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転生内親王は上医を目指す  作者: 佐藤庵
第34章 1903(明治36)年霜降~1904(明治37)年立春
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元山事件

 1904(明治37)年2月8日月曜日、午後1時半。

「お呼び立てして申し訳ありませんでした、宮さま」

 私が京橋区築地四丁目にある国軍軍医学校の玄関を出ると、青い和服に海老茶色の女袴を付けた千夏(ちなつ)さんと、黒いフロックコートを着た東條(とうじょう)さんが立っていて、上下白の制服を着た私に同時に頭を下げた。

「手術中かもしれないのは存じ上げていたのですが……」

「しょうがない、参内が優先です」

 私は千夏さんに答えると、大きなため息をついた。

 国軍軍医学校の敷地には、東京で一番大きな国軍病院が併設されている。実習日である今日は、朝1番から始まった胃切除の手術に、第2助手として参加させてもらっていた。今生で5回目の胃の手術の助手だったこともあり、

――今日は、殿下に手術創の皮膚縫合をやっていただきましょうか。

と術者の先生に、手術開始早々に言われた。

(よっしゃー!)

 手足についた数cmの長さの傷なら、実習中に何回か縫合させてもらったことがある。けれど、胃切除の時につける創の長さはもっと長い。患者さんの身体の大きさにはよるけれど、20cm前後にはなるだろうか。

(ふふふ……縫合の練習の成果、存分に発揮するぞ!)

 いつもより気合を入れて第2助手としての仕事をしていたら、もう少しで創を閉じ始めるというところで、“急ぎ参内を”と呼び出されてしまったのだ。

(もうちょっとで、皮膚縫合をさせてもらえそうだったのに……ああ悔しい。しかも、昼ごはんも食べ損ねたから、どこかでご飯を食べる隙を見つけなきゃなぁ……)

 迎えに来た馬車に乗り込むと、手術が終わった後に食べようと思っていたお弁当の包みを横に置く。向かい側の座席に千夏さんと東條さんが座ると、馬車は皇居に向かって走り出した。

「何で参内しなきゃいけないかは、千夏さんも聞いてないですよね?」

「残念ながら……」

 千夏さんが、私の質問に首を横に振った。

「東條さんも、何も聞いてないですよね?」

 私が確認すると、東條さんは緊張した表情で、壊れた首振り人形のように頭を上下に何度も振った。

「何とか言いなさい、東條くん」

 先輩の言葉にも、東條さんはこわばった表情のまま反応しない。

「怒ったらダメですよ、千夏さん」

 眼を怒らせている乳母子を私はたしなめた。「私と同じ馬車に乗れるようになっただけでも大進歩です。青山御殿に来たばかりのころは、私から10mは離れようとしていたじゃないですか」

 就職当初は、極力私を避けていた東條さんだけれど、千夏さんの指導の効果があったのか、それとも、本人が私に慣れてきたからなのか、ようやく、私から2mくらい離れれば普通に会話が出来るまでになった。お掃除や庭仕事もそこそこ出来るけれど、特に物品の管理や会計などの事務仕事が得意なようで、別館の方に控えている職員さんたちも彼のことを褒めている。

「宮さま、千夏は頑張って、東條くんを一人前にしてみせます」

 緊張する東條さんの隣で、千夏さんはこう意気込んでいる。

「せめて、宮さまの剣のお相手が務められるようにしなければ」

 千夏さんが右の拳を握りしめた瞬間、東條さんの身体がビクッと震えた。……これはまだ、私の剣道の相手をするのは無理そうだ。

「千夏さん、余り東條さんに負担を掛けないようにしてね。負担を掛け過ぎると、人間、壊れてしまいますから。千夏さんもあまり無理しちゃダメですよ」

 そんなことを話していると、馬車はいつの間にか、皇居の車寄せに滑り込んでいた。

「じゃあ、行ってきます。待ってる間、2人で喧嘩しないようにしてくださいね」

 私はそう言い残して馬車を降り、1人で皇居の中に入る。私の姿を見つけて駆け寄ってきた皇居の職員さんは、「準備が整うまで控室でお待ちを」と私に告げた。

「あ、じゃあ、控室でお弁当を食べてもいいですか?お昼ごはんを食べ損ねてしまって」

 持ってきたお弁当の包みを職員さんに示すと、快く了承が得られた。控室に入ると職員さんがお茶も持ってきてくれたので、遠慮なく箸を動かし始めると、覚えのある気配が感覚に引っかかった。

「梨花……?」

 控室の入り口に、歩兵中佐の軍服を着た兄が立っている。

「ずいぶん遅い昼飯だな。どうした?」

「呼び出しのせいで、お昼を食べ損ねてね」

 いったん箸を止めて、私は兄に答えた。「軍服ってことは……兄上も射撃訓練中に呼び出されたの?」

「ああ、明日から沼津に行くからな。射撃の感覚を取り戻しておこうと思って」

「この時期に沼津……ってことは、猟か」

「ああ、ケイキさんと義兄上(あにうえ)と一緒にな」

 勝先生が3年前の3月に亡くなってから、兄は毎年2月に数日間、猟をするために沼津に滞在するようになった。同行者は有栖川宮(ありすがわのみや)威仁(たけひと)親王殿下とケイキさん……徳川慶喜(よしのぶ)さんだ。

――猟については、わたしは全くの素人でして……、ケイキさんに色々と教えていただきたいのです。それに、……ケイキさんがお父様(おもうさま)に忠義を尽くすのを、わたしも手伝えたらと思いまして。

 勝先生が亡くなった日、勝先生の家で出会った徳川慶喜さんに、兄はこう言った。それから兄はその言葉を、忠実に実行しているのだ。

「梨花も一緒に行くか?」

「残念だけど遠慮しとく」

 私はお誘いを即座に断った。「実習と軍事訓練があるし、猟そっちのけで城跡の探索を始める自信があるもの。慶喜さんがドン引きするってば」

 冬は下草が枯れ、遺構の状態が分かりやすくなる、城跡探索のベストシーズンだ。そんなときに私が野外に連れて行かれたら、イノシシやシカではなく、土塁や堀の跡を探すに決まっている。慶喜さんをがっかりさせないためにも、私は沼津に付いて行かない方がいいだろう。

「私は別のやり方で、慶喜さんのことを気に掛けるよ」

「そうだな。確かに梨花と猟に行くのはよくないな」

 兄はクスッと笑うと、「早く昼飯を食べてしまえ。これから何があるか知らぬが、腹が減っては戦が出来ないからな」と私に言った。

 ちょうどお弁当を食べ終わった時に、侍従さんが私たちを呼びに来た。兄と一緒に侍従さんに付いて行くと、彼は梨花会でいつも使っている会議室に私たちを案内した。室内には既に梨花会の面々が全員顔を揃えていて、私と兄の姿を見ると一斉に最敬礼する。私が大山さんの隣に腰かけると、すぐにお父様(おもうさま)お母様(おたたさま)が会議室に入ったので、立ち上がって深く頭を下げた。

嘉仁(よしひと)と章子も来たか」

 お父様(おもうさま)の威厳ある声が、いつもより少し鋭くなっている。

お父様(おもうさま)、何か変事が?」

 眉をしかめた兄の質問に微かに頷くと、

「山本、皆に伝えよ」

お父様(おもうさま)が国軍大臣の山本さんを見やった。

「それでは、申し上げます」

 立ち上がった山本さんの顔は、異常に強張っていた。

「……本日午前、朝鮮の元山港が、“朝鮮義勇軍”と名乗る者たちに襲撃され、占拠されました」

(はい?)

 耳慣れない言葉が降ってきて、私の思考が一瞬止まった。


 朝鮮の元山港……朝鮮半島の東岸、かなり北の方にある港だ。1876(明治9)年に締結された日朝修好条規によって、対外開港された。開港当初は日本人の居留地もあったけれど、日清で同盟が結ばれ、“日本は今後一切朝鮮に関与しない”という協定が結ばれた際、日本人の住民は全員引き上げている。

「確か、清が軍港として使うって言って、改良工事を始めてたよな?」

 井上さんの言葉に、

「そこを狙われてしまったようです」

と山本さんは沈鬱な表情で答え、事件の経緯を説明し始めた。

 井上さんが言った通り、元山港では港の改良工事中で、海岸に近い山を切り崩し、その土を海の埋め立て工事に利用していた。山の切り崩しにはダイナマイトが使われることもあるので、今朝その爆発音が響いた時にも、元山の大半の住民は“また山の切り崩しか”と思ったらしい。

 ところが、今回の爆発は、山ではなくて、元山の町役場で発生した。おりしも会議中だった町長をはじめとする元山の役人たちは、爆発に巻き込まれてほぼ全員が亡くなった。もちろん、元山には軍の駐屯地もあるのだけれど、駐屯地でも爆発が発生したため、士官や兵たちに死傷者が続出したらしい。

 そこに、青い布切れを左腕に巻き付け、銃を持った集団が現れ、

――我々は朝鮮義勇軍だ!逆らう者は射殺する!

とやったものだから、朝鮮軍は蜘蛛の子を散らすようにして逃走してしまった。

「警察も役に立たず、その朝鮮義勇軍という輩どもに、元山は占拠されてしまったとのことです。住民も、特に抵抗することなく奴らの管理下に入ってしまったとか」

 報告する山本さんの声は呆れ気味だったし、報告を聞いていた梨花会の面々も、

「何と士気が低いのだ、朝鮮軍は」

「士官たちが殺傷されたことは割り引いて考えるとしても、組織的な戦闘が全く出来ないとは……」

と、一様にため息をついている。

「……で、その義勇軍とやらは、何か主張しているのか?」

 苦々しい表情で尋ねたお父様(おもうさま)に、

「はい。“我々は義和君(ぎわくん)を奉じる者である。今の国王は清の傀儡に過ぎない。清から独立するのだ”と主張しています」

山本さんはこう答えた。

「義勇軍の一団の中に、義和君らしき人物も確認されたと」

「……!」

 後藤さんと高橋さんの顔が青ざめる。他の面々の表情も険しくなっていた。

「義和君……ヨーロッパにいるっていう話やったけど、いつの間に朝鮮に行ったんや?!」

「落ち着いて下さい、三条どの」

 腰を浮かしかけた三条さんに、大山さんが静かに言った。

「まだ、義和君はヨーロッパです。フランスにいるようですが……元山に現れたのは、恐らく影武者でしょう。朝鮮の王子の姿など、はっきり覚えている朝鮮国民はいません。それらしい年と背格好の者が、王族らしい服装を着て、“自分は王族である”と主張すれば、何も知らない者たちが王族と思い込んでしまうのは当然」

(なるほどね……)

 確かに、大山さんの言うことには一理ある。恐らく、元山の義和君というのは、彼の言う通り影武者だろう。けれど……。

「大山さん。連中が義和君の名前を使っている以上、そいつらとロシアとの繋がりは考えないといけないんでしょ?」

「その通りです、梨花さま。手並みも、ちと鮮やか過ぎますし……」

「確かに、軍の訓練も受けていない者が、爆薬をこのように効果的に事故もなく仕掛けられるとは思えない。爆薬を扱えるように、やつらを教育した人物がいるはずだ」

 大山さんの答えに、兄も横から付け加えた。

「ロシアが義勇軍とやらを操っているとして、やはり目的は朝鮮の占領でしょうか?」

 確認した高橋さんに「恐らくは」と大山さんは答える。彼の表情は暗かった。

「しかし、少しややこしいことになりましたね」

 軽く眉をしかめた外務大臣の陸奥さんが両腕を組んだ。

「このまま、義勇軍と朝鮮軍の戦いが進むことになれば、義勇軍がロシアの手先とわかっていても、この戦いは朝鮮の国内の問題になってしまいます。ロシアが直接朝鮮に兵を出さぬ限りは、清も我が国も、義勇軍を直接止めることはできません」

「陸奥大臣、朝鮮に駐留している清軍でも義勇軍を止められないのか?」

 兄の指摘に、「別の問題が発生しておりまして」と答えたのは、陸奥さんではなくて東宮大夫兼東宮武官長の児玉さんだった。

「朝鮮の他の地域でも情勢が不穏になっており、そちらへの警戒をしなければなりません。それゆえ、今、朝鮮駐留の清軍は、各地に分割して兵を置かざるを得ない状況です。大規模な軍隊を編成すれば元山の反乱兵も討伐できるでしょうが、編成が難しいかもしれません」

「なるほど、そちらの問題があって兵が動かせぬと……」

 兄が悔しそうな表情になる。

「その、他の地域の不穏な動きってのも、元山港を清軍に邪魔されずに占領するために、義勇軍かロシアが引き起こしてる可能性はあるわね……。だからって、清が軍を更に朝鮮に派遣したら、朝鮮の民情が悪化して、清への反乱が起こっちゃう可能性もあるよなぁ」

 私がブツブツ呟いていると、

「わかっていらっしゃるようですが、一応聞いておきましょうか。なぜ、清が朝鮮に軍を派遣すれば、朝鮮の民情が悪化するのでしょうか?」

大蔵大臣の松方さんが重々しい声で尋ねた。

「今までの例から考えると、清軍の滞在費用は、清が朝鮮に負担させるからです」

 本当に、梨花会の面々は、どんな時でも私を鍛えることを忘れない。もう一度頭の中で考えを確認してから、私は松方さんに答え始めた。

「どのくらいの規模の派遣になるか分かりませんけれど、平和な時の派遣ではないから、軍隊を動かす費用は普段よりかさむはずです。そのお金は最終的に、朝鮮の民衆への更なる課税に変わります。そうなってしまうと、朝鮮の民衆が清に恨みを抱く。“清から独立する”と唱えている敵の口車に乗ってしまう可能性も高くなります」

 こう言うと、松方さんが私に向かって黙って頭を下げた。どうやら、私は彼の満足いく回答が出来たようだ。

「それでは皇太子殿下。今後の展開については、どう予想されますか?」

「やはり梨花だけではなく、わたしの方にも質問が来たか」

 兄は児玉さんに苦笑すると、

「少し短絡的かもしれないが、“元山に在住するロシア国民の安全を守るため”という名目で、ウラジオストックからロシアの太平洋艦隊の巡洋艦が派遣されてしまうだろう」

と答えて、ため息をついた。

「巡洋艦の派遣に対しては、外交方面からの抗議はできる。朝鮮はもちろん、我が国と清、イギリス……他国も巻き込めれば最高だが。しかし、各国の抗議を受けてロシアが巡洋艦を撤退させるにしろ、今朝鮮にいる清軍だけで状況を打開しなければならないのに変わりはない。巡洋艦が元山に居座った場合、朝鮮北東部沿岸の制海権もロシア側の手に落ちてしまう。朝鮮は海軍を持っていないからな。だから、ロシアは豆満江(とうまんこう)を渡って朝鮮に攻め込みやすくなる……最悪の展開だな」

「流石は皇太子殿下」

 陸奥さんがニヤリと笑う。「院にも協力していただいて、ウラジオストックから元山に巡洋艦が派遣されれば、すぐに朝鮮・清とともにロシアに抗議する所存です」

 と、

「院はよく働いてくれているのじゃが」

今まで黙っていた西郷さんがのんびりと言った。

「どうしました、信吾どん」

 呼びかけた内務大臣の黒田さんに、

「少し、清の諜報網の動きが鈍いような気がしてのう」

と西郷さんはあごひげを撫でながら言った。「朝鮮の諜報は、ほとんど清に頼りきりじゃが……ここまで大規模な事件、なぜ事前に察知できなかったのかのう?今まではそんなことは無かったように思うんじゃが」

「確かに……」

 大山さんが眉を曇らせた。「朝鮮に関しては、清の情報機関員が数十名常駐して、諜報活動を行っていたはずですが……。精査する必要がありそうです」

「ということは、清の情報機関員がロシア側に寝返っていて、ニセの情報を流している可能性も……」

「あるということです」

 枢密院議長の山縣さんの言葉を、大山さんは肯定した。「我が手の者も、念のために一度総点検する方がよいかもしれません」

「難しい話になって来たな……」

 総理大臣の伊藤さんがため息をついた。

 ……それから、喧々諤々と議論が交わされて、ひとまず、ロシアから巡洋艦が朝鮮に派遣された場合、日本は朝鮮・清やイギリスなどの各国と協調してロシア側に抗議をすること、直ちに清とロシアが戦争になることはないだろうけれど、両国が交戦状態に至った場合は、日本は清に協力すること、そして、日本と清の諜報網をもう一度総点検することなど、いくつかの結論が出され、臨時の梨花会は終了した。


 梨花会の終了後。

義兄上(あにうえ)

 兄が隣に座った有栖川宮威仁親王殿下に話しかけた。

「明日からの沼津行きですが、取りやめにしようかと……」

 すると、

「構わん、行ってこい」

威仁親王殿下が答えるより前に、お父様(おもうさま)が兄に言った。

お父様(おもうさま)……しかし、清とロシアが開戦する可能性もあるこの時に、俺が猟に行くのは……」

「慶喜とだろう。行ってこい。あれの思いに応えるのも大事なことだ」

 不安そうな表情を見せる兄を、お父様(おもうさま)がじっと見つめている。兄はその暖かい視線を黙って受け止めていたけれど、

「かしこまりました。では、予定通り行って参ります」

そう言うと、お父様(おもうさま)に深く頭を下げた。

(ああ、そっか……気に掛けてくれてるんだ、お父様(おもうさま)も……)

 兄とお父様(おもうさま)の様子を、ぼんやりと眺めていた私の耳に、

「増宮殿下、増宮殿下」

桂さんが私を呼ぶ声が届いた。

「あ、はい、何でしょう」

 振り返ると、私のすぐそばに、軍服を着た桂さんが立っていた。その隣には、同じく軍服を着た斎藤さんがいる。2人とも、少し困ったような顔をしていた。

「実は、昨日、“春日”と“日進”が横須賀に入港したのですが……」

「ああ、来たんですね」

 “春日”と“日進”は、アルゼンチンから買い取った装甲巡洋艦で、イタリアのジェノバで建造されていた。諸々の工事を終えて、昨年末にイタリアを出発すると聞いていたけれど、順調に日本に到着したようだ。

「増宮殿下に見ていただきたいものがありまして、横須賀においでいただきたいのです」

「見てもらいたいもの、ですか?」

「ええ」

 頷いた斎藤さんは、

「俺も困惑しておりまして」

私にそう言うと、深い深いため息をついた。

「わかりました。時間を作って、早めに横須賀に行きます」

 あの斎藤さんが困惑する、私に見てもらいたいもの……それが一体何なのか、全く想像がつかなかったけれど、とにかく見なければ話が始まらないだろう。諜報網の点検作業もしなければならない大山さんにはとても申し訳なかったけれど、私は予定の調整を彼にお願いしたのだった。

※実際には、皇太子殿下は1903(明治36)年11月3日に陸軍歩兵大佐と海軍大佐に昇進しているのですが、少し遅らせています。ご了承ください

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[一言] 更新お疲れ様です。 ロシアの魔の手がが朝鮮に(><) 購入艦、艦長室に増宮の肖像画が掲げられたりして(^^;; 次回も楽しみにしています。
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