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第27話 目覚め

カーラ 公爵令嬢 銀髪に翠の瞳

レフ  転生者 琥珀狐 カーラの相棒

コラン カーラの想い人(両想い) 王子 金髪碧眼

ヘルン コランの姉 王女 金に近い茶色の髪 碧眼

ロナルド(ロニー) カーラの兄


プラシノ  風の精霊


(ハク) 沼地に住む魔物 人の姿をしている

ハクリ   白の執事 白蛇の姿をしている

トッチョ  白に救われた少年


キャンディ 帝国第七王女

「おはよう、レフ。よかった……! 傷は治ったのに、目覚めなかったから。心配したのよ」


 カーラがそう言って、レフに抱きついてきた。


「カーラ……」


「ずいぶん大きくなっちゃったわね」

 背中を撫でるカーラの手が、とても優しい。


 頭がぼーっとして、考えがまとまらない。

 そうだ、ミルズを庇って、傷を受けて、力が抜けて……。


 傷のあった部分を確認する。

 もう痛みも傷も見当たらない。毛並みすら整っている。


「私、毒は?」


 レフの問いかけに、カーラが答える。


「プラシノ君のおかげよ」


 あ、プラシノ。

 今日はコランの肩の上に乗っている。

 ロナルドは王都で留守番だものね。


 プラシノが胸をはり、ドヤ顔で説明してくれる。

「ほら、俺が前にやった『ハリセンボン』あっただろ。お前、あれちゃんと食ってただろ。あれの効果で、毒成分中和されてたわ」


「そっか。ありがとうね。ーー私ずっと、気を失ってたの?」


 プラシノと白が顔を見合わせる。

 説明をかってでたのは白だった。


「そうだね。傷を受けて、すぐにカーラ殿が回復をかけたのだが、意識だけが戻らず」


「ヘルンは? ミルズは無事?」


「大事ない。ヘルン殿の治療も終わったよ。今は体力回復のために眠っていただいている。ミルズは驚いただけだ。レフ殿のことを心配してずっとついていたのだが、眠ってしまってね。トッチョが部屋に連れていったよ」


「そう。よかったーー」


「レフ殿。この場所に、何か感じる事はないか? レフ殿には、縁がある土地かと思うのだが」


「土地がどうかはわからないけれど、夢を見たわ。なんだか懐かしい夢を。女の人の声がした。誰かは思い出せないのだけれど、きっととても愛しい人だった。

 彼女が、私に本当の名前をくれてーーそうしたら、この姿になっていたの」


「レフの血が流れた事で、この地に眠っていた女神が目覚めたようだ。お前はそれに引っ張られたんだ」


「だよな、白?」


「ああ。この地には、彼女の魔力がずっと眠っていたのだよ。ーーきっとずっと昔から、この国を見守ってきた土地神だろう」


「お前の加護の気配もきっとその土地神のものなんだろうな」


「そういえば、夢の中で誰かが泣いていて……」


 あれが、彼女なのだろうか。思い返そうとするけれど、はっきりとは出てこない。


 ただ、ずっと胸にあった不安は不思議と無くなっていた。


 彼女のことを思い出しても、レフは変わらない。

 大事な人のために生きるという決意が、変わることはないと、今なら言える。


 不安のあった場所に、安堵と力がみなぎっているから。


「ううん、いいわ。ねぇ、いま、どういう状況? 外の戦いはどうなったの?」


 レフが気を失ったあとの成り行きを、コランが説明した。

 コランの能力のあたりでレフはぽかんと口を開いた。

 そんな隠し玉をもっていたなんて。見抜けなかったわ。


「で、本当のキャンディは念のため、白のはった結界の中にいる」

 少しでも気配を悟られないために。

 

 せっかく死んだことになったのだ。追っ手や刺客の影に怯えず、新しい人生を歩んでほしいと考えた末の采配だった。


「皇帝は思ったよりしょぼいのね。やっぱり、ヘルンをやった奴が元凶かつ厄介なのね。ちょっと懲らしめた方が良いわね」


「とはいえ肩書きは一応、帝国の皇帝の側近だからな。実力も折り紙つきだ。ヘタはうつなよ」

 プラシノが言う。


 レフは鼻を鳴らして意気込んだ。

「ふん、ちょっとした狐と蛇男の喧嘩じゃない」



「私、この姿になったから、力がみなぎって仕方ないの。いまなら、鴉だろうが蛇男だろうがひとひねりよ」


 クスクスクスと笑う顔が、いままで見たどのレフよりも、黒い。不穏過ぎる。力の上限も体への負荷も未知数なのに、やりすぎて反動がこないかと、プラシノは案じた。


(覚醒ハイか?)


 これ以上は、何を言っても、とばっちりを受けそうだ。


 今回はどう考えても、帝国側が悪い。


 怒ったレフが暴走しても困るけれど、プラシノだって怒っているのだ。


 大切な友人を、傷つけられて。


 これ以上、馬鹿を庇ってやる義理もない。


 好んで虎の尻尾を踏みにきたのはあいつらだ。


 プラシノは、そばで成り行きを見届けることにした。

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