温かい腕の中で
何時かはわからないがお腹が空いて目を覚ます。
周りは薄暗く人がいる様子はない。
中身が35歳の大人なので、お腹が空いたと人を呼ぶのは気がひけるが、動けないので人を呼ぶ。
『ギャア』
手足に力を入れても動いている気はしないし、声を出しても、『ギャア』としか出ない。
なんとなく今の状態がわかってきた。将来は勇者だろうと今は力のない赤ん坊だ。
とりあえず泣こう。大いに泣こう。お腹が空いた。
『ギャア』
一度泣き始めると楽しくなってきた。
ギャアでは無くオギャーといいたいのだがなかなか難しい。
何度か試しているとコツが掴めた、息を吸って吐くタイミングを意識すると大きな音が出る。
「オギャー」
「オギャー」
と楽しく泣いていたら、抱き上げられた。
「@&¥@&¥」
うん、呼びかけられている気はするが、言葉はわからない。
「@&¥@&¥」
安心する事は確かだ。
差し出される胸から乳を飲む。幼児プレイで恥ずかしかったが、空腹には勝てない。味は薄かったがお腹が膨れて満足したら眠くなった。
大事なことだからもう一度言おう、将来は勇者だろうと今は力のない赤ん坊だ。
食っちゃ寝する事が仕事だ。