プロローグ
毎週土日更新、6話完結予定です。
「大好きで困った幼馴染と物好きでとんでもない猫の話」の続編のお話になります。
二つに分けたのは投稿するのに長くなりすぎた為です。後半部分のみ出してみましたが・・・
俺は田舎の中学へ通っている母子家庭の男子、名前は諸橋拓治だ。小学生の頃にある事件があって、化け猫に憑かれている。そのため身体能力は実はちょっとしたスーパーマンのようだし、時を操ることもできる。平安時代から生きているという化け猫とは現在体も心も俺と一つだ。憑依といっても俺が化け猫に操られている訳ではなく、その逆でもない。言うなれば、俺と化け猫の能力と記憶を持った別のもう一人の人間が生まれたような感じだ。
俺が化け猫に憑かれているというのは秘密にしなければならない。もし誰か他人にそのことがばれると、俺から化け猫が剥がれて、俺は死んでしまうらしい。
俺が化け猫に取り憑かれることになった事件のあらましはこうだ。まず俺の幼馴染の夕子が、神社に入り口が隠された防空壕を見つけたことから始まる。夕子とは幼稚園の頃から友達で、俺は夕子が好きだった。夕子と、夕子の彼氏で俺の友達でもあった高谷と俺で、防空壕を探検することになった。
ところが防空壕の中には、怪しげな鎧武者があった。それは高谷を切り殺してしまう。俺はそこで時間を止めてくれた化け猫に助けてもらった。
でも化け猫は俺に逃げろと言うだけで、夕子は助けてくれない。もたもたしているうちに、俺一人逃げるのにも充分な時間がなくなってしまう。そこで化け猫は俺を助けるために俺に憑依することを提案する。俺はそれを受け入れて、飛びぬけた身体能力と時を操る超能力を得た。おかげで鎧武者も破壊することができ、夕子と俺は助かった。ついでにいじめられっ子も返上することができた。
高谷は亡くしてしまったが、俺はそれなりに楽しく残りの小学校生活をすごした。でも肝心の夕子とは疎遠になってしまった。前はいじめられていたこともあり、いつもまるで弟でもかわいがるように気にかけてくれていたけれど。夕子とは同じ中学へ進学したが、クラスも違って関わりもなくなっていた。
だがそれでも夕子のことが気になる俺は、弱小卓球部に入ってバスケ部の夕子の様子をこっそり見ていた。そんな日々が続く中でとんでもない事件が起こった。
中二の2月、真冬の雪のちらつく日の朝に、俺は学校で恐ろしい話を聞いた。夕子が自殺した。父親が使用していた睡眠薬を大量に飲んで。