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偽りステータス冒険者は神秘級ステータス  作者: すみ 小桜


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041 ☆彼の狙い☆

 私はまどろみの中にいた。この感覚が好き。ふわふわしていて、心地いい。


 「フェアル! 起きて!」


 なのに起こされた。


 「うん? 何母さん……後少し」


 「何を言っているの! リーさんが迎えに来たわよ!」


 うん? リーさん? なんで?


 「着替えて早く来なさいよ!」


 私はガバッと起きた。

 着替えて居間に行ってみれば、ニッコリとしてリーさんは立っていた……。

 何でいるのこの人!


 「おはよう」


 「お、おはようございます……」


 「ほら早く食べちゃいなさい」


 「うん……」


 母さんが用意してくれたご飯にぱくつく。


 「リーさん、こちらでお茶でもどうぞ」


 「俺は……頂きます」


 リーさんが断ろうとするも、私の前の席にお茶を母さんは置いた。なのでリーさんは、私の目の前に座った。

 食べづらいじゃない!


 「まだ寝ていたんだね。昨日迎えに行かなかったら、午後近くに来たから今日は迎えに来たんだけどね」


 ボソッと嫌みを言われた。

 朝から小言なんか聞きたくないんですけど~!


 ご飯を食べ終え、リュックを背負って家を出た。


 「君さ。冒険者になりたくてなったんだよね? だったら自立した生活をしなよ。せめて自分で起きて!」


 「う。はい……」


 前を歩くリーさんは、以前と変わらなく見える。マルモンドさん、私達は打ち解けてないと思う。


 馬車に揺られて一時間。歩いてニ十分程でミラクルの事務所に到着。グレイブさんはもう来ていた。

 冒険者って朝早いの? 朝が早いのも嫌で冒険者になったのに……。


 「「おはようございます」」


 「おはよう」


 私達が声を揃えて挨拶をすると、グレイブさんはニッコリと挨拶を返して来た。

 昨日帰り際、なんか落ち込んでいたみたいだけど元気になったみたい。


 「じゃ俺、鑑定するから」


 「あ、じゃ私も!」


 「君はいいよ」


 「え!? もう体調大丈夫だから……」


 リーさんは、何故かソファーを指さした。


 「そういう事じゃないの。説明するからそこに座って」


 それってお話長いって事でしょうか? それともお説教?

 ちらっとグレイブさんを見れば、彼はソファーに座った。仕方がないので横に座る。

 当然リーさんは、私達の前に座った。


 「君には職業鑑定が出来るようだから普通の鑑定も出来るかもって思ったんだけど、やっぱり無理だったみたいだね」


 「え? 私には鑑定出来ないってこと?」


 私が聞くと、リーさんは頷いた。


 「実は鑑定って魔法を使うようなものなんだ。だから早い話、魔法を使える者にはある程度鑑定が可能だんだよね」


 「え?!」


 「つまりグレイブさんみたいな剣士には鑑定できない。でも魔剣士であるアーチさんなら出来る。そういう事」


 ちらっとグレイブさんを見てリーさんはそう言った。

 魔法の才能がないと出来ないらしい。


 「君は魔法を持っていなけど、職業鑑定はカードを使って出来たから出来るかなと思ったんだけど、カードには何も書かさっていなかった」


 それって鑑定に失敗したって事だよね……。私には職業鑑定しか出来ない。たとえコピーした能力でも元から出来ないとダメって事なのね。


 「そうなんだ……」


 結局役に立たないんだ、私。


 「これは仕方がない事だから。ってあの人も意地悪だよね。ブラックバードには回復魔法を使える人がいるというに。俺に苦手な分野を押し付けて……」


 うん? なんか愚痴に変わってる……。


 「まあ、その人達にもムイさん達の口を割らせる事をさせているからだろうけどね」


 「なあ、ありなのかそういうの。他のカムラッドを使ってって……」


 グレイブさんが、ジッとリーさんを見て聞いた。


 「さあ? あの人の中ではありなんじゃない? 元々ギルドに命じられれば、その仕事を優先してやる事になっているし。仕事としてやらせてるんじゃないの?」


 「それって俺達も同じだよな? アーチさんに命じられれば嫌でもしなくてはいけない……」


 「そう言う事。嫌なら解散したほうがいいよ。まあお金を返せるならだけどね」


 「………」


 そうリーさんが言うと、驚いた顔をしたままグレイブさんは固まった。


 「ちょっと待て。それをわかっていて、カムラッドを設立する事に賛成したのか?」


 「俺がいつ賛成したの? ずっと反対していたよね? でもまあ、俺達に出来る事なんて高がしれてるからそんなに構えなくても大丈夫だよ」


 「わざわざ報酬前払いまでして、設立させておいてか?」


 「その事だけど、報酬前払いは出来ないから……。きっとあの人のポケットマネーだと思う」


 ポケットマネーって、自分のお金って事でしょう!!

 逆にそこまでしたのなら何かさせる気なんじゃないの?


 「いやそれなら……。って、全部わかっていて……」


 「仕方ないだろう。あそこでこんな話出来なかったんだから。俺にどうすれと? 最後まで反対を押し切ればよかった? そうしたらグレイブさんをどうしたかわからないよ。あの人はそういう人。そういう事が出来る立場で、そういう方法を考えつける人」


 私はリーさんの言葉にドキッとした。

 ムイさん達を追い詰めた時、リーさんを嵌めたんじゃないかと思った。きっとそれも出来たって事だよね。

 だからリーさんは、わかっていても最後にはカムラッド設立に賛成した。


 「そう言う事だから。今の事、片隅にでも置いておいて。じゃ鑑定してくる」


 リーさんは、そう言って立ち上がり、部屋に入って行った。

 グレイブさんは、太ももに両肘をのせ、額を手に当て下を向いていた。


 だ、大丈夫かな? リーさんももっとこう、違う言い回し出来ないのかな……。


 「なんか、ごめんね。君達を巻き込んでばかりだ……」


 「え? あ、いえ……。どちらかというと、こっちが巻き込んでいるんだと思うけど……」


 本当の事は言えないけど、グレイブさんを利用したのは、マーリンさんだと思う。私達がカムラッドを探しに来るとわかっていても、一緒に行動できないからリーさんの知り合いのグレイブさんに近づいた。


 って、どこから作戦なんだろう。ムイさん達がグレイブさんを誘ったところから? それともマーリンさんが鑑定をするところから?

 それだと怖いんですけど……。計画が壮大というか。


 きっと違う。私達がカムラッドを探す事がわかったから、カムラッドを探すフリをしていた。ここからよきっと! ……それでも十分、予知の恐ろしさがわかるけどね。


 そっか。そう思うと、王宮の人達が私達を監視下に置きたいのもわかる。もし私が予知持ちだったら……。それをリーさんが何かに利用しようとしているとしたら……。

 そう考えれば、そのままにして置けないよね……。


 「いいよ。気を使わなくても……。でもリーは、本当にストレートだよなぁ。磨きが掛かってる」


 磨きがって……。昔から、あぁだったんだ……。


 「あいつ賢いけど、あぁだろう? それで王宮戻りだから色々あってな。俺がいる間はそれなり庇ってはいたんだけど……。なあ。リーは一体何をしたんだ? 何をして目をつけられた?」


 「え?」


 グレイブさんに振り向けば、ジッと真剣な眼差しで見つめていた。嘘を言ったら見透かられそう……。でも言えない!


 「昨日リーが、首になったんだって言っていた。何をした?」


 リーさん。なんでそんな事を暴露しているんですか!


 「えっと……。前の仕事の事はよくわからないです……。二人でカムラッド探しに行ったのは、たまたまリーさんと一緒に居た時に、アーチさんに探しに行けって言われて……。なのでこうなっているのは、成り行きというか……」


 「そうか。変な事を聞いてゴメン」


 ううう。気まずいんですけど! 絶対に信じてないってこれ!

カムラッドの仲間になって二日目にこれって……どうするのよ!

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