外用消炎鎮痛剤は森の中? パート5?
日も傾き始め、夕闇が太陽を追いかけて紫のマントをなびかせている。
ルーアが持ち帰ってきた、湿気っぽい薪に火をつけて明かりと暖を取る。高地なだけに冷え込む。
モヤモヤと立ち込めた火元は、薪が乾いたのか、薄くなり始めていた。
長い間、まともな食事と睡眠を取っていなかったのか、ルーアはお腹いっぱい食べて、ゆったりと寝ている。
この子……どうしようか……
近くにある村も老人ばかりだし、しばらくは預かった方が良いのかな……
私も疲れていたのか、すぐに落ちたらしい。
陽の光が身体を照らした頃に目覚めた私だが、ルーアはまだ眠っている。
薪の具合は良くなり、まだ消えていないみたいだ。
バスケットから小さい釜を取り出し、火にかける。
水筒から水を少々とポーチからジャスミンを釜にいれて煮出す。
ジャスミンの香りが水に馴染み、暖かい湯気からは透き通る香りが身体を目覚めさせる。
「んっー? 良い香りがするよ……?」
「ルーア 起きた?」
「んーっ!」
グーンと背伸びをするルーア。良く眠れたのか、寝癖が酷い。
「ジャスミン茶だよ。 飲んだことある?」
「じゃすみん? 分からないけど飲むー」
木のコップにジャスミン茶を注ぐ。 綺麗な薄い黄色だ。
「良い匂いはこれかー?」
そう言って一口すする。
冷ましたはずだから熱くはないと思うが、ちょっと渋い顔をして、
「なんか、味より香りが強いね……」
それでも少しずつすする。
「ハマると癖になるんだよー! 私がそうなんだけどね」
私もコップ注ぎ、香りを楽しみながらお茶をすする。