仮想。
現実で恋をしながら、仮想で恋をした。
きっとそれは受け入れ難いかもしれないけど、僕らにとっては普通のことだった。
これは高校に入ってからの話かな。
中学生の頃は
Y君に惹かれていた、同時に女の子も好きだった。
それとは別に、携帯の中でも自分は生きていた。さまざまな人のホームページ、俗に言うホムペを見て自分と似たような人を必死に探し、書き込んだりしてそっちの世界に足を踏み入れ始めた。
ただ単に同じ仲間が欲しいと思い、書き込む。
そういった事を繰り返しているうちに自分も作ってみたらどうだろうと思うようになった。
高校受験も控えながら、ひそかに自分のホムペを作ってみた。勉強の合間というのもあってとてもシンプルなつくりだった。
毎日毎日ちょくちょくとタグをつけたしてホムペをどんどん複雑なつくりにしていった。
色々なところで宣伝をしたり、日記を書いてみたり、見よう見まねでやっていったら少しずつであるけど訪問してくれる人が増えていった。
そんなかで、何人かのホムペ所有者同士ネットの世界ではあるけど仲良くなっていった。
こうして月日は立ち中学を卒業する頃、現実から逃げだした僕は仮想の中で暮らし始めた。
それと同時に現実の恋からも逃げ出した。