本当の気持ち
君がいてくれたから
僕は頑張れたんだ
君がいてくれたから
想いが伝えられたんだ
だから
君には感謝してるよ…
* * * * * * * * * *
俺が今の彼女と付き合える様になったのは、幼なじみの佳枝のお陰だ。
彼女はいつも僕に協力してくれた。
告白する時も、僕の背中を押してくれた。
佳枝は、僕の1番の友達。佳枝もきっとそう想ってくれてる。
「涼太、いい加減にしないと彼女に言いつけちゃうよ?」
俺は今、学校の裏でタバコを吸っている。
注意して来たのは佳枝だった。
「いいだろ、少しくらい…」
「いつも言ってるじゃん、身体に悪いんだから!」
僕を怒鳴ると、僕のくわえていたタバコを口からヒュっと引き抜く。
「あわゎっ何すんだよ、危ねぇだろ!」
「言っても聞かない涼太が悪いんだからね!」
「ちぇっ…」
タバコを足でこすり、その場から立ち去った。
もちろん佳枝は追っては来ない。
最近、何だかそれが淋しく思えていた。
僕に彼女ができる前は、最後まで追って来て僕を叱り続けていた。
その内佳枝は僕を注意しにも来なくなった。
話しかけても来ない。
そんな或る日、教室に忘れ物を取りに行った僕は、教室から聞こえて来る会話に気が付いた。
「佳枝、もう無理しない方が良いって」
「そうだよ、佳枝はもう十分頑張ったじゃん」
佳枝?佳枝の話?
佳枝が無理してる?何の話だか、ちっとも分からない。
僕は教室の戸を開ける事も出来ないまま、その場に立ち尽くしていた。
中からは佳枝の泣き声が聞こえて来る。
「…っ、でも…仕方ないよ…、彼女いても期待しちゃぅ。
想い続けてればいつか振り向いてくれるかもって…」
佳枝…お前、好きな人居たのに僕の助けになってくれてたんだ。
気付けなくて…ごめんな。
そっか…俺、失恋、しちゃったんだ…。
やっと本当に好きなやつ、気付いたのにな。
苦笑する僕の頬には一すじの涙。
彼女には別れを告げる決心までしていた。
「佳枝、そんなに好きなら、もう本人に告っちゃったら?」
「え…私にはそんな資格ないよ」
「どうして…?」
「だって今の彼女とくっ付けたの私なのに…」
佳枝、俺以外のやつの手助けもしたのか?
「でもさ、それは涼太の幸せを願ったんでしょ?無理して自分の幸せ逃がす事無かったのに…」
俺?俺なのか?佳枝の好きなやつって…。
僕の身体が熱くなって行くのを感じた。佳枝が好きなのが僕だなんてすぐには信じられなかった。
「ねぇ、私…告っても良いのかな?」
「良いんだよ。これ以上無理したら佳枝の身体が持たないよ」
「私…行ってくる!」
佳枝が勢い良く席を立つ音が聞こえた。
「おい涼太、こんな所で何してんだ?」
「…!?」
「何?涼太?」
佳枝の友人が勢い良く戸を開ける。
目の前には僕が立っていた。
「あんた…私達の話聞いてたの?」
「最低…」
「…ごめん」
僕はうつむいて謝る事しか出来ない。
その横を佳枝が素早く駆け抜けていった。
「佳枝!」
僕も後を追いかける。
角を曲がった所で佳枝の腕を掴んだ。
「やっ…放して…」
泣きながら佳枝は訴える。
そんな彼女を無視し、僕は力一杯彼女を抱きしめた。
「…!?涼…太?」
「ごめんな。ずっと気付けなくて。
お前が好きだって、最近やっと気付いたんだ」
「…私を…好きなの?」
「あぁ…」
「でも、彼女は?」
「分かれる決心は付いてた」
「じゃあ、もう大丈夫なんだね」
泣きながら笑う彼女を、僕は胸に収めた。
翌日、僕は彼女と向き合っている。
「実は、分かれて欲しいんだ」
「うん。分かってる。佳枝と、でしょ?」
「知ってたのか?」
彼女はゆっくり顔を縦に振った。
「付き合う前、佳枝から相談されててね。
でも佳枝って好きな人の幸せを願う人じゃない?
だから私が手伝ってあげられたらなって思ってあなたの気持ちを受け入れたの。
ごめんね。好きでもなかったのに」
「いや…。有難う。お陰で自分の気持ちに気付けたよ」
「そうね。良かった」
こうして僕等は別れに至った。
* * * * * * * * * *
「涼太、桜、綺麗だね」
「そうだな」
今日は佳枝と二人で花見に来ている。
あの後、すぐに僕達は付き合い始めた。
「でもびっくりしたなぁ。元カノ。私に協力してくれてたんだね」
「俺にもな」
顔を見合わせ、小さく笑う。
今の僕達に、桜の花はお似合いだろう。
「これからはずっと一緒にいようね。涼太」
「そうだな。ずっと、な」
真っ青な青空の下、沢山の桜の木の下。
僕等はいつまでも笑い合っていた―――。
――END――
こちらもリク小説ですね。書いてて結構楽しかったです(*´∀`)vVv
なので、感想とか…下さると嬉しいです、ハイ。(;´∀`)>”