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013 ☆立てた作戦はこうでしたⅡ☆

 「紙が消えた……」


 私は手を開いて見つめた。不思議な感覚。

 成功はしたけど、紙が消滅してしまった!


 「え? 一回ぽっきり?」


 リーさんは、うーんと腕を組んで唸る。


 「数枚持って挑まないといけないね……それだと。後は連続して発動するかも確認しないと……」


 「うん。私はいいけど、リーさんは大丈夫? 眼鏡外しているけど……」


 それって、バットスキルの自動鑑定をしている事ってことだよね?


 「これしか方法ないからね。君が鑑定を受けた時、魔法陣の上だったでしょう? 普通は、職業鑑定をする時は、魔法陣を使わないと出来ないんだよ」


 「え? そうなの?」


 リーさんは頷く。

 言われればそうなるけど、自分は魔法陣なんて使わないから気づかなかったわ。


 「俺の自動鑑定は、何でも手順を踏まずに鑑定出来るスキルなんだ。代償がなければ、有能なスキルなんだけどね。あ、職業鑑定も出来る事は内緒にしておいて」


 「うん……」


 私は頷く。

 それって秘密にしてるんだ……。


 「俺も後になって気が付いたんだよ。職業鑑定も出来ているって……。これが知れたら無理やり使わされそうだからさ……」


 なるほど。そういう事もあり得るのね。


 「って、俺の事はいいからスキルコピーして。もしかしたら制限もあるかもしれないからそれも確かめないとね」


 「うん」


 私は紙をピリピリと破って、コピーの準備をした。

 取りあえず11枚作った。10回分あれば十分だろうけど、制限を確認する為に作ってみた。


 「じゃ、コピーするね」


 「いつでもどうぞ」


 リーさんは、構える様子もなくリラックスして座っている。


 「どう? 全部出来た?」


 「うん。11枚全部コピー出来た」


 初めは一枚ずつしてみて、次は二枚重ねてしてみるも、相手に触れた紙だけに文字が浮かび上がった。

 コピーするのには相手に触れていないといけないみたいなので、重ねず広げて三枚チャレンジ!

 そうしたらいっぺんに、三枚コピー出来ました!


 「じゃ、連続して鑑定してみるね」


 私が頷くと、リーさんは眼鏡を外す。ジッと私の方を見て十秒ほどで眼鏡を掛けた。

 その間、紙がスッと消えていくのを感じる事ができた!


 「三回連続で鑑定したけど、一度も読み取れなかった! 大成功だよ!」


 「うん!」


 「問題なのは、その紙が見つからない様にしないといけないって事。見つかればアウト。スキルを熟知している人なら、やった事がバレちゃうからね」


 私は神妙な顔つきで頷いた。

 これがバレたら、元もこうもないって事ね!


 「さて次だけど……」


 「え? まだあるの?」


 リーさんは、真面目な顔で頷く。


 「ここからが君の能力次第かな。多分、君がカード師なら自分で鑑定させると思う。その時、君も鑑定が出来ないじゃ相手は納得しないと思うんだ」


 まあ確かに。自分でも鑑定したのは、アーチさんも知っているし……。そんな嘘通じないよね。


 「そこで言われたら鑑定するんだ。但し、ピンポイントで鑑定する。つまり選んで表示させるんだ! 最低でもスキルまで。絶対、属性と加護は表示させない! そうしないと、この作戦は失敗に終わる」


 ジッと私を見つめ、リーさんは言った。

 後は本当に、私次第みたい……。って、責任重大じゃない!


 「もしこれが出来ないと、さっきの小細工をしても意味がないからさ」


 「う……。そうだね」


 はぁ。

 私は溜息をもらす。

 何か、精神的に疲れる。


 「大丈夫? 頑張って! まずは君のすべてのステータスを見せて」


 「うん」


 そう言えば私も全部見てないや。

 私はリーさんのステータスを消すと、その紙を持って自分に触れる。

 スッと今度は私のステータスが表示された。


――――――――――――――――――――

 名前:フェアル

 職業:カード師

 熟練度:24

 性別:女性

 種族:人間

 年齢:16

 魔力:7

 HP:150/150

 MP:80/100

 攻撃力:22

 防御力:35

 持久力:100

 魔法:―

 スキル:カード転写レベルMAX/イレ

 ーズ/ペーパークラフト神秘級/具現化

 神秘級/文字サイズ固定

 属性:空間

 加護:創作

――――――――――――――――――――


 わぁ。よくわからないスキルだ。


 「……何これ! イレーズだけじゃなくて神秘級って! やばいよこれ!」


 何かリーさんが興奮してます。


 「ダメだ……。絶望的」


 「え? 絶望的?」


 どういう事? 私のスキルって一体……。


 「凄すぎて、これ表示させたらアウトだよ……。具現化まであるなんて……」


 「え? 表示させたら?」


 あ、そういう事か! このスキルが見られたらダメって事ね!

 って、そんなに凄いスキルなのかな?


 「具現化って何?」


 「簡単に言うと、見た目も能力もそっくりに作る事ができるスキル。そして神秘級っていうのは、レベルMAXの上。つまり君は、このスキルを使って本物と見分けがつかないものを作れちゃうって事!」


 「え……」


 なんかヤバそうなスキルなんだけど。悪事に使おうとしたら凄い事になりそう……。これ王宮の人とかじゃなくて、悪人にもばれちゃマズイスキルだよね!

 いらないんだけど、そんなスキル!


 「どうしよう!」


 「どうしようって……。表示する時、消すしかないね。表示させるならカード転写レベルMAXと文字サイズ固定の二つ。これ以外は見せられないね。はぁ……まいったよ」


 何故かリーさんが、ガックシとうなだれる。

 か、完璧にやらないとダメって事ね……。

 出来るのこれ? スキルをピンポイントで表示って事だよね? 初心者なんですけど!


 でも、私一人なら思いつかなかった作戦!

 取りあえずやってみよう!

 自分でやらないとダメな事なんだから!


 「やってみる! うん。成功するまでやるわ!」


 「うん。ここまでけしかけておいてなんだけど、それが出来なかったらもう諦めて……」


 「………」


 プ、プレッシャー掛けないでよ……。


 私は、今書きだしたステータスを消し、まずはスキルまで表示を試みてみる。

 なんと! これは難なくクリア!


 「できた!」


 「え!」


 「あ、スキルまでの表示ね……」


 驚いてステータスを見るも、はぁっとため息を漏らす。


 「ご、ごめん……」


 「いや……その調子で頑張って」


 「うん……」


 この先が難しかった。

 どうやら下から順に消すのはさほど難しくないみたい。なので文字サイズ固定を消さないで、表示がとても難しい。

 十回目でやっと成功した!


 「できたー!!」


 「凄いよ! 君!」


 私達は喜び合った。そして何度かして感覚をものにしたのだった――。

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