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殺してほしい魔王と、愛されたい天才魔術師

作者:亀心
魔王として生まれて、千年が過ぎた。
人間から恐れられ、忌み嫌われ、
“絶対悪”として語られ続けた存在――それが、私。

でも私は、ただ「終わり」を望んでいた。

この世界は、前世で読んだ“絵本”だ。
聖女と天才魔術師が手を取り合い、魔王を滅ぼし、世界に平和が訪れる――
そんな美しく整った筋書き。
私には、そのラストシーンだけが希望だった。

「どうか、早く殺して」

それだけを願って、生きてきた。

そんな私の前に現れたのは、幼い少年だった。
鎖に繋がれ、誰にも顧みられず、それでも瞳の奥に燃えるような“才”を秘めていた。

彼こそが、私を殺せるたった一人の存在――天才魔術師。
聖女オリビアに見出され、奴隷から英雄へと歩み始めた彼は、
少しずつ心を開き、才能を開花させ、
やがて“魔王を殺す運命”を背負う者となっていく。

私は遠くから、彼を見守った。
寝顔を見て、危機に現れて、誰にも知られずに助けた。
殺されることを待ち続けながら、、。
プロローグ
2025/08/06 22:22
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