表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CATCH!  作者: 龍之介
16/22

死闘!第二試合 その2

強敵、有馬の前に戸惑う吾郎!

『吾郎、どうした?』コーナーに戻ってきて、一番最初に声をかけてきたのは遠藤だった。

 椅子に座らされ、タオルで煽られる。

『先輩・・・・あいつ、強いです。』

『当たり前だ。奴は総合の全国大会に二度も優勝してる強者だぞ』彼の足をマッサージしてくれながら、遠藤は言った。

『いいか?何と言ってもお前はまだ駆け出しなんだ。使える技だって限られてる。今まで通り、これは試合じゃなくって練習だと思え!』ホイッスルが鳴り、セコンドアウトの合図の間際、鮫島がそう言って、肩をぐっと抑えた。

 吾郎は肩を振り回し、しこを二・三回踏んだ。

 顔を両手でパンパンと叩く。

(そうだ・・・・これは試合じゃない。練習なんだ!)

 相手があまりにも強すぎて、それを忘れかけていた。

 中央のサークルで、再び有馬と向かい合って立った。

 有馬はもう既に、涼し気な顔をしている。

『・・・・・』

 黙ったまま、握手をし、パッと分かれた。

 向こうからは攻めてこない。

(ようし、それなら今度は!)

 そう考えた吾郎は、ぱっとマットを蹴って、相手に向かってダッシュした。

 タックルを狙うつもりだ。

『いかん、やられる!』

 冷静な南雲が珍しく感情的な声を上げた。

 有馬は、吾郎の動きを察知していたかのように、横にパッと身体をよけると、彼の右腕をとり、柔道の大外刈りの要領で、吾郎を仰向けに倒した。

よけようがない。

 そのまま仰向けに押さえつけられた吾郎は、マットの上にあおむけにされた。

『吾郎、動け!』

 笠井が両手を口につけて叫ぶ。

 吾郎は身をよじり、必死でもがき、どうやら片方の肩を持ち上げた。

 だが、その瞬間、有馬の長い腕が巻き付くように、吾郎の右ひじをとらえた。

 アームロック(腕絡み)である。

 しかしまだ完全には極まっていない。

『吾郎、身体をあんまり上げるな!肘が極まるぞ!』

 恐らく鮫島の声だろう。陣営から声が飛んだ。

 確かに、まだ不完全だ。

 いつもスパーリングの時に完全に極まると、身動き一つ出来ないのだ。

 だが、痛い。

 吾郎は必死で痛みに耐えた。

 少しづつ、少しづつ、身体を動かし、向こうの力に耐えようとする。

『ギブアップか?』

レフリーが身をかがめ、吾郎に声をかける。

しかし彼は黙って首をふるばかりだ。

 そして、どうにか相手の関節地獄を振り払い、身体を起こした。

 有馬は相変わらず無表情のままである。

 吾郎は立ち上がるとすぐに身構えた。

『吾郎!無理すんな!時間を稼げ!』誰かの声が飛んだ。

 そして、もう一度彼がタックルに行こうとした時、二ラウンド終了のブザーが鳴った。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ