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第18話 使者

カーラ 公爵令嬢 銀髪に翠の瞳

レフ  転生者 琥珀狐 カーラの相棒

コラン カーラの想い人(両想い) 王子 金髪碧眼

ヘルン コランの姉 王女 金に近い茶色の髪 碧眼

ロナルド(ロニー) カーラの兄


プラシノ  風の精霊


(ハク) 沼地に住む魔物 人の姿をしている

ハクリ   白の執事 白蛇の姿をしている

トッチョ  白に救われた少年


キャンディ 帝国第七王女

 白の棲家。


 一番大きい広間で、皆が集まっていた。

 カーラ、コラン、レフとプラシノ。

 そしてキャンディ。

 トッチョは別室でミルズと一緒だ。


 白とハクリは、少し遅れていた。


 沼地の近くで何かがあったらしい。




「……っ、ヘルン殿の魔力が使われた、気配が。それに、血の匂いが、しているようだ」

 白とハクリが急ぎ戻ってきた。


 周囲に放った使令を通して、白が争いの気配を感じ取ったらしい。

 ーーまさか、ヘルンたちに何か。

 一同が顔を見合わせる。

 カーラが、張り詰めた厳しい顔をレフに向ける。


「レフ、ヘルン様の場所がわかる?」


 少し考えて、こくんと頷くレフ。

「外に出たら、わかる。多分」


 白の空間は隔離されているので、対象がよほど沼に近づいてくれないと、気配がわからない。

 しかしレフ自身が外に出たら、あたり一帯の森の中からヘルンを探し出す自信はじゅうぶんにあった。


「では、出口を」

 白がハクリに目配せをする。


「私が行くわ。コラン殿下は、こちらで情報統制を」

 そう言いながら、カーラははずしていた細剣を装備する。


「ああ」

 カーラの頭に手をのばし、引き寄せて額にキスをするコラン。

「気をつけて」


「無事に帰ります」

 笑顔で答えるカーラ。


「プラシノくんも、お願いできる?」

 

「ああ、わかった」


 白たちに送られて、レフ、カーラ、プラシノの三人がヘルンの捜索に飛び出した。

 プラシノの力で森の上空へ飛ばしてもらう。


 ーーどこだ。


 泳ぐように森の上をとびながら、風の匂いを嗅ぐ、レフ。

 かすかに漂う何かが腐ったような臭い、そして焦げたような臭いに邪魔をされるが、その中から必死でヘルンの匂いと気配を探す。


 ーーいた! 


「あっち!」




「ヘルン!」

 座り込む姿を見つけて、レフは空から駆けおりた。


「ああ、レフちゃん……。よくここがわかったわね。不覚をとっちゃったわぁ」


 布で押さえられた傷跡は、いまは血は止まっているようだった。

 しかし、とても嫌な感じがする。

 レフは身震いをした。

 ざわざわと、全身の毛が逆立つ。

「誰にやられたの」


「ヘルン様!」

 カーラもふわりと着地する。


「大丈夫かぁ」

 プラシノがヘルンに近づき、顔を顰めた。


「これは、呪いか?」


 ヘルンは首を傾げる。

「かしら。痛くも痒くも、ないのだけど。魔力はとられてる感じは、少しあるわね」


「一体、誰がーー」

 中央国最強と名高いヘルンが負けるなんて、信じられないと、カーラの顔に書いてある。

 

「知らない坊やだったわ。あれは、人ではなかった。魔物か神の類か。もしかしたら、帝国の手先かしらね」


 或いはーー


「あの坊やが、帝国をそそのかした側かもしれないけれど。一国王の手に負えるような()()には見えなかったわ」


 指揮官として、最悪の場合を想定しなければ、とヘルンは思いを巡らせる。

「総力戦でないと、勝てないわね。辛くも勝てたとして、果たしてその後帝国軍を相手取って退けられるのか、わからないわ」


 カーラが息を飲む。

 ヘルンの部下たちはとても静かに、しかし悔しそうに下を向く。実際に戦いを見たものたちの反応が、ヘルンの言葉を裏付けるようだった。


 口の端で笑って、ヘルンは呟いた。

「まったく、悩みは尽きないわねぇ」



          ※



「なんや、あの小僧」


 せっかく一兵卒に混じって逃げようとしていたのに。

 あっさり見つかって、魔道士だと看破されてしまった。

 黒髪の少年だった。魔道士に似たローブを着た。

 いわく、皇帝の側近だと言う。

 圧倒的な魔力の前に、その言葉を疑う選択さえさせてもらえなかった。

 皇帝よりも、敵に回したくないと、本能が察知していた。

 おかげで、使者という重大な役目を担う羽目になってしまった。

 うまくいかなかったら、首が飛ぶのだろうか。

 物理的に。


「こんなはずちゃうかったのになぁ。おおっと」


 独り言を言っていたら、大事な書簡を落としそうになる。

 二本の足で器用に書簡を掴みなおした鴉は、帝国側から国境の川を易々と越えた。

 

 地が裂けたように深い川ーー渓谷の向こう、中央国側には森に囲まれた沼地が広がる。


「目的地は〜……っとと。あそこかぁ」


 沼地の上を何度か旋回する。この周辺のどこかに、中央国の王女がいるはずだった。

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