02 Power to be awakened to by a crisis ~危機によって目覚める力~
一体何なんだ、この世界は!?
オレは現在進行形で姿を隠している。何故なら
「グオオオォォォオオォオオオ!!!!!」
「く、来るな。来るなぁぁぁあああアアァアアァァァアア」
人間を喰らう化け物がいるせいだ。しかも困ったことに近くにいるらしい。
助けには行けない。オレには戦う技能なんて持ってないし、あったとしても勝ち目が無い。
だからオレに出来るのは冥福を祈ることだけだ。
グチュリ、グチャ、グチャグチャグチャ…
…喰ってるよ、すぐ近くで。どうしたもんか…。
考えをまとめる。結論は
「ここから離れるか…」
逃げることだった。しかしどうやらオレは運命ってヤツに嫌われているらしい。何故なら
「シャアアァァァアアア!!!」
「マジ…かよ!」
別の化け物に見つかったからだ。しかも
「グオオオォォォオオォオオオ!!!!!」
食事してるヤツもオマケで付いてきやがった。……非常に笑えん。
戦えないオレに出来たことは
「ちくしょう!!何でオレがこんな目に合わなくちゃならねぇんだ!!!」
溜まりに溜まりまくった怒りを外に出すことだけだった。
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「…ん?ここは何処だ?」
気がつくと黒の世界にいた。右も左も上も下も黒一色だ。
オレは死んだのか?それならここは死後の世界か?
そんな事を思い口に出した。あの状況だったら死んでもおかしくない。………だが
『それは違うな』
誰かに否定された。オレは声の方に向いた。そこにいたのは
「何だ…。この超常現象は…」
『ひどいな。気持ちは分からんでも無いが』
オレだった。いやオレに似た「何か」なのか…?」
『違うぞ。オレは「お前」だ』
どうやら口に出してたらしくオレに似た「何か」はそう答えた。当然オレは呆けるしかない。
「………。は?」
『正確にはお前の「一部」が正しいな』
そんなことをオレに似た「何か」は言った。
…いやいやいや。そんなオカルトみたいな事…。
『そう言えば「お前」の「アレ」の隠し場所は…』
「ちょっと待て!「アレ」って何だ!?何を言おうとしている!?」
『それはもちろん、オカ…』
「ごめんなさいいわないでくださいこのとおりですおねがいします!!」
オレは全面降伏して土下座した。「アレ」の隠し場所は家族ですら知らないからオレ自身である証明にもなった。ただし間違い無く上下関係が出来たが。
「で、何て呼べばいいんだ?『オレ』」
『別にそれで良いんじゃないか?「オレ」』
…一応これでも伝わるのでこのまま本題に入ることにした。
「違うってどういう意味だ?」
『まず「お前」はまだ死んでない。…と言っても危険な事に変わりないが』
「おいおい!」
ならさっさとなんとかしてくれ!本気でそう思った。
『落ち着けよ、「オレ」。なんとかしてって顔をしてもそれをするのは「お前」だぞ』
「そうは言ってもな!」
『とにかく!頼むから聞いてくれ!』
オレはそこまで引き止める以上何かあると思い、聞く姿勢に入った。
『「お前」はついさっき久しぶりに怒りを外に吐き出した、そうだろ?そのおかげでオレはここに出てこれたんだ。今なら危機的状況を打破できる』
「でもどうやってだ?……オレにそんなチカラは」
そう言うと「オレ」は口元を歪める
『いんやぁ、もう持ってるぞ』
「……………は?」
『ん~、具体的にはオレが手に入れた、が正しいか』
「…何でもアリだな。『オレ』」
お膳立てされた感があるが…。この際構わない。
「教えてくれ。どうすれば使える?」
自分の命のためなら文句はないさ。
その言葉を聞いた「オレ」は
『なら戻るぞ。あの場所に』
ニヤリと何か企んでいるかのような笑顔を見せた。
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………おいおい。
「何をしたんだ『オレ』」
思わず口に出してしまった。何故なら
「どうやってこの化け物を殺したんだ…」
と言うことだ。オレはいつの間にか後ろにいた化け物の上に乗り右手に持っていた刀で喉元を刺していた。
そして目の前にいた化け物は
「シャアアァァァアアア!!」
俺を警戒していた。………「オレ」はいったい本当に何をしたんだ?
(そいつをオレが殺しただけだぞ)
(……………。とりあえずどうすれば?)
(スルーかよ!そしてもう気付いてんだろ「オレ」)
頭の中で「オレ」と会話する。そうオレはもう気付いていた。
俺の中に眠っていた力を、それを使う方法を。
思いのままにオレは叫ぶ。
「さぁ、ひと暴れしようか!『スサノオ』!!」