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Welt Traveler  作者: Nitrogen
2/8

01 Opening of the trip ~旅の始まり~

「あ~ムッカツク!」


あのクソ共!自暴自棄ヤケになったら一番に五体バラバラにして晒してやる!!

オレはこの日サイッアクに機嫌が悪かった。たぶん人生初だろう、ここまでイライラするのは。

今日の授業の中に「ビデオ鑑賞」みたいなものがあったのだ。寝てても問題ないとのことだったので寝不足だったこともあり普通に寝ていたのだった。…ついでに言っておくが普段はしっかり起きてるぞ。ちゃんとやらなきゃ色々ヤバイからな。

そしたらオレが目の敵にしているヤツ―――向こうはどう思ってるかは知らん。と言うより知りたくも無い―――が


「寝てねーでちゃんと見ろ」


とかほざきやがった。コイツラは自分が寝てる時があるのにだ。やばかったね、アレは。危うく料理室から包丁を持って来てハラワタ引きずり出して踏み潰してやろうかと思ったからな。


っと悪いな、紹介が遅れた。オレの名前は「荒岸怜士アラギシレイジ」。H高校の2年生だ。彼女無し、友達片手で数えるほど。成績中の中…のはず。趣味は…寝ること、だな。


…はぁ~あ、何もかもつまんねぇな。群れることしか能のないバカ、他者を虐げることに愉悦を覚えるクズども。別にアイツらがこれから困ることになろうが知ったことじゃねぇけどな。

…こういうことを考えるといつも思っちまう。




本当に


こんな世界で


生きていく


価値はあるのか?って




「…だからと言って自殺する気はないけどな」


そんなことをしたらオレの友達の一人が


「んじゃあその時はインタビューさせてよ」


とか言いそうだしな。いや実際言ってるんだけど。

そしていつの間にか止まっていた足を動かし始める。…この時ちゃんと前を見てれば良かったんだ。

そうすれば


「は?」


マンホールに落ちて


「何で開いてんだぁぁぁああああ!!!」


つまらなくて平和な日常を終えなくて済んだのに。



そして


異世界を巡る旅を始めなくて済んだのに。







☆★☆★☆★☆★☆★







うわあああぁぁぁぁ…。





「ぁぁあああ!!!」


オレは驚いて飛び起きた。

な、何だ今の!?夢!?!?…マンホールに落ちる夢とか聞いたことないぞ…。

一回深呼吸して辺りを見渡す。すると違和感を感じ、もう一度確認する。そして気付いてしまった。


自分がどうしてここにいるか分からないことに。






☆★☆★☆★☆★☆★






現在、日付未確認、午前9時丁度。オレは日本のホテルと思われる施設にいる。荷物は学校に行くときに持ち歩いている物一式。最優先事項はここが何処か知ること。


状況の確認作業の完了。これより行動を開始する。………ってところか。


周りの状況を確認したオレは荷物を持って部屋の外に出てみる。……誰もいないな。

そのままロビーに行きチェックアウトする。どうやら数日前から泊まっていたらしい。…記憶に無いのが不自然だが。

その時に最寄りの駅が何処か聞いてみた。「何言ってんだコイツ」みたいな顔をされたが親切に教えてくれた。どうやら「渋谷駅」らしい。


最優先事項は解決したが困ったことになった。オレの家は神奈川県の橋本にあるのだ。渋谷はアウェイで基本何も分からない。

金は……良かった。帰るだけの金額はありそうだ。駅の方向を聞いて行ってみることにした。



歩く、歩く、歩く、歩く、歩く。……駅に着いた、が何か遠回りした気がする。ちゃんと道を聞いておけば良かったかもしれない。切符を買い、ホームに向かう。その時売店が目に入った。

もしかしたら新聞があるかもしれない。早速足を向ける。……無いな、聞いてみるか。


「すみません。新聞ってありますか?」

「新聞?ちょっと待ってね…。………はいコレ、110円ね」

「どうも」


早速日付を確認してみる。するとそこには驚くことが書かれていた。

マンホールに落ちたことが夢だったとしてもその前の記憶は現実の物のはずだ。それを前提として考えると2015年の5月・・・・・・・・だったはずだ。


なのにこの新聞に書かれているのは2010年の4月・・・・・・・・




拝啓、愛する家族へ

どうやらとんでもないドッキリに巻き込まれたようです。






☆★☆★☆★☆★☆★






道中何も無く、目的地である橋本に着いた。おもわず


「これは本当にドッキリなのか?」


とつぶやいてしまった。それに本当にドッキリだったとして何で「ドッキリ大成功」の看板がないんだ?そもそも一般人であるオレに仕掛けるのか?と色々考えながら駅の出口に向かう。

……まぁとりあえず家に帰るか。

そう決めて駅を出る。………瞬間


「ゴーン!ゴーン!ゴーン!」


と音が聞こえた。何かの警鐘のようだったが何が起きているか分からず身を固めてしまう。だが異変はそれだけは終わらなかった。空が紅く染め上がり人々はいつの間にか消えた。そして人々の代わりに聞こえてきたのは


「グオオオォォォオオォオオオ!!!!!」


オレの命を脅かす生き物の叫びだった。

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