第2話 スキルの可能性
だいぶ短いです。
スキル【操作】の性能や効果を知るために彼は今、家の中庭に立っていた。
(【操作】か。普通に考えれば人や物を操ったりする感じのスキルだろうが…。今は人に使うことはできないからとりあえず物に対して試してみるか。)
シェルターから持ち出したラジオを足元に置いて、一歩後ろに下がり距離を取る。そしてラジオに手のひらをかざし、スキル【操作】を意識して使ってみる。
(それっぽく使ってみたが何も起こらないな。ラジオだからダメなのか、それとも接触していないとダメなのか。ラジオに触りながら発動してみるか。)
しゃがんでラジオに触れ、先程と同様にスキル【操作】を使うと、初めてスキルの発動に成功する。
(ほう、これは面白い。ラジオのボタンに触れずともラジオの電源を入れることができた。さらに【操作】を発動することでラジオが元々備えている全ての機能を使える。原理は検討もつかんな。しかし、スキル【操作】はかなり汎用的だな。これから機械技師にでも転職しようかな。)
(スキル【操作】を発動することで機械を操作できるというのはなんともわかりやすい。名前の通りだ。お次は何に使おうか。)
視線を周りに巡らせるとあるものが目に映る。
(シャベルか。ラジオのついでに持ってきたが、シャベルに対して発動したらどうなるんだろうか。シャベル自体にはなんの機能もないから発動しないか?)
壁に立てかけていたシャベルを手に持ち、スキル【操作】を発動してみる。
(発動は…、成功しているのか?使ってはいるが目に見える変化はない。まぁ、とりあえず地面でも掘ってみるか。)
ザクザクと地面を掘り進めていく中で彼はある違和感に気づいた。
(なんだろう、どこにどのように力を入れれば効率よく掘れるかがなんとなくわかる。シャベルの性能を完全に引き出せている感じがする。)
掘り進めているうちに2mほどの穴を作り上げた彼はその穴からなんとかして這い出る。
(このスキルはすごいな。汎用的なんてものじゃない。物を扱う際の最適解がわかるなんてもはやズルだな。チートだな。)
(シャベルに【操作】を使うことでわかったことがある。間違いなく【操作】は俺の意識に介入している。それによって俺に穴を掘るときの最適解を示してくれる。要するに、【操作】の効果範囲に俺自身も含まれているということだ。ならば俺自身を発動の対象にしたらどうなるのだろうか。実践あるのみだな。)
シャベルを手放し、自分自身を対象にしてスキルを発動する。
その瞬間―彼の世界は一変した。
タイトル詐欺乙