プロローグ
コスプレとは俺にとってオンラインゲームと似た感覚である。
それぞれがコスネームというハンドルネームをつけて目的の為に活動する。
一人はその作品が好きで自分もその一つになりたいから
一人は色んな方に自分の表現を見てほしい
認めてもらいたい、同士を見つけたい
まぁ…人それぞれ理由はあるだろう。
だが先に言っておく。
これは俺がやった中で一番のクソゲーだ。
「ピンポーン」
埼玉県さいたま市のとあるアパート1室にてチャイムが静かに響き渡った。だが誰もでない。
「ピンポーン」
再度、留守か確認する様に2度目のチャイムが鳴る。だかやはり誰もでない。どうやら部屋の主は留守のようだ。
普通ならそう考える。
「ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!」
怒涛如く鳴り響くピンポンラッシュ。
「あぁ…くそ。うるせぇ、こちとら徹夜明けだぞ。こんな事するのは一人しかいねぇ。とりあえずやめさせねば…」
徹夜で重い体を頑張って起き上がらせてロフトから降りドアに向かう。
「ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!」
その間にも鳴り続く主を呼ぶ音。煩くてドアに近づくに連れ早足になる。
「うるせぇぇぇ!!今、何時だと思ってんだ!!はっ倒すぞ!」
勢いよくドアを開けてチャイムを止めさせる。犯人はやはり予想した自分がしたり顔で待っていた。
「やっぱり居留守使ってたんじゃん。また、徹夜でゲーム??よく飽きないわね。因みに今はもう昼の1時ですー。」
彼女は憎たらしい顔をして携帯をこちらに向け今の時刻を見せて来た。
「そうか、13時か。んじゃおやすみー。要件は夢の中でメッセージをどうぞー」
ーうん。1日11時間睡眠は取らねば。俺にとってはまだ寝る時間だ。
バイバイと手を振り静かにドアを閉めると
「ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!ピンポン!!」
再び怒涛のピンポンラッシュ!!
「あぁぁぁあ?!だからうるせぇーって!!」
扉を閉めた瞬間に再度チャイムラッシュって
なにこいつ。人の話聞いてた?馬鹿なの??死ぬの?!
「あんたが人の話聞かずに扉閉めるからでしょ!!こっちは大事な用があってきたのに!!」
「大事な用?めんどくさい用じゃなくて?ん、とりあえずあがれば?」
どっちにせよめんどくさい用なのは変わりないが睡眠と俺の耳を守るため話だけ聞くことにした。あとは要件だけ聞いて返すのが一番だな、うん。
しかしこの判断が全てを狂わせる事になったのだ。
昼だがカーテンの締め切った部屋の中
頬を赤らめて彼女が恥ずかしそうに言った。
「ねぇ…私と…して欲しいの…」
「は?」
徹夜のせいか、思考が一瞬にして停止した。