第四十八話「とある裏切り者の悲願」
国に忠義を尽くした。
領民に善政をしいた。
戦で功績をあげた。
子供ができた。
遅くに生まれた一人娘だ。
娘は騎士になることを夢見た。
魔法の適正もあり優秀な魔法騎士になった。
そしてあの戦で逝ってしまった。
狂ってしまいそうだった。
一人娘を戦にやってしまった自分を呪った。
貴族としてこの国に生まれたことを呪った。
このくにと敵対した魔族を呪った。
魔族を魔物どもを呪った。
だが戦は終わった。勝ったのだと言う。
娘を犠牲にして。
まだだ、まだ魔物たちが残っている。根絶やしにしなくてはいけない。全て・・・・・。
そう全て、全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て!!!!!
何が鎮魂祭だ!戦は終わっていない!
違うだろう!
そうじゃない!
娘の仇を。
娘の名前で、平和を謳う祭典を開くなっ!
だから奴がこの話を持ち込んだとき私は半ば正気を失っていた。
だが、古い友は私を正気に返してくれた。
迷宮核、竜の牙、獣の病、そして『・・・』。
禁忌の知識。
私ですら知らなかったこの国の根幹をなす魔術とそれに介入する方法!
そうだ!私は!あれ?
なんだっけ?魔物を?竜牙兵?狼男?
帝都に迷宮を?
そうだ!娘の仇を撃ちたいのだ!
さあ仕上げだ!
最後の一説を唱えるのだ!
竜牙兵が稼いだ時間で術式を・・・転移の術式を!
今!
皇帝アルバス!娘の仇を撃ちだ!




