死闘!第二試合! その1
第二試合、思わぬ苦戦を強いられる吾郎、
『では、握手を』レフリーに促されて握手をした。
今度の対戦相手は『有馬』というらしい。さっきの熊谷に比べてごつくはないが、身長はさほどでもないが、腕と足は長い。
握手をしなが、それとなく吾郎は相手の様子を観察したが、笑いもせず、かといって闘志を前面にだしているという感じでもない。
『はじめっ!』レフリーの宣言とともに、ブザーが鳴った。
二人は少し距離をとって構え、互いの様子を測るような感じだ。
(あの手足の長さだ。迂闊に出たら・・・・)
吾郎は考えた。
向こうはタックルか、長い手足を絡め、引き倒すか、投げもあるだろう。
『吾郎!ファイト!』後ろから先輩の声援が飛んだ。
次の瞬間、有馬選手が、だっという感じで前に出た。
あっと思う間に、吾郎はバックをとられ、そのまま腰を極められて投げられた。
バックドロップである。
だが、態勢が悪かったせいか、不完全に終わった。しかし、右の肩口をしたたかに打った。
(痛ぇ・・・・)
そう思う間に、有馬の長い手足が、バックから絡みつくように捕らえて離さない。
このまま、腕でも足でも自由に極められる・・・・
恐らく相手はそう思っているに違いない。
そうはさせまいと、吾郎は必死の抵抗を試みる。
二人のもみ合いが続き、両陣営から白熱した応援の声が飛び交った。
ブーッ!
第一ラウンド終了のブザーが鳴り響いた。
(もう三分たったのか・・・・)吾郎は肩で息をしながら立ち上がった。
相手の有馬は、額の汗を手でぐっとぬぐったが、相変わらず無表情のまま、自陣のコーナーへと帰っていった。