梨花だ。お前が俺のそばにいてくれて、俺は本当に嬉しいよ」

「兄上……」

 そんな風に思ってくれるなんて私も嬉しい。そう言おうとした瞬間、

「……まぁ、少し過保護なのではないかと思うこともあるのだが」

兄は余計な一言を付け加えてしまった。

「ちょっと!」

 大山さんと山縣さんが、同時に笑い出す。その様子を見ていた兄も、つられたのか、クスっと笑う。その兄の笑顔を見たら、文句を言ってやろうという気持ちが失せてしまい、私は大きく息を吐いた。

「……まぁ、いいけどさ。私、これからも懲りずに、兄上が無茶しようとしたら止めるからね。もちろん、兄上の仕事は全力で助けるけど」

「分かっているよ。……これからも頼むぞ、梨花」

 兄は私に微笑んだ。その微笑みは、お父様(おもうさま)が亡くなってから、一番穏やかで、一番くつろいだ微笑みだった。

※実際の明治天皇の大喪儀では御召列車は走っていません。ダイヤは実際の「霊柩列車」「第1供奉列車」のものを参照しています。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 関東大震災は1905年辺りで大森・今村論争が起こったのを起点に働きかけしてても梨花会ならさもありなんと思えて不思議な感覚だ。
[一言] 交通事情はわかるけど、なんでこの日程でスケジュール組んだんでしょうね?当時の日本。なんでクリスマス・ミサにもろぶつけたんでしょーか……
[一言] 1国足りない 新イスラエル共和国の大統領が押し掛けて来ないなんて、考えられないんですが。建国の経緯からしてもまず間違いなく、トップが来るでしょ。毒されてるし(ボソッ) 食材確保と料理人 史実…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ