止血材は包帯だけじゃない 中編
というわけで、中編です!
次回で完結したいです。
次の日-
「ぐつぐつーー」
大釜には馬鈴薯が大量に放り込まれていた。
馬鈴薯はグツグツと煮込まれ、段々とデンプンだけが分離して釜のそこに固まり始めた。これはおばあちゃんに教わった簡単な分離法で大まかな分離はこれで十分だという。
馬鈴薯の実が全て分離したところでシノでできた玉網でデンプンだけを取る。取り出したデンプンは白くてもっちりとした弾力があり、麦転しみたいだ。
「そういえば、おばあちゃんの麦ころがし美味しかったなぁ…… 中のこしあんがまたたまらないんだよねー!」
そうして、アツアツのデンプンは木の作業台の上に乗せ、紙くらいの厚さまで薄く伸ばしていった。すごく美味しそうだったのは内緒だけど。
薄く伸ばしたデンプンは適当な長さに分け、日陰で少し天日干し。
そこまで終えると、時間は大体朝も過ぎていた。大体乾くまで、私はお店の準備をする。とはいえ、入口に「のれん」と呼ばれる物を付け、札を「OPEN」に変えるだけ。
掃除はいつもマメにしているので簡単に済ませ、珍しく売れた商品の前出しなどを済ませる。
「薬屋さんだけじゃなく、薬も売ってる雑貨屋さんとかならお客さんいっぱいくるかなー…」
などと思いながら、ポストを確認する。
「えっと…セナス地方の病院………包帯10c/s 脱脂綿が20c/sガーゼ15c/s 軟膏3c/sにハッカ油2c/s メントール4c/sに――こりゃ大量だな……」
確か、包帯と脱脂綿それにガーゼは今年の分の綿花で作ったから用意はできるけど、残りの軟膏にハッカ油にメントールは在庫すら危うい
とは言ったものの、仕事仕事と言い聞かせながら軟膏の用意を始める。
外傷に熱傷に炎症と色々効力があるなか、なぜメントールがあるのかと不思議におもったが、それもすぐに消し飛んだ。
メントールの効果は虫刺されだ。
清涼感で一時的にではあるが、虫刺されのかゆみなどを抑えることができる。
それなら、虫刺されの薬を注文すればいいのだが………
当然私の作る薬にはメントール意外にも色々入っている。それなのに虫刺されの薬を買わず、メントール単体で買うということはコスト削減なのだろうか?
まあ細かいことは気にしないで、次のハッカ油を探す。
ハッカ油は何に使うのか?
ハッカ油とは頭痛の痛みなどを緩和させる物で、頭が痛い時にこめかみのあたりに塗ると効果がある。
ただし人其々塗り方は違う様だが、求める効果は皆同じなのは当たり前だ。
ハッカでお菓子を作っている人も居るみたいだけど、私が売るものは基本的に薬品。食用には向かない。
私は集めた商品を木箱に詰め込み、入口付近に重ね、近くの村に向かった。