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偽りステータス冒険者は神秘級ステータス  作者: すみ 小桜


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046 ★確証を得る為に★(リー視点)

 俺達は、ギルドの部屋に移動した。窓もなく家具やテーブル、イスすらない。ここは監禁用の部屋だろう。フェイさんも一緒にここに泊まるみたいだ。

 あれから結局三人で鑑定をしたけど、部屋からは何も収穫はなかった。


 「ここまで手がかりがないとなると……全員今日はギルド泊まりだな」


 とフェイさんの言葉で、全員ここに泊まる事になった。

 そしてニヤッとしてヌティーナさんが、部屋に布団を運んできた。


 「あなた達もこれで終わりね。今度は何をしたのかしら?」


 そう嫌みを言って、部屋を出て行った。


 今回は何もしていない。された方だ。

 魔法陣なんて面倒なもんを描いた挙句、一夜にして消していった! こんな事になるなら自動鑑定をしておいた方がよかったかもな。しかし、一体誰がどうやって消したんだ?

 やはり冒険者に協力者がいて、描いたから消した。でないと消す理由がないよな?


 「ねぇ、リーさん。魔法陣って消さないとやばいものなの?」


 フェアルが聞いて来た。


 「……やばいというか、鑑定されれば描いた時の情報がバレる程度だけど。描いた時期とか人数。上手くいけば、描いた者も判明する。特に鑑定師が鑑定した場合、多くの事がわかる。つまりアーチさんがするより、俺がする方が最終的には、色々情報を得る事が出来る。……まあ、俺一人だったら時間が膨大に掛かるけどな」


 そう、賊の者が描いたのなら消す必要はない。名前が知れて困るのは、冒険者だろう。


 「へ~~。じゃ消したって事は、そういう情報を知られたくなかったって事だよね?」


 「だな。もしかしたら俺だけじゃなく、エスペンさんも加わったのを知り消しに来たのかもな。賊に加担している冒険者がいるって事だろう。鑑定師に鑑定されたら名前も露見するかもしれないから」


 「なるほど! ムイさん達みたいな人がまだいるって事ね」


 フェアルは、納得したように頷いた。


 それにしても魔法陣を消したい理由がそうだったとしても、どうやって入ったんだ? 何故、玄関は鍵を閉めて部屋は開けたまま?

 この疑問が解明されないと、俺達のに向けられる疑惑も晴れないだろうな。


 それよりもアーチさんっていつ戻る予定何だろうか? 何日もここにって……。


 でも心配なかった。なんとその日の夜にアーチさんは戻って来た! 凄く早い。どうやって戻って来たんだ?

 まあこれでやっと、文句が言える!




 △▽△▽△▽△▽△▽ △▽△▽△▽△▽△▽




 「いやぁ。やっと戻って来てくれた。これ俺の手に余る案件だ」


 入って来たアーチさんにフェイさんが言った。そして二人で何やら話した後、アーチさんが俺達に振り向いた。


 「まったく、おちおち出掛ける事も出来ないな」


 ため息交じりにアーチさんが言うと、俺だけじゃなくエスペンさんもムッとする。

 失敗して文句を言われて、ムッとしているんだろうな。


 「ふん。魔導士だと言って鑑定師を置いていったからじゃないか? 俺はとんだ目に逢わされたけどな」


 「鑑定師だって言ったら仲良くしないだろう?」


 アーチさんを睨み付け言うと、ふざけた言葉が返って来た!


 「仲良くも何もさせる気なんてなかっただろう!」


 「どうしてそう、皮肉に取るんだ? そういう風に……」


 「俺のステータスを見る様に仕向けといて何言ってんだ!」


 だまし討ちしておいてよく言う!

 ちらっとエスペンさんを見ると、ムッとしたまま俺達を見ていた。


 「なるほど。喧嘩の原因はそれか……」


 「それかって!」


 「まあ、待て」


 アーチさんは、俺に左手をパーに開き向けた。黙れって事だ。


 「エスペン、お前、勝手に鑑定しようとしたのか?」


 「……言いがかりだ」


 エスペンさんは、ふんと鼻を鳴らし、アーチさんに答えた。

 勝手にやった事だったのか!? こいつ!


 「じゃ何故、俺のスキルを封印した? っていうか、大人しく鑑定させろって自分で言っていたじゃないか!」


 「なるほど。そういう手もあったのか……。って、封印されたのがわかったのか?」


 頷いていたアーチさんが、驚いた顔を俺に向ける。


 「封印されたのがわかったのか?」


 もう一度聞いて来た。


 「そうだけど!」


 「お前凄いな」


 「………」


 俺は、大きなため息をついた。

 肯定して返せば、ワザとらしく驚いて見せる。バカにされたようで頭にくる!


 「で、エスペン。何故そんな事をした?」


 「俺よりリーの言葉を信じると?」


 アーチさんは、エスペンさんの問いに頷く。


 「エスペン、リーが自動鑑定を持っていると誰に聞いた?」


 え? それも教えていなかったのか? てっきりアーチさんが教えてたとばかり。じゃ、本当にただ魔法陣を鑑定をさせる為にエスペンさんをよこした?

 まさか――エスペンさんが、魔法陣を消した!?


 「それって魔法陣が消えた件と関係ありますか?」


 「無いとは言い切れないな」


 腕を組み真面目な顔つきで、エスペンさんにアーチさんは返す。


 「グレイブ。鍵はずっと手元にあったか? 途中で無くしたりはしてないな?」


 「え? あ、はい……」


 突然振られ、慌ててグレイブさんはアーチさんの問いに答えた。


 「まさか、俺が魔法陣を消したと思っているんですか? アーチさん」


 「いや。でも協力したんじゃないかと思ってな」


 エスペンさんの問いにアーチさんが答えると、エスペンさんはアーチさんを睨み付けた!


 「協力って? 俺が賊と繋がっているとでも?」


 「賊ねぇ……。そこが疑問なんだよなぁ」


 鋭い視線を向けて、アーチさんはエスペンさんを見た!


 どういう事だ? 俺とかじゃなくて、エスペンさんだけを疑っている? アーチさんには何が起きたかわかっているって事か?


 「疑問ってどういう事だ?」


 俺が質問すると、アーチさんは、ワザとらしくコホンと咳ばらいをした。


 「あの魔法陣を描いた者は、死亡している。従って消す必要はないと思われる。……本来ならばな。もし描いた奴が本当は生きていて、それを隠す為にこっそり消したとなれば、一晩で消えたのも納得できる」


 死亡しているって言っておきながら、生きている可能性があるって……。

 まさか……。


 「描いたのってマーリンだったのか!?」


 「いや、違う男だった」


 俺の質問に、アーチさんは即答する。

 どういう事だ? マーリンじゃなくて違う男?


 「エスペン。ここ最近、出会った人物はいないか?」


 「出会った人物?」


 アーチさんは、頷く。


 「あ……」


 ボソッとだけど、隣でフェアルが声を上げた。この子は、また何か思い出したな。


 「何? 何を思い出した?」


 「え? あ、いえ。えーと、関係ないかもしれないから……」


 ボソッと俺が聞くと、俯いてフェアルは返す。


 「その判断は俺がする」


 俺達の会話を聞きつけたアーチさんが、こちらを振り向き言った。フェアルは困り顔だ。

 ちらっとフェアルは、エスペンさんを見た。


 「えっと、昨日、馬車を乗り換えた時に、エスペンさんが黒いフード付きの男の人と一緒にいる所を見かけて……あ、でも多分、道を……きゃぁ!」


 気づけばエスペンさんが、フェアルの後ろに回り彼女の首に手を回していた。しかもその手には、ナイフが握らている!


 「な……フェアルを離せ!」


 俺が叫ぶもフンと鼻を鳴らすだけだ。

 アーチさんとフェイさんは、エスペンさんをジッと見つめている。二人ならフェアルが人質に取られる前に動けただろう。泳がせたな!


 「あんたが憎いのは俺だろう? フェアルを離せ」


 フェアルは泣きそうな顔で固まっている。


 「別に。ムカつく奴だとは思ったけどな」


 「なるほど。憎いのは王宮の者って事か? そこから救い出してやっただろう?」


 「遅いんだよ!」


 エスペンさんは、アーチさんに叫んだ!


 そう言う事かよ!

 最初から事件が起きたのは、王宮に恨みを持っているエスペンさんだと目星をつけていた! だけど証拠がないから……。

 また俺達ごと、嵌めたのか!

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