嫌な物はオブラートに包んじゃえ 五包
親父が営む運送屋。
私は表から入ると、奥さんが店番をしていた。
「エミールちゃんこんにちは」
「おばさんこんにちは。 ユリハちゃんは?」
「そこの階段から二階に上がって。旦那もいると思うから。」
私はあまり音を立てずに、二回へと上がった。
二階は普通の住居になっていて、突き当りの部屋がユリハちゃんの部屋だ。
少し控えめにノックをすると、ゆっくりと扉が開き、親父が顔をのぞかせる。
「エミールちゃんか。 さあ上がってくれ」
「はい」
パタンと閉じられたドア。 素朴な子供部屋の窓際にあるベッドでユリハちゃんは横になっていた。
「エミールちゃん……お見舞いに来てくれたの?」
いつもの高い声で喋るユリハちゃんだが、喉を痛めているのか、掠れた声で私を見た。
「うん。 今日は苦くない薬も容易してきたから、ちゃんと飲んでゆっくり休んでね」
そう言うなり、私はデンプンで包まれた薬を見せる。
「その袋みたいなのはなぁに?」
「これ? これはデンプンっていう馬鈴薯から取れる成分を紙位薄くのばして乾燥させたものだよ。味はなんにもしないけど、お薬の味を閉じ込めてくれるんだよ」
そう言うと、ユリハちゃんは少し不安そうに
「苦くない?」
と私に尋ねるが、私が優しく笑顔で
「苦くないよ」
というと、嬉しそうにしている。
「私が作ったお薬だよ! ちゃんと休めばすぐに治るからね」
「うん!」
薬を飲ませ、少しの間他愛も無い話をしていると、ユリハちゃんは安心したのか、気持ちよさそうに寝息をたて始める。
「エミールちゃんはホントすげえな。 こんな娘のわがままに付き合ってもらって本当にすまねぇ」
「いえいえ。 私のお仕事はお薬屋さんですから、気にしないでください」
私は立ち上がり、ユリハちゃんの頭を撫でる。
「やっと、世界が安定して平和が戻ってきたのです。できるだけみなさんの笑顔が欲しいから、だから私はみんなの健康を考え、みんなの笑顔を力に頑張っていきたいのです。」
スヤスヤと眠るユリハちゃんは何処と無く、笑顔に見え、段々と私も微笑む。
「そういう所はおばあさまと殆ど変わらないな」
「ふふっ 当たり前ですよ。 私はおばあちゃんの孫ですから」
懐かしそうに笑う親父は、私を表まで送ってくれた。
「また何かあったら頼むぜ。 村の薬局屋さん」
「こちらこそ、また荷物お願いしますね」
奥さんと二人、私を見送る。 それは私がみたい笑顔で、明日の元気の源です。
手を振る二人に返すように、大きく手を振り、村の人全員に届くように……
「これからも、エミールの調剤薬局をよろしくお願いします!!」
オブラート編終了です。
作品の方も、段々と読者が増え、嬉しいのと、自分の文章力の無さに不安がありますが、楽しく書かせてもらっています。
次回ですが、エミールの過去編と日常編の同時進行もできればいいなーと思いつつ、私と異世界人と黄昏の世界と の更新もあるので検討してます。
どうか今後共私の作品をよろしくお願いします!
それでは次回へ!