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第1話 再び地上へ

 ピピピピッというアラーム音に起こされた彼は未だに起きることを拒否する身体を無理やり動かし、アラームを止める。


(もう朝か。昨日はよく動いたからぐっすりと眠れたな。寝てる間にモンスターに襲われるなんてことはなかったな。よし、まずは会社からの連絡を確認するか。)


 ベットから這い出て、シェルター内の洗面台で顔を洗う。そして備蓄の乾パンを朝ごはん代わりに食べる。


(なんかシェルターでの暮らしも悪くないな。家の方は無駄に広くて豪華だから、独身貴族感があって虚しいんだよなぁ…。あ、そんなことより会社からの連絡見ないと。)


 スマホで会社からのメールを見ると、そこには非常事態につき本日は臨時休業となる旨が書いてあった。


(まぁそうだよな。ただの地震だけでも大ごとなのに、ダンジョンの発生なんて摩訶不思議なことまで起きてんだ。多くの社員を抱える俺の勤めている会社に対して、政府からなんらかの要請や指示が出て休業にしている可能性もある。まぁ、ただの平社員の俺にとって大切なことは休みであるということだ。)


 休みが確定して、時間ができた彼は昨日と同じようにネットでの情報収集を行った。


(ダンジョンのモンスターはダンジョンから出てこない?モンスターを引き連れてそれを試した命知らずな奴がいたんだな。それが本当ならありがたいが俺も試してみるべきか…。

 街中に発生しているいくつかのダンジョンを自衛隊が制圧している。やはり銃火器はファンタジーな奴らにも効くのだろうか。

 ただ、発生したダンジョンの数が多すぎて自衛隊が管理出来ていないダンジョンの数の方が遥かに多いとのこと。俺の家のダンジョンもそのうちの一つだ。まぁ俺の家の中にできてるんだ。管理されていたら逆に怖いわ。)


 そして、一際彼の目を引いたのはとある生放送を切り抜いた動画であった。


(この男は水を生み出しているのか?【火属性魔法】があるなら【水属性魔法】があっても不思議はないが…。さらにこの動画の中でこの男は「自分のスキルを思い浮かべてみろ」と言っている。まぁ、思うだけなら今でもできる。)


 そう考え、彼は自身のスキル【操作】を思い浮かべる。



 《スキル 【操作】》



「うぉ!なんか出てきた。」


 スキルが空中に表示され、確認することができた。


(どこを向いても表示されているな。眼球に張り付いているみたいだ。気味が悪いな。)


 彼がどれだけ目を凝らしてもなんの変化もない。スキルの使い方や効果を知りたいと思っても同様だ。ただ本当にスキルが表示されるだけのようだ。


(不便だな。1から自分のスキルの検証をする必要があるな。それにダンジョンのモンスターが出てこないのかの確認もしないといけないし、やることはたくさんだ。だが、その前に一度地上に出て現状を確認するか。)


 彼はシェルターの入り口を開け、地上に出る。


(本当に津波は来てないんだな。家の中は地震のせいで多少乱れているがある程度は綺麗なままだ。)


 まずブレーカーを付け、そのまま2階の自室に向かい開けていた窓を閉め、服を着替える。そしてそのまま街を一望できる屋上へ向かう。


(ふむ、古そうな、特に木造の家は良くて半壊、悪くて全壊だな。比較的新しい鉄筋コンクリートの家も傾いていたり、窓が割れているな。やはり昨日の揺れは相当なものだったな。けたたましいサイレンを響かせる救急車やパトカーがそこら中にいるな。全くご苦労さんだ。俺の家はシェルターだけでなく、家自体もかなり頑丈に作ってある。だから問題はない筈だ。)


 周囲の様子を確認した彼は地震で乱れた家の中を片付けていく。全てを片付け終えた頃には昼になっていた。


(今日は動きっぱなしでお腹が減ったな。なんかでもするか。冷凍庫になんかあったっけ?)


 ブレーカーを自家発電器モードに切り替えておいた彼は冷凍庫がちゃんと作動していることを確認しながら、冷凍炒飯を取り出し、電子レンジで温める。


(ご飯を食べたら午後はスキルの確認とできればダンジョンに入って色々検証してみるか。昨日入った時は謎の声に動揺して何もできなかったからな。)


 十分に温まった炒飯を、黙々と食べながら彼は午後の予定を立てていった。

冷凍炒飯は一人暮らしの味方です。

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