表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【休載】このジジイ、最強につき!  作者: noah太郎
第1章 ジジィ、目覚める
36/41

第35話 旅立ち

さて、購入した別荘へと出発する日がやってきた。

天気も良く、まさに旅立ちにはもってこいの日和。青い空と眩しい太陽が、まるで俺たちの門出を祝ってくれているようでもあった。


そんな好天の中、クロフォード家の屋敷の前にはアルベルトやエリザ、エマに加えて、クロフォード家の執事たちが集まってくれた。なぜかアリシアの姿もあることについて、アルベルトはどうやら訝しく思っているようだが、俺としてはそれに触れないでおく。


とりあえず、みんな俺とパルトを見送ろうと集まってくれているわけだが、やはりと言ってか、パルトはまだ人に慣れていないようで、俺の後ろに隠れて少し震えている。これまで迫害を受けてきた種族としての傷が、この2、3日でどうにかなるわけがないことは俺にでもわかる。だから、今はそっとしておこう。



「父さん、お体には十分気をつけてください。」



アルベルトがそう言って俺の手を握る。その手は温かくて力強かった。妻のエリザも少し心配そうな表情で頷いており、本気で俺を心配してくれていることが伝わってくる。俺にはそんな2人の気持ちが嬉しくもこそばゆくあって、少し恥ずかしげにそれに応える。



「お祖父ちゃん。これ……」



今度はエマから小さな小物を受け取った。小さな宝石の周りに、さらに小さな宝石たちが散りばめられたそれは、キラキラと輝きを放っていて、とても美しく心を奪われる。



「ほう。これは?」


「御守り……2人の安全を願って作ったよ。」



エマはそう言ってにっこりと笑った。だが、その表情には笑顔の他に寂しさも同居している。それを見て、名残惜しさが胸いっぱいに広がっていく。当分の間は家族とはお別れになる。その事実を目の当たりにしてしまえば、湧き上がる寂しさからは逃れられない。


俺はそれを隠すように「ありがとう。」とエマに告げ、その御守りを受け取った。



「大旦那さま。こちらは我々使用人一同からでございます。」



最後に、執事長が俺に封筒を1つ手渡した。中身はわからないが、感触的にどうやら冊子のようなものが入っているようだ。なんだろうと思い、チラリと封の中を見てみると、見覚えのある双丘の1つが……俺はすぐに執事長へ視線を向けた。すると、執事長は小さくニカリと笑い、深々と頭を下げた。それに倣って、後ろに並んでいたメイドたちも深々と頭を下げる。



「わかっとるのぉ。」


「何年のお付き合いになりましょう。」



顔を上げ、そう笑う執事長と俺はハイタッチする。まるで長年連れ添った戦友との別れを惜しむように。その様子に、アルベルトたちは意味がわからず疑問符を浮かべているが、そんなことは気にしない。



そうこうしているうちに、出発の時が訪れた。

パルトを馬車に乗せると、俺はゆっくりと振り返る。アルベルト、エリザ、エマ、執事長、メイドたち、そしてアリシアの顔をゆっくりと眺めていけば、感謝の気持ちが収まらなくなる。アリシアは……よくわからないが、短い時間なりに、みんなには本当に感謝の意が尽きることはない。


この体は確かに彼らの家族なのかもしれない。だが、本質的には他人である俺に優しくしてくれて、ありがとう。俺のわがままに付き合ってくれて、本当にありがとう。


彼らの温かさに、優しさに対して、俺はゆっくりと頭を下げた。



「では、行ってくるでのぉ。」



そう告げると、俺はゆっくりと馬車に乗り込んだ。席に腰掛けると、それを見計らったように馬車は動き出す。


無意識にだが、いつの間にか俺は横にいる亜人の子の頭を優しく撫でていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ