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おまけ

 俺は悪い予感がしていた。今日はヨシオに見つかってしまったし、少し気がゆるんでいたのかもしれない。日付も勘違いしていて、今日が夕子が自殺した日だと思っていなかった。今どこにいるのかはわからないが、帰ってくるのはまちがいない。帰路で何かあったんだろうか・・・俺は夕子がいつも通っている道を軽く駆けながら、何一つ見落とさないようにと心がけて、夕子を探した。


 学校の近くまで来ているのに夕子は居ない。どこかへ寄り道しているのか・・・厄介なことになってきた。やはり今日は俺はどうかしていた。今日が夕子の死んだ日で、今まで特に何も無かったんだから、絶対に目を離しちゃいけなかった。


 俺は学校の近くまでやって来た。学校に居ないとすると、どこへ行ってしまったんだろう・・・。でもよかった。校門まで来ると、少し入ったところに立っている夕子を見つけた。何か校舎の方へ向かって叫んでいる。一体誰に? 何があったんだろう。俺は少し立ち止まったが、すぐに夕子に呼びかけた。久しぶりに下の名前で呼びかけるとめっちゃくちゃ恥ずかしい。


 夕子は振り返って驚きの声を上げた。寒さのせいか顔が紅潮している。俺はすぐに夕子の近くまで駆け寄った・・・んだけど・・・え?! 何かこれって距離が近くない? 想定と違う夕子の行動に少しのけぞってしまう。夕子をいえまで送るのだが、左の脇を歩いている夕子がとても近い。時々軽く触れるし・・・俺の心臓はバクバク。化け猫はうめいている。どうなってるんだこれは・・・


 夕子は笑顔で手を一杯に振りながら、俺が視界から消えるまで、寒い中玄関から顔を出していた。吐く息が白い。あれ今夜自殺する人の雰囲気じゃないよな。俺はどうすればいいのか途方に暮れた。家の中には既にもう一人の俺が入り込んでいるし、何かあっても俺が何とかしてくれるだろう。納得はいかないが、このまま一旦未来へ戻るか・・・


 ・・・


 俺は夕子の部屋の屋根裏にひそんだ。そして下の部屋の物音をうかがっていた。夕子が自分の部屋で薬を飲んだことは聞いていた。


 夕子は部屋で特に何も言葉は発っさなかった。独り言はあまり言わないのだろう。だが、ついにとんでもないことをつぶやいた。


 「おやすみ・・・タクヤ」

 

 俺は胸を突き刺されたような衝撃を受けた。・・・え?! 何で?!! 俺がここにいるの夕子にばれてんの?!!! 俺はどきどきしながら少し震えた。でもその後夕子は何も言わなかった。あげく寝息が聞こえてくる始末。一体何だったんだ・・・俺は朝までじっと夕子の様子を窺っていたが、鳥のさえずりが聞こえてきて日が差してきても、結局何事も起こらなかった。夕子は起き出して階下へ降りていった。・・・何だこれ? どうなってんの? 日を間違えたかな。きっとそうだな・・・俺命削って何やってんだろ・・・


 最後まで読んで頂きありがとうございます。楽しんで頂けていれば幸いです。


 屋根裏に潜んでいるタクヤはもう1パターンあり、やはり朝まで居て、俺何やってんだろってなるんでしょう。夕子は何て言うんでしょうか。それとも何も言わずに寝てしまうでしょうか。


 当初はバッドエンドではないものの、最終的にタクヤと夕子は別れてしまう結末のつもりでいました。でも二人に引っ張られる形で妥協しました。


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