扇風機
※BL要素を含みます。
※ブログにも掲載しています。
登場人物
<春原裕紀 高2 ♂>
<小鳥遊秋人 高1 ♂>
「お邪魔しまーす」
「お邪魔されまーす!どうぞ!」
ドアを開けると、もわっとした熱気。
「……」
「……」
「あっつ……」
小鳥遊の家は第2学生寮、わざわざ電車使わないと帰れない場所。
不便な代わりにクーラーとか、設備はいいらしいんだけど。
「あそっか、クーラーあるんだろ?」
「それがですねぇ……」
東の方で節電が始まったから、西のこっちも節電しましょう!
ってことになってクーラー使用禁止なんだとか。
「なにそれ……」
「あ、でも扇風機はいいらしいですよ!
クーラーより扇風機の方が電気代10倍ぐらい安いって話ですし!」
「扇風機で部屋は冷えねぇっつの。
とりあえずつけて、やってられんこの暑さ」
「はーい」
小鳥遊が扇風機つけてる間も、そこに落ちてたうちわで扇ぐ。
すげぇ、汗とまんねー。
「ヅゲマジダー」
「……何?」
「づげまじだー?」
「何してんのお前……」
「えー、昔よくやりませんでした??
こう、扇風機に向かってヴァーって」
やったけどさ。
「お前がやると何言ってんのかわかんねーし」
「マジデズガ!?」
「……まじですか?」
「ゼイガイデズ!」
「どんなクイズ番組だよ……」
「! ゾレイイデズネ!」
ということでなんかよくわからん遊びをすることになった。
「ルールワガンダン! オレガイッタゴドバ、ゾノママイッデグダザイ!」
「説明ぐらい普通にやれよ」
「俺が言った言葉を」
「や、わかったけどさ」
「言えなかったらアイスおごりで!」
「……ほう、いいだろう、乗った」
「じゃ第一問いっきまーす!」
ガキかこいつ。
「ザンダズザンワ!?」
「ろ……3足す3は?」
「ふふふー!危なかったですね!」
……やるじゃねーか。
なんかその気になってきた。
「第二問!
ブガヅノゴモンノゼンゼイワ!?」
「部活の顧問の先生は?」
「む、第三問!
アイゴドバ、ヤマドイエバ!?」
「合言葉、山と言えば?」
「簡単すぎましたね」
「だな」
「あはは!」
いつの間にか八問目。
……おい、どこまでやる気だ。
第九問!って言ったところで、止まった。
「……」
「どした?」
「……へへっ、じゃぁいきますよ」
「ん」
「オレワ、ダガナジノゴドガダイズギデズ!」
「……っ!?」
な、に……っ!
「あっれー? わかんないんですかぁ?」
「てめぇ……」
「言ってくれないとアイスですよぉ?」
「……」
「せーんぱいっ」
な、なんで近寄ってくる……っ!
「てめっ、近い……っ!」
「だって聴こえないんですー」
「ま、まだ言ってねーし!」
「お、じゃぁどうぞ!」
「………~~~っっ!!
俺は……っ、小鳥遊のことが……大、好き……です……っ」
「正解です!!」
なんだこれすっげーはずい……。
てめぇ、絶対仕返し、
「全問正解した先輩にご褒美で……す!」
「っ!?」
なっ……!
「あはは! 先輩顔真っ赤ですよ!」
「っ! ったりめーだ!
ご褒美にキ、キスとか、全然嬉しくねーし!」
「うっそだー! あはは!」
「~~~っっ!! 早くアイス買ってこい!!」
「はーい、行ってきまーす!」
楽しそうな顔しやがって……っ!
「絶対仕返ししてやる……っ」
って言いながら、扇風機を引き寄せる。
涼しい風が気持ちいいんだけど、
……やべぇ、火照り全然とれねぇよ……。
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