嫌な物はオブラートに包んじゃえ! 二包
「おいおい こりゃどうしたんだよ!」
ムキムキな体に似合ったタンクトップ。タオルをハチマキのように巻き付けた巨漢が店内の有り様に思わず大声を出した。
床一面の銀世界……ではなく、小麦粉をぶちまけた様な見事な事になっていた。
「薬の粒子が細かくて…… くしゃみが止まらなかったのですよ」
親父は薬が舞い上がらないようにゆっくりとカウンターに歩みより。親父の足跡はくっきりと残り、キュッキュッとした音を立てる。
「薬はちゃんと出来てますよ!」
と、慌てながらも薬の入って紙袋を渡す
「それなんだが……うちの娘が薬は苦くて嫌だと言い始めてな。エミールちゃんが作った薬だからといっても聴かなくて」
親父は大分困っているようで、娘を心配する気持ちがよくわかる。しかし、まだ幼い子だから仕方ないと思いつつも、
「分かりました。少し考えてみますので、このままカリン酒を飲ませてください。甘いからジュースみたいに飲めるはずですよ」
「すまねえな。」
エミールはかごにカリン酒を入れて親父に渡した。
「さて、苦くない薬か……薬は苦いから効くんだけど、どうにかして飲ませられるように出来ないかな……」
箒をもち、ゆかの薬をかき集めながらよい案を模索し始める。
「薬に砂糖を入れて甘口にしても良いけど、高いからな…… 味つきのジュースに溶かして飲ませるにしても、効果が薄くなりそうだし、そもそもカンゾウが入っているから甘いはずなのになー」
よく薬は水か白湯で飲めと言うのはこのためだ。他の飲み物とで何らかの作用が出たら大変だからだ。
「そういえば、おばあちゃんが昔に天草から抽出した液体を一口程の型に流し込んでそこに一包分の薬を入れて固めた物を4等分にして少しずつ飲ませてた事があった様な……」
それでも……
「天草も高いからな……身近な物で他に何かないかしら……」
そんなときにめにはいったのは、薬にまみれたデンプンシートだった。
続きますので 次回もよろしくです!