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軌道  作者: 小雨
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週末まで、激動のようだった。

カプセルホテルに泊まる事も何度かあり、心身共に疲れきっていた。

部長は、今回の件で僕に対する信頼を大きく失ったようだった。

中間報告をした時に、理不尽とも思われる叱責をうけた。

本来であれば報告の時間すら惜しかったが、僕は疲れきっており、黙って聞くのみだった。

「やっぱり小山にはまだ無理だったか…」

自席に戻る僕の背後から、そんな呟きが聞こえた気がした。

クライアントには、提示された予算で可能なギリギリのものを提案した。結果、大きく規模が縮小され、設備的にもかなり中途半端なものになってしまった。

最初の構想とは大きくかけ離れてしまったため、ある程度の赤字は覚悟しておかねばならないかもしれなかった。初期投資としては悪くないかもしれないが、手痛かった。

クライアントへの報告を終え、ひと息つけそうだった。

相変わらずの最終電車に揺られながら、週末は久しぶりにゆっくり寝ようと思った。


翌日、昼過ぎに目が覚めた。

ずっと寝ていたかったが、そういうわけにもいかない。寝貯めできない体が恨めしかった。

ここ一週間まともな食事をとっていない気がしたが、食欲はなかった。

僕はそのまま布団に横になって本を読んでいたが、すぐに活字を目にするのが嫌になってやめた。

二度寝しようかとも思ったが、一度目が覚めてしまうと起きられない体質だったため、諦めて起き上がった。

カーテンを開けると、いい天気だった。

空は晴れ渡り、所々に千切られたような小さな雲が飾り程度に浮いていた。

この空のように心が晴れ渡っていたら、どんなにいいかと思う。

なんの心配事も不安も無く何かを楽しめた事など、しばらく無いような気がした。

僕は頭を空っぽにしたくて、ぶらぶらと外出した。

ボーっと散歩する事しかない休日ってどうなんだろう…だめだ、何も考えるな。

先週と同じ様に近所の公園に出かけ、ベンチに腰かけて缶コーヒーを飲んだ。

コーヒーは、おいしくなかった。

少し歩こうと思い、僕は公園を後にした。

当ても無い散歩だった。

普段密度の高いコンクリートジャングルの中で仕事をしているので、地元に帰ってくると安心する。

今までずっと地元から出たことは無かったが、今でも地元に残っているクラスメイトはどのくらいいるのだろうか。

ふと昔を懐かしく思った。やはり僕は思い出を食いつぶして生きているのかもしれない。

そんなことを思っているうちに、田んぼ道のほうへ足が向いていた。

Y字路を右に曲がり、坂を下る。

気持ちいい秋の日だ。歩くのは心地よかった。

坂を下り、川が見えたあたりで、ふと橋の上に人だかりができている事に気がついた。

高校生達が数人たむろして、橋の下を見ている。

何かあったんだろうか。僕は橋の方へ向かった。

「何かあったの?」

僕は高校生の女の子に聞いてみた。

「あれ…」

彼女は橋の下を指差した。

するとそこには、由紀ちゃんがいた。

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