表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/137

85.外出許可

 コンコン



 アニスさんに質問しようとしたところでノックがした。

 誰だろう?よくここに来るのはメルバさんかフェラリーデさんくらいだけど…。



「リードです。入ってもよろしいでしょうか?」



「はい。どうぞ。」



 フェラリーデさんだ。どうしたんだろう?

 午後は特に予定はなかったはずだけど…。





 *******************



「それじゃあ、明日買い物に行ってもいいんですか?」



「ええ。追い出すようで申し訳ないのですが…。」



「いいえっ。嬉しいですっ。驚きましたけど。」



 ぶんぶん首を振ってフェラリーデさんに感謝を伝える。

 近場で隊士さんの護衛付きでって制限はあったけど、文句なんてとんでもない。



 何でも、ルシェリードさんが後見についてくれたのが相当目立ってるみたいで、小柄な私は狙われやすいのだとか。

 自由に外に出れるようになっても、隠れて警護はつけることになるだろうと言われた。お手数かけてすみません。



 フェラリーデさんの用事は、私にカードの使い方を説明するのと外出して欲しいというお願いだった。

 何でも明日、あのヒト嫌いのエルフを含む治療に携わる方々がここに集まるのだそうだ。



 こないだのエルフ程じゃないけど、ヒト族に良い感情をもってないエルフも混じってるとかで、顔を合わせない方がいいだろうと特別に外出許可が出たらしい。

 メルバさんが「閉じ込めるなんて可哀想でしょ~?」と言ってくれたそうだ。



 ありがとうございます。メルバさん。

 ちなみに、アニスさんは私のことを知っていた。私の警護が必要だとわかってから、身の回りの世話をしてくれているアニスさんには私のことを話していたそうだ。



 アニスさんはヒト族を直接知らないらしく、メルバさんから聞くあー兄ちゃんの話が大好きで、ヒト族に嫌悪が無いエルフだ。

 私の話を聞いて、異世界に飛ばされた私を労わり、よろこんで協力することを約束してくれた。



 その時の光り輝く笑顔に悩殺されかけたのは内緒だけど。

 女性の味方が出来たのも嬉しいことだったし、相手がアニスさんだったのも良かった。



 アニスさんは話しやすいし、とてもいいお嬢さんだ。

 事情を知ってるのが仲良くなりたいタイプのひとだっていうのはとても幸運だと思う。



 カードの使い方は、実際に医務局の装置を使わせてもらって体験した。

 装置の上にかざしたら簡単に情報が出て来て驚いた。



 こういうところもプリペイドカードみたいだ。

 IC定期券みたいで何だか懐かしい気もする。



 それでわかったのは、情報が全部出て来るのは、お役所のような場所でないと無理だということ。



 守備隊の医務局には、重症だったり、特殊な患者が来るので身元確認とカルテを作るのに置いてるそうだ。ちなみにカルテも元ネタはあー兄ちゃん。もう驚かないけどね。



 お店で使う時は、通常は名前と性別、それに魔素の情報が出るくらいで、本人でないと情報が引き出せないので、表示されるだけで充分らしい。



 そうそう。魔素というと、カードを渡されてからやってた訓練。あれで私の魔素をカードに覚えこませたんだとか。



 聞いて驚いたけど、そのための朝一の訓練だったのかなと納得もした。

 ヒヨコもどきの治療だけなら、訓練の時間をずらす必要ないもんね。



 そんな事情もあって、魔素の移動は基礎訓練として徹底的に習得させられると、フェラリーデさんに教えてもらった。

 ホントに魔素が生活に密着してるんだなあ。訓練頑張ろう。



 それで、魔素を認識させないと情報もお金も引き出せないので、黒の魔素持ちの私はもしカードを落としたとしても他人が使うことは出来ないから心配はいらないそうだ。

 落とす気もなくす気もないけど。



「どこか見に行きたい物はありますか?」



 アニスさんも案内役として付いて来てくれるらしく、ニコニコ話してくれる。

 そうだなあ。雑貨もみたいけど、服も見たいかな。



 さっき試着して、楽しかったんだよね。もうちょっと種類が欲しくなった。

 クルビスさんは何色が好きなんだろう。



「そうですね。さっき、服を試着して、柄の服も見たくなったんですけど、近くに服屋さんってありますか?」



「ありますよ。幾つかあるので、ご案内しますね。」



 やった。楽しみ。

 こっちの染物って綺麗なんだよね。



 サンダルは別にいいかな。揃えてもらった2足があるし、サイズは大丈夫だったし。

 袋の中身は裁縫道具やタオルなど身の回りのものだったし、最低限必要な物は揃えてもらえたから、他に欲しい物は思い付かない。



 まだここでお世話になるから、あんまり物は増やせないし、必要なものだけ買うようにしよう。

 とりあえず、服だよね。クルビスさんにも見て欲しいし。



 助かるのは、欲しい物に関してお金の心配はいらないことだ。

 ルシェリードさんがカードに入れてくださってたんだけど、それがものすごい金額みたいなんだよね。



 カードの情報を見せてもらった時、名前なんかはエルフ文字で書かれていたから読めなかったけど、数字はわかった。



 数字としては100000だったけど、こっちの貨幣はドルに近い感覚らしく、実際の価値は10000000くらいだそうだ。

 物価はわからないけど、フェラリーデさんが硬直してたから、こっちでも大金なのはわかった。



 日本円に換算した時、心臓が止まるかと思った。

 ホント勘弁して下さい。庶民にはキツイわ。



 ルシェリードさんってやっぱり王様なんじゃないの?

 クルビスさんもこんな金銭感覚だったらどうしよう。今度それとなく聞いてみようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=279034186&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ