B・R end
「でもまさかジョシュアが帰ってくるとは思わなかったよ…」
「そうね」
「あの冷徹なジョシュアがサイズのこと、あんなに惚れ込んでいたっつーのも気付かなかった…」
「でもずっとサイズの近くにいたんでしょ?
目を離さないで、片時も傍を離れないで。
…それって彼らしい優しさじゃない」
「冷たい奴だと思ってたけど、サイズにだけだよな。
言われて気付いたけど、ずーっとサイズのこと見てたし……。
ランスロットにも驚いたけど、ジョシュアの惚れ込みようったらすごいよな」
「ランスロット様もジョシュア様と本気でやり合う為に婚約状を出したんでしょうね」
「そうだ、驚いたのはあれだよ。
…バレットがあの赤毛のヴァンパイアに嫁いだこともだけど、エミリオとアルク!」
「あら、どうして?」
「だってあの弱々しいエミリオが、アルクとこの屋敷を出て、街で暮らしてるんだぜ?」
「素敵よね。元気にしてる?」
「アルクは人嫌いが少し良くなってたよ。
エミリオもまだまだ子供だけど、アルクを護ろうと必死に強くなってる。
……二人とも元気だ」
「そう、…嬉しい」
チャールズは唾を飲む。
きっとこの緊張は彼女にも伝わっているはずだ。
目が見えない彼女は、なにより人の気持ちに敏感だから。
ヴァンパイアが屋敷に入り込んでいる事を隠していたチャールズだったが、結局気付かれてしまったし。
誰より彼女は穏やかで包むような優しさを持っていて、
……だからチャールズは、
そんな彼女を
「……ブレイド」
「なぁに?」
「……愛してる」
「…うん、…分かってるわ」
明日、二人は晴天の下で式を挙げる。
互いに気持ちを伝え合うように、優しい口付けをかわした。




