嫌な物はオブラートに包んじゃえ!? 四包
前回の乾燥し過ぎたデンプンと違い、崩れることなく折れていく。
今回は成功したみたいだ。
「あとは、飲むときに薬の味が閉じ込められているかだけだね」
汲み置きしている水瓶からコップを使い水をくみ、薬を口に含んだ。
「はれ? 膜がくっくいてくふりがぁーー」
いそいで水を飲む。破けた部分から薬が溢れだし口内全体にひろがる。
勢いよくおかれたコップは作業台から転げ落ちる。
「私の作る薬ってこんなに不味いんだ……」
床に転がるコップを持ち、もう一杯水を飲み口直しする。
いくらデンプンが溶けるとはいえ、湿っていると張り付くなんて想像していなかった。
同じことは繰り返さないため、薬の代わりにすりごまを包み実験をはじめる。
まず始めに、コップに水を入れてそこに包みを入れ飲み込む方法だ。
たっぷりの水に浸して包みは透明になり……
「うわ……ゴマの粒が感触とかじゃなくはっきりと分かる……」
口に含んだ時点で包みは溶けてゴマだけが残ってしまったみたいだ。
次に水に浸した包みをスプーンですくいとり、口に含んで水を飲むという方法だ。
少し小さめの器を用意し、水を入れる。
包みをゆっくりと器にいれ、スプーンですくいと……れなかった。
「まさかデンプンではダメなのかな……」
残り二つの包みを持ち、少しだけ残っていたコップの水に一つ放り投げる。
「よし。入った!」
コップには、かなり湿っている包みがそのまま残っていた。
ゆっくりとコップから包みを手のひらに乗せパクっといってみる。
舌の上に乗っけられた包みからはゴマの味はしない
ためしに水を飲むとするってお腹に入って行った。
「これって……水に浸し過ぎなけれざ良いのかな?」
水の入った器にスプーンの上に乗っけられた包み。作業台に二組同じように用意した。
実験は簡単。
一つは少しだけ水に浸し取り出す。
もう一つは二十秒計った後にとりだす。
ゆっくりと一つ目を水に浸し、二つ目を少しだけ水に浸し取り出した。
結果から言えば、二十秒待った包みは溶けてなくなった。
水に浸し直ぐに取り出した包みは水気はあるものの、溶けることなくスプーンの上に残っていた。
私は直ぐに薬を包み、親父の家に向かった。