表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/39

第16話 悪路

「あと少しね」


 森の中を、ヘルンと兵士たちは馬に乗り進んでいた。

 雨雲に行き合わなくてよかった。

 もともとある道は進軍には向かないため、先導する魔道士団が浮遊魔法を使いながら、多少の木や下草を伐採して道を開けながら進む。

 潜伏しているかもしれない帝国兵の話も、ヘルンまで通っていた。

 警戒しながらだと、ただでさえ、どうしても時間がかかる。


 先鋒から、小さなどよめきが聞こえた。

 



 魔道士団の指揮をとっていたのは第三師団長のヴェルだった。

 茶色い髪はサイドが刈り上げてある。魔道士にしては体格が良く、剣も巧みに使うので、制服のローブを着ていないと騎士に間違われることがしばしばだった。

 ヴェルは中央国の現役魔道士団の中では十本の指に入る使い手だと自負している。

 ただし、魔道士団という縛りをなくすと、上位五十人の中に入れば良い方だろうと思う。

 軍人はもちろんだが、ヘルンやカーラ、シーミオなど、平常時は温存している戦力が、中央国にはごろごろいる。


「毒蛇……でしょうか。あまり見ない種類ですが」

 すぐ後ろを歩いていたエリアスが言う。

 彼もまだ学生の身で魔道士団に抜擢された才能ある若者だ。

 彼は細やかな魔力操作の能力が飛び抜けている。あらかじめ術式を使うことにより、先遣隊の人間の見ているものを、脳内に再生できるらしい。

 魔道士団の未来は明るいなーー。赤茶色の髪をした青年を眺めながら、あと十年もすれば、若者にあとを任せて自由気ままに放浪でもしようかとヴェルは思っていた。

 

 ふたりは前方の人垣に追いつき、報告を受ける。

 先遣隊の足元には、真っ二つになった黒蛇が、六匹分落ちていた。

 腐ったような臭いだなと思ったが、実際、血の流れた場所の草が、腐食している。


「念には念をいれて、焼却いたします」


 毒のある生き物の死骸を放置すれば、他の生き物に影響がある。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()




 胸騒ぎがして、エリアスは炎の魔法を使おうとした魔道士に目をやった。

 このタイミングで、新種の毒蛇が見つかる事などない。帝国の人間の仕業なのは誰もがわかっているだろう。


 ただ、違和感がある。帝国の人間が、ただの毒蛇ごときを罠に使うほど甘いとは思えない。


 罠の効果的な使い方は、ターゲットにトリガーを発動させる事だ。

 いつだって、自軍の足を引っ張るのは慢心と思い込みである。

「待ちなさいーー!」


 声を上げたが、遅かった。

 練られた炎は、足元の蛇の骸を瞬く間に包む。

 

 腐臭とは違う異臭が、エリアスの鼻をつく。


 くらり、と目まいを覚えた瞬間、光の壁がエリアスたちを覆った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ