表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B・R  作者: ルイ《wani》
PR
13/20

B・R 12

「……いい加減出てこいよ」


バレットはルイスの肩に頭を預けて眠りに落ちている。

暗闇の廊下に問いかけると、微かに物音が返ってきた。


「存じてましたか」


ばさり、と外套マントの揺れる音。

闇から月下に姿を現したそれは、目元だけを黒い仮面で覆っている。


「同族の気配くらいわかる…。

それでロスト、テメー何してる」


赤い髪は幻想のように揺れる。

そこから覗く視線は刃物のように鋭い。

ロストと呼ばれたヴァンパイアは肩をすくめた。


「何って……兄の手伝いですよ。

面倒ですが、貴族をさらってこいとのお達しです」


「馬鹿野郎。人間に手ェ出すのは王によって禁止されている。

兄を諭すのも弟の役割だろ」


「貴方のように、人間と恋に落ちろと言えば良かったですかね」


面白い皮肉を言えたことに満足してか、仮面から覗く口元がにやりと歪む。

ロストは他の部下とは別格。ネフィリムの弟という立場もあり、今回の件に仕方なく付き合っていた。


「まぁ…兄がどうなろうと、ボクは興味ありません。

…コウモリの噂で聞きましたが、

あの『女王の犬』が動いてるそうじゃないですか。

兄と離れて単独行動してなきゃ、ボクも殺されて終わりですよ」


「……じゃあもともと今回の件は命令されただけだと…?」


ぎり、と拳を握るルイス。

バレットは静かに眠っている。


「こいつに傷を負わせておいて、興味がねぇとか言うんじゃねぇ。

…本当ならテメーをこの場でぶちのめしてぇんだ俺はっ…!」


「ああ、ボクを王の下で裁くつもりですか?

……構いませんよ、ここには飽きましたから。

……では参りましょう」


ばさり、と外套ではない羽ばたきが響く。

ルイスは寄りかかっているバレットを見つめる。


少し揺るめの三つ編み、

白い寝間着から覗く細い手首、

微かに揺れる鎖骨。


彼女の指に光る赤い指輪を優しく抜き取り、額に触れるだけのキスを落とした。


「……ルイ、ス」


寝言だった。

バレットの言葉に一瞬驚くが、ルイスは軽く笑う。


「…またな」










「バレット姉様!」


妹の声で目を覚ます。見慣れた天井。

妹のサイズが覗き込んでいる。


「無事で良かった…!

あっ、バレット姉様が気が付いたって、知らせてこなきゃ!

まだ動き回っちゃ駄目だからねっ!」


ばたばたと部屋を出ていくサイズ。

まだぼうっとする頭を右手で軽く抑える。


「……っ!」


彼女は気付く。


大切な指輪がないことに。


「…ルイス…っ」


そしてその指輪を持っていった彼が、姿を闇に戻したことに。



もしかしたら、

もう二度と会えないことに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ