し
詩織さんが鉈を振り上げ、大地さんに襲いかかる。
私は手にしていたものを全て放り、詩織さんを追いかけた。
「駄目っ!!」
肩を掴み、振り向かせ、空いた手で鉈を振り上げた詩織さんの手首を掴み、止める。
「安、塔さん! どうして止めるんですか?」
腕を下ろさせ、鉈を誰もいない方へ飛ばす。
肩を掴んだままだった手でぐい、と詩織さんを振り向かせるなり、私はその頬を平手で打った。
「あなた、もう、罪を重ねたくないんじゃなかったの!?」
詩織さんは頬を押さえながらも、私の言葉にはっと目を見開く。
「ツミタチノヒトカタの本当の意味を、伊織さんの最期の願いを、わかったからここに来たんでしょう?ここでまた罪を重ねては駄目! この人たちには私が……私が、引導を渡すから」
ちら、と先程いた場所を見る。携帯を放り投げてしまったが、落ちていない。代わりにつぐみさんが手をひらひらと振るのが見えた。どうやら彼女が回収してくれたらしい。
ほっと小さく溜め息を吐く。
「へぇ、枝祈ちゃんが、俺たちに引導ねぇ? どうするつもりかな?」
まだ余裕の笑みを浮かべる大地さんを一瞥し、私はもう一度つぐみさんを見た。彼女が確かに頷き、私の携帯を操作する。
「俺の負けだよ、枝祈ちゃん──」
そこから今までの一連の会話が流れ出す。大地さんが顔色を変えた。
「枝祈ちゃん……」
「会話は全て記録させてもらいました。あなたたちの大好きな上層部にでも提出してみますよ」
私は皮肉をふんだんに込めて、そう言いきった。




