日常生活
俺達は、『魔導師』と言われ恐れられている。
生まれつき『魔法』が使える人間、つまり魔導師は別の世界に転送される。
そう、なぜなら魔導師以外の無力な人間達にとっては魔導師は『恐怖』だ。
自分達より偉大な力を持っている。
何をされるかわからない。
だから、恐怖で脅える、人間達。
恐怖の存在をなくすために人間が考え抜いた結果、それは、魔導師達が無力な赤ん坊のうちに『異世界に転送』すること。
俺も・・・その中の一人だ。
全く異なる、『異世界』で。
両親も、兄弟も・・・いない。
家族の中で、俺、一人だけが魔導師だったから。
俺は、一人ぼっちで異なる世界で暮らしている。
だけど、きっと・・・きっと、いつか、家族に会えないだろうか。
※
本格的に冬になってきている。
気温が急激に寒くなりつつある。
白い息が出ている人もいる。
俺は『フェリア魔導師 育成学校 中等部』へ登校中。地味に長いし、フェリアの部分をお洒落にしている気がする。フェリアはこの学校の偉人や設立者の名前を取ったわけではないらしい。偉人や設立者の名前とかだったら、納得するかもしれない。かも。
とにかく、登校中だ。
今朝、登校するとき寒いかもなー、と思い、制服の上から厚手の灰色のコートを羽織っているというのに、・・・寒い!
あああ。寒い。寒い・・・。
「影斗、かなりガタガタ震えてるけど、大丈夫?」
一緒に登校している幼なじみの{三神 叶恵}が心配そうに俺のほうをジッと見ている。寒いとは思ったが、そんなに震えていたか?心配そうにジッと見られるとかなり気まづい。
「おう、大丈夫だ」
と返事をしたものの、正直、大丈夫じゃないが・・・。
まあそれは置いといて。俺は朝一から驚く出来事が起こった。
【学校には二人以上で登校すること。】という規則があるので叶恵をでいつも通り待っていた訳だが、叶恵を見た瞬間・・・頭の中が真っ白になった。いつもは茶髪のショートヘヤにしている。
だが、今日の叶恵はちがった。叶恵は少し髪を横に結んでいて、イメージとちがった。
イメチェンとか言うやつか?可愛い・・・
俺は頭をブンブンと振って思考を直す。なんでだろう。
なんで、『可愛い』なんて思ったのだろう、顔が少し熱を帯びた気がした。まあ、気のせいだろう。うん。
そんなこんなで、叶恵が「今日の授業なんだっけ?」「また、『あの』話だろ?」「またかー。はぁ」とか日常会話をしながら歩いていたら、学校についたようだ。
あー寒いし疲れたー。朝の叶恵、印象ちがったし。と考えていたら、叶恵がいきなり話しかけてきてものだから俺は少し肩をビクッと震わせた。
「学校近くてよかったー。って毎回思うなー。影斗もでしょ?」
な、なんだよ。びっくりしたじゃないか。いきなり。
「まあ、そうかもな」
ここは適当に答えておく。
「ふふっ。やっぱり」
にっこりと笑う叶恵。今日の叶恵どうしたんだ?
「ま、早く教室いこう。・・・寒し。」
「うん!そうだね」
相変わらず元気だなと思いながら、俺は叶恵を促して、校舎の中に早足で歩いていった。
「ここは風が当たらない分暖かいな。」
「そうだね。思ったより暖かいね」
会話をしながら土足から学校内で履く靴に履き替える。教室につくまで会話は続く。ようやく教室に入ると俺と叶恵にそれぞれ声がかけられた。
「あ、よう!影斗!最近、すっげー寒いよな」
「お、悠希か。ほんと、寒いな」
「叶恵ーおはよー!うぅ、さむ。」
「凛ちゃん!おはよー!大丈夫?」
「うん、大丈夫。叶恵、寒くないの?」
「平気、平気!」
俺は友達の{蘖 悠希}と、まあ色々と話していた。叶恵は席について、授業の準備を終えて友達の{柚木 凛音}と楽しそうに話していた。俺は悠希と話していると、授業の始まりを告げる鐘が校舎中に響き渡った-----
それから一時間経ち、ついに授業の終わりを告げる鐘がなった。
今回の授業の内容は、俺達、地中で暮らす、魔導師と、地上で暮らす、特別な力を持たない人間との関係だ。この授業は何回目だろうか。
授業が終わると悠希が俺のほうに近づいてきた。
「あーーーー!疲れた!なんでこんな話、何回も聞かないといけないんだよ!?」
「それを言いにきたのかよ・・・」
愚痴を言いにきたのか。
十分くらい過ぎただろうか、本日、二回目の授業の始まりを告げる鐘がなった。
それから、昼・・・というより夕方の4時ごろに授業を終え、叶恵と下校したのだった。
思っていたより、長くなってしまいました。最後まで読んでくれたかたありがとうございます。次回、更新が遅れるかもしれません。ごめんなさい。読んで、楽しんでいただければと思います!
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誤字などがありましたら、教えてください。