☆プロローグ☆
新連載頑張ります!
私は今、魔法陣の中で茫然として立っていた。
「あなたはカード師です」
冒険者になりたくて冒険者ギルドで職業鑑定をしていた。職業の能力を見る鑑定で、何かしらあれば冒険者として登録できる。
農夫だった両親には悪いけど、魔法使いに憧れていた私は、何も能力がなかったら諦めて後を継ぐ、と言う約束で受けていた。
どうしよう。聞いた事がないんだけど……。
「どうするフェアル。カード師で登録して冒険者になるか?」
ギルドマスターのアーチさんが私に訪ねて来た。
彼は凄腕の魔剣士らしい。でも何故か剣は下げていない。
赤い髪が下に行くほど薄くなった不思議な髪を後ろでちょんと結んでいる。
冒険者ギルドの青い制服を着用し、ギルドマスターだと言われなければ、判定を下したリーさんと同じただの職員に見える。
リーさんは、灰色の髪に丸い眼鏡を掛けていてる。
因みに私は朱色の髪に瞳。そしてよれよれの茶色っぽい色の服。目立つ事この上ない。見た目の存在感だけはあるのになぁ。
うんと頷きたい。だけど何をどうすればいいのかわからない。このまま冒険者になったとしても、貢献しなければ資格は剥奪される。
冒険者は人を助ける仕事。ダンジョンなどにいるモンスターを退治したり、特技――魔法やスキルなどを使って人助けをしたり。
なのでどういう風なものなのかわからないとそれが出来ない。でも冒険者にならなければ、親の後を継いで農夫にならなければならない……。
「あ、あの……カード師とはどういう職業なんでしょうか?」
「うーん。滅多にない職業だからな。あ、そうだ! もう引退したけど一人だけ知っている。紹介するか?」
いるんだ! だったら大丈夫ね! その人から話を聞こう!
私は、勢いよく頷いた。
「ではカード師という事で今日から冒険者の仲間入りだ! おめでとう! 宜しく頼むぞ」
「はい!」
私はは嬉しくて、大きな声で返事を返した。
冒険者の証の指輪を左中指にはめてもらう。これで私も冒険者よ!
この指輪は魔法の指輪で、一度付けると外れない仕組みになっている。冒険者の証明にもなるし、悪事を行えばこの指輪で個人を特定する事も出来る事になっている。
鑑定の間と呼ばれている部屋からでた私は、その足でアーチさんに紹介されたマルモンドさんがいる村へ向かった。
この街を挟んで、私が住んでいる村の反対側の村だそうです。早く話を聞きたいなぁ。
私はわくわくして、マルモンドさんがいる村の近くを通る馬車に乗り込んだ。