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CATCH!  作者: 龍之介
4/22

練習・練習・また練習!

すっかり『キャッチ』のとりこになってしまった吾郎。そして毎日練習漬けの日々が始まった。

 入部してすぐ、吾郎は笠井主将に、

『部室の鍵を自分に預けてくれませんか?』と、頼み込んだ。

『何故だ?』と不思議そうな顔をする笠井に、

『僕は1年ですから、最初に来て部室の掃除なんかをするのは当たり前です』と答えた。

 笠井は少し変な顔をしたが、口の重い遠藤が、

『渡してやれよ。』と言ってくれ、南雲もそれに同意したので、笠井は鍵を渡してくれた。

 実を言うと、吾郎の家は部員の中では一番学校から遠い。

 路線バスを使っても、たっぷり30分はかかる。

 当然ながらそんなに早く出てくる必要はないのだが、彼は一番に来たかったのだ。

(一番に部室に行って、一番沢山練習しよう)

 彼は、そう心に決めていた。

 朝練をやるためには、少なくとも普通よりは1時間は早く起きなければならない。

 午前六時、家族はまだ寝ている。

 初めは母を起こさないようにして、そのまま着替えを済ませると、何も食べずに家を出ていたのだが、そのうちに母も起きてきて、彼のために朝食を作ってくれるようになった。

 手早く食事を済ませ、家を出る。雨の日には小遣いで買ったゴムの雨ガッパを着て、歩いて家を出る。

バスは絶対に使わない、そう決心したのだ。

 部室に着くと、まず掃除と整頓をし、それからTシャツにスパッツに着替えて、トレーニングを始める。

 準備運動、ストレッチからはじめ、後は腕立て伏せ(50回)、スクワット(100回)、ブリッジ、腹筋を、やはり100回づつ、

 普通の人なら、確かに辛い。しかし彼は強くなりたいという一心で、中学の頃からこれらのメニューを続けてきたのである。

 それが、キャッチに出会って、ますます拍車がかかったというわけだ。

 この頃になると、先輩たちがやってくる。

 最初はみんなあきれ顔だった。

 しかし、そのうち、彼の熱心さが本物だと分かってきたようで、みんな彼と、ほぼ同じくらいの時間に表れて、朝練に付き合ってくれるようになってきた。

『スクワットは確かに足腰の鍛錬にはいいが、やり過ぎるなよ。却って膝を壊すぞ』(遠藤)

『バーベルやダンベルはあまり効果がないぞ。見せかけの筋肉と、闘える筋肉は違うんだからな』(笠井)

『トレーニングは頭を使ってやるもんだ。いや、正確にはトレーニングだけじゃない。これから先、いろんな技を覚えるようになってきたら、常に考えろよ。格闘技は頭だ』(南雲)

 言葉は少ないが、先輩たちのアドヴァイスは無駄がなかった。

 吾郎もそれに従って、毎日、毎日身体を鍛え続けた。

 勉強は別に嫌いではなかったが、それ以上に、彼にとって道場は、なくてはならない場所になってきた。

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