エピローグ3
重々しい防壁の向こうには、蒼と緑だけの開放的な世界が広がっていた。俺の親父たちが傭兵として活躍していた頃は、この開放的な世界は人間と魔物の戦場だったらしい。王都を取り囲む防壁も魔物から街を守るための設備だったんだけど、最近は魔物の襲撃も減っているから、この開放的な景色を遮っているだけの邪魔者でしかない。
今まで俺たちは、近くにある森に訓練や狩りに行く時しかこの景色を見たことはなかった。でも、これからはこの開放的な世界が、俺たちの旅路になるんだ。
「――――いよいよ冒険が始まるんだね、タクヤ」
「ああ・・・・・・」
隣に立つ赤毛の少女は、ラウラ・ハヤカワ。俺の腹違いの姉ちゃんだ。胸元が開いた黒い上着と黒いミニスカートを身に着けていて、頭には角を隠すための黒いベレー帽をかぶっている。
なんとなく、小さい頃によく遊び相手になってくれたガルちゃんにそっくりだった。
今から俺とラウラは、冒険者として旅に出る。戦い方は親父や母さんたちから教わったし、既に親父にも旅に出ていいと許可をもらっている。エリスさんは冒険者になるって言った時には号泣しながら「行かないで! 寂しくなっちゃうわ!」って言ってたけどな。しかもラウラまで寂しがって泣き始めたから、俺と母さんと親父の3人で何とかエリスさんを説得したんだ。
「行こうぜ、ラウラ」
「うんっ!」
親父から受け継いだ転生者ハンターのコートについているフードをかぶり直した俺は、隣に立っているラウラと手を繋ぎながら、開放的な世界へと向かって歩き出す。
転生者は親父が若い頃に狩り続けたせいで激減しているらしいが、まだこの世界には転生者が残っている。もし人々を虐げているクソ野郎に出会ったのならば、隣を歩くラウラと共に狩るつもりだ。
俺たちは、2人で2代目の転生者ハンターなのだから。
次の物語の主人公は―――――俺たちだ。
『異世界で転生者が現代兵器を使うとこうなる』 完
第二部『異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる』へ続く
読者の皆様方。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。力也たちの異世界での戦いはいかがでしたでしょうか? この物語の結末を想像していた読者の方はいないだろうと思うのですが、予想できた方はいらっしゃるでしょうか?
容赦のない主人公でしたが、彼の戦いはこれで終わりです。ですが、力也やエミリア達から力を受け継いだ子供たちの戦いは、これから始まります。
エピローグの最後に書いたとおり、この作品の第二部を投稿する予定になっております。もちろん主人公はタクヤとラウラの2人です。力也たちは傭兵だったのでバトルを重視しましたが、今度の主人公は冒険者ですので、冒険や日常も重視した物語にしてみようと思います。もしよろしければ、第二部もよろしくお願いいたします。
では、本当にありがとうございました!




