表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/46

(3)2日目-2 登場人物

 指宿(いぶすき)市名物そうめん流しの店に着き注文をする。

 店員が立ち去るや否や、桃子が白木に1枚の紙を押しつけてきた。

 企画参加者の名簿らしい。



 《企画参加者一覧(五十音順)》

 青島未紗十   28歳 化粧品メーカー勤務

 赤津五十一   67歳 無職

 阿二青人    24歳 メーカー勤務

 伊五澤橙吾   28歳 会社員

 一岩浅黄    55歳 主婦

 一条水澪    22歳 大学院1年生

 御茶屋伊十五朗 55歳 公務員

 黄山勘九郎   54歳 無職

 九之坪眞白   32歳 IT系個人事業主

 黒澤五十鈴   34歳 主婦

 小緑十四郎   38歳 小売業契約社員

 四国紫     49歳 銀行員

 紫尾十二愛   17歳 高校3年生

 橙山十令三   18歳 大学1年生

 七野翠     46歳 農家

 七海茶和子   42歳 小売業パート

 二階桃子    15歳 高校1年生

 三枝朱絵    26歳 メーカー勤務

 八子黒音    18歳 大学1年生

 六斉堂美緑   37歳 アルバイト


(企画外登場人物:白木 一  36歳 総合商社勤め)



 企画参加者は合計20人。

 企画運営が負担するのは旅館との行き帰りの交通費と1週間分の宿泊費、あと、ちょこちょこと補助程度という話だが、結構な大盤振る舞いだ。


「にしても。世の中には、数字と色の入った名前持ちの人って結構いるもんなんだね」

「モモも思った。てか、それを言ったら、おじちゃんも条件に当てはまるじゃん? モモが申し込んであげておけばよかったね」

「ああ、そうだね。当選してたら兄貴に旅行権をあげたのに」


 そうすれば、白木はせっかくの長期休暇の半分を子守に潰されずに済んだのに。

 今更どうしようもないのだが。

 なんともなしに名簿を眺めながら、年若い参加者の何人かを白木は指した。

 紫尾(しび)十二愛(そにあ)17歳、橙山(とうやま)十令三(どれみ)18歳、八子(やご)黒音(くおん)18歳。


「いるじゃない。年が近くてすぐに仲良くなれそうな子」

「その子達とならゆうべ喋ったよ! 砂蒸し風呂も一緒に入ったんだ~」

「なら、一緒に登山も行こうって誘えば良かったのに」

「何人かは行くって言ってた気がするよ。でもさ、その程度のお知り合いとより、モモはおじちゃんと行きたかったの」


 喋った上に一緒に風呂に入れれば、仲良くなる足がかりには十分ではないだろうか。最近の若い子の基準はわからん。と白木は頭を抱える。

 けれど、考えても答えが出ない問いのような気がして、すぐに考えるのをやめた。


 そうこう喋っていると頼んでおいた品が届く。

 水がぐるぐると流れるそうめん流し器の中に白木は素麺を投入した。

 投入したそばから桃子が素麺を豪快にかっさらっていく。


「女子ってもう少し遠慮して取るものじゃないの?」

「おじちゃん相手に遠慮する必要性を感じないな~。おいしいねこれ」

「遠慮はいらないけど、気は使ってあげなさい」

「はーい」


 素麺ばかりに食いついていた桃子が、サイドメニューを食べつつの動きに変わった。

 ようやく白木も素麺にありつく。


「おじちゃんの都合でモモの登山を潰したんだから、代わりの遊びプラン用意してよね」

「強引に面倒みさせてるのに、更に強気に出てくるわけですか」


 まったく、兄夫妻は姪にどのような教育を施しているのだろうか。

 もっとも、姪に懐かれているのがまんざらでもなく、白木が甘やかしているのも、彼女が好き勝手しすぎる性格になってしまった一因なのだろうが。


 今だって、不平を言いながらも、白木の指は姪が遊ぶのに程よい観光場所を探すためにsurfaceを操作している。

 条件が合いそうな場所を見つけ、白木は指を止めた。


「ここなんていいんじゃない? 養蚕農家カフェなんだけど、絹糸でコースター作りしたり、天然美容液が売ってたりするらしいよ。義姉さんに土産に買ってあげてもいいけど」

「お土産買ってくれるんだ! じゃあそこで!」


 マスの塩焼きを口いっぱいに詰め込んだ状態で桃子が食いついてくる。

 現金なものである。


 なにはともあれ、コースター作り体験には予約が必要なようだったので、今日の昼から予約が取れるか白木は電話をした。

 無事予約が取れたので、あとはひたすらに料理を楽しむ時間に変わる。

 白木の頼んだセットにだけ付いていた鯉のあらいを桃子が奪うという事件はあったものの、平和に昼食は終わった。


 白木はそのまま車を走らせて目的の養蚕農家カフェへ向かう。

 助手席で桃子はお気楽に寝ているのだから、いい御身分だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。 名前に色の入っている石河です。 参加者名簿の翠さんには、何とか生き残るべく頑張って欲しいところです。 客室を訪ねていっても不審ではない間柄って難しいですよね。性別か、年齢か、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ