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いざ、出陣、その2
いきなりレギュラーを告げられ、動揺する吾郎であったが・・・・
『え?』吾郎は最初、主将が何を言ったか理解できず、目をぱちくりさせた。
『試合さ、決まってるだろ?』
南雲がほほ笑みながら後をつづけた。
『そ、そんな・・・・無理ですよ。だって僕は、まだここに入ってからようやく半年にしかならないんですよ!』吾郎は慌てた。
自分の技術じゃ、幾らなんでもそんなところに出ることはできない。
『心配するな。お前ならやれるよ。』
タオルで汗をぬぐいながら、怒ったような声で遠藤が言う。
『確かに十分とはいえないが、お前は基礎だけは呑み込めてきた。次は実践だ。経験が人を強くするんだ』
笠井がポン、と肩を叩いた。
まだ何か言おうとした吾郎に、
『さあ、そうと決まったら練習あるのみだ。やろうぜ!』
南雲が手を叩いた。
吾郎は沿道に促されて、もう一度マットの上に戻った。
『行くぞ!』
遠藤のタックルが容赦なく彼に襲い掛かってきた。