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天滅の魔王-破天編- 1  作者: A.A.
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処女宮の守護天使

-林側


「もぉうそろそろ見えてくるよぉ」

「そう言えばアルセヴィア達、十二宮のガブリエルと交戦してボロボロだから一旦戻るって言ってたけど、こっちも倒したら戻る?」

「あぁ、流石にね?あ、戦う前にここで休息とらない?」

 林の中を走り出して30分位経っていた。ずっと動きっぱなしと言うのは戦うときに悪影響が出かねない。

「そうね、ここら辺で5分位休もう」

「はぁ〜い」

 三人は大木の一つにもたれかかる様に座った。

「にしても、アルセ…いや、あれはアリスティンとゲガルトの力か…」

「そうね…ガブリエルの重力強化は本当に凄かったはずなのにピンピンしてるって…」

「モグモグ」

「それに、まさか人と竜が融合するとはね…」

「キャラがカッコよくなったとか言ってたけど、どういうことたろ?」

「モグモグ」

『…何しれっと団子食ってるのよ!?』

 ツッコまずにはいられなかった。そう、ユニはおっとりとした天然少女の見た目に合わない大食いであり、団子が好物でいつも数本携帯している。今日は三色団子…ってそんなことより、ここで言わねば次の串に行きかねないのだ。

「なんかぁお腹が空いちゃってねぇ、悪気はないんよぉ?」

「…ハァ、それ食べたら行くよ?」

「りょぉうかぁい」

「それにしても…ユニが見た十二宮の天使ってどんな天使なんだろ?」

「行けば分かるよ。まぁ、私達で倒しちゃうけど」

「モグモグ」

(あぁ、でも美味しそうだなぁ…)

 でも、彼女の満面な笑みを見ていると仕方ないのだ。本当に美味しそうに食べているのだ。そして、彼女は食べ終えるとその笑みのまま立ち上がった。

「ふぅぅう美味しかったぁ…お待たせぇぇ」

(『か、可愛いぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!』)

 今まで気にもしなかったが、一度見てしまったらもう抜けられない。まるで我が子を見守るような気になってしまう。

「ええんよぉ?それよりもういいの?」

「うん、速く終わらせて皆でお団子食べよぉ?」

「・・・・ハッ!…そうね」

 クリプトは我に帰り、ゼラに火力を極度に抑えた『雷光矢』を放つ。驚いて体をピンとした後、『モーッ!』と頬を膨らました。

(お二人さんはぁなにをしてるぅんかなぁ?)

 ユニはその光景を不思議そうに見ていた。

「さぁ、行きますよ!早く終わらせて団子を食べましょう!」

「う、うん」

「おぉ〜」

『ちょぉっと待ったぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!』

 やって来たのは錬成術で生み出したバイクに乗ったダリアスだった。

「ウワッ!?って、驚かさないでよダリアス!」

「なんでお前がこっちに来てんだよ!?」

「アルセヴィアに頼まれたんだよ。『念には念を』って言ってたよ?」

「あっそっ…あ、バイク乗せてくれない?」

「無理だよ!これは私専用だよもん!」

「でもそれじゃお前が先突っ走っちまうじゃねぇか!』

「…しょうがない、バイクは戻すよ」

  惜しみながら彼女はバイクの錬成を解除し、三人の後ろを走るのだった。




「あらあら?見事にぶっ飛んで来ましたね…。まさかガブリエルさんがやられるとは…」

「やられてなんていない!クソ!次は絶対地面に這い蹲らせてやる!」

 ガブリエルはまだアリスティンから受けた攻撃の痛みを抱えたまま立ち上がる。

「…ガブは先に戻ってる。後は任せたよ、ハマリエル」

「ええ、任されました」

 不穏な気配を漂わせながら翼を広げ、痛みが続くお腹をさすりながら、街へと飛び立った。

「さて、私の相手は…おや、来られたようですね」

 林の中から表れた四人、雷を落としながら私以外を蹴散らす人が一人いるようです。

「どうやら、あなたがユニが見た十二宮の天使みたいね」

「いかにも、私はヒンメリア十二宮、『処女宮』の守護天使のハマリエルです。…なるほど、確かにガブリエルがぶっ飛んで来たのも理解できます」

「え?ガブリエルってアリスティンが倒したはずじゃ…」

「いいえ、お腹抱えて街へと戻っていきましたよ」

「…予想外ね」

「さて…長話もなんですから、始めましょうか」

「おいおい、なんだあれ?なにかのジョークか?」

「凄い!カッコいい!」

「興奮してる場合じゃないよ!」

 ハマリエルは長い槍を持ち、腕に少し大きめの盾を付け、まるでケンタウロスのような四本足を持つ女型の騎士となにやら物騒な大剣を構える騎士を生み出し、更に、少し見劣りする兵隊達を400体生み出した。

「ふふ、私のオリハルコンナイツ達とどこまで戦えるのかしら?」

「ダリアス…あれ、使ってくれ」

「了解!」

 その言葉を待っていたかのようにうずうずしていたダリアスは再びオーバーアームド状態になった。

「えっ?なんですかそれは?変身…ですか?」

『セーフティ解除、標的は騎士さん達!』」

(これは、まずいですね)

「全体、防御体制に入って!」

「『デトネイトオオオォォォォォォ…ブラスタアアアァァァアアア!!!!!』」

 放たれた放線は容赦なく騎士達に直撃し、爆風が瞬時に広がった。

「あぁ〜やっぱりこうじゃないと」

「にしても相変わらずの火力だな…」

「ちょっと待って、えっ?」

 確かに兵隊達は跡形もなく消えた。だが、騎士達は表面が少し削れただけだった。

「あの攻撃受けてピンとしてるやつが他にもいたとわね…」

「フフッ、どうですか?私の自慢の慈愛の戦乙女『ザーティェリベ・ヴァルキリー』と純真の聖騎士『ナイーヴ・パラディン』は?」

「やっぱり一筋縄じゃ行かないか…」

「流石に兵士『ポーン』達が一撃で消されるとは思いませんでした。正直驚いています」

「やっぱり火力強化を付与『エンチャント』すべきだったかな?」

『…!?』

 その場は困惑に包まれた。呆気に取られた。何を言っているのか分からなかった。

「あんなの錬成だけじゃ無理だよ。普通はあんなに拡散しないよ?」

「…そう、なの?」

「うん、付与『エンチャント』が使えるのは錬成術で生み出したモノだけだけどね」

(コイツ…バカだけどできる!バカだけど…!)

 今までただの火力バカだと思っていたが、改めねばならぬようだ、クリプト達はそう思った。

「でも、二発目放つには魔力足らないけどね」

(やっぱりただのバカだ…)

「さて、そろそろこちらからも行かせてもらいますよ?」

 聖騎士は見た目に合わない速さで間合いを詰め、大剣を振り翳して来た。

「…これは、私達には不利ですね」

「そんなときのためのゼラちゃんだよ?」

「待って、あなたじゃ逆に…」

『私の魔術を忘れちゃったの?』

「…あ」

 彼女は魔戦斧『ゼヴォルカン』の使い手であるが、その前に風魔法の気鋭だ。普段はゼヴォルカンの力が大きかったから忘れていた。

「ってわけで、私がやるから邪魔しないでね?」

「あぁ…、こればかりは任せるしかないわね」

「・・・・・その、出番なさそう」

 会話に夢中になっていると、騎士達は木っ端微塵に砕かれていた。ハマリエルは呆然としてその場を立ち尽くした。

「皆ぁ〜、片付いたよぉ〜』

『ハ?』

「もぉうちょっと固くてもよかったなぁ」

「何…したの?」

「うぅん?単純にぃ腕だけ魔王様の腕にしてぇ、殴っただけだよぉ?魔王様のぉ力には全く届かないけどぉ…」

(待って?『魔王様』ってことはディネア様のこと、よね?それなら…)

「まぁ、なにをともあれ…やったね」

「わぁぁい」

「そんな…私の自慢の二体を葬るなんて…」

「それじゃぁ、トドメを…」

「…面白いモノ見せてもらったわ。その褒美にちょっと本気出してあげる」

 砕かれた騎士達は彼女の周りに集まり、再び形を作り始めた。

「ん?またあの騎士達出してくるの?」

「いいえ、そんなことしませんよ」

 そして、その装甲は急速に装着されて行く。

「言ったでしょう、『本気をだします』と」

 彼女はオリハルコンの鎧に包まれ、騎士達の象徴たる大剣と盾をそれぞれの手に掴む。

「これが処女の星装『マリアス』。楽しいのは、これからですよ?」

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