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(1)1日目 ゲームスタート
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※感想欄で多少のネタバレがあります。
自力でトリックを解きたい方は読了まで見ないことをお勧めします。
大柄で筋肉質な男の顔が湯船にはった湯に沈む。
水没してすぐこそ口や鼻から気泡が出ていたが、それも束の間の事。現象はすぐに止まった。
肺の中に酸素が無くなって苦しいだろうに、男は水面に顔を出さない。
三分ほど見届けて は部屋風呂を出た。
衣服を正して客室を出る。
何食わぬ顔で廊下を歩いた。
幸いと言うか、周囲に人はいなかった。
一般的に、日本において、旅館の一般客室前の廊下に防犯カメラなどついていない。
がこの時間この部屋にいたことは誰にも知られないと予想がつく。
――さぁ、ゲームを始めよう。
つぶやき、 は口の右端を少しだけ上げた。