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70.ストライキ

 ******************



 治療を始めてから数分。手の中の毛玉がもぞもぞ動き出した。

 気が付いたのかな?



(もうちょっとだから、大人しくね~。)



 心の中で話しかけつつ、細く長く息を吐く。

 呼吸が一定なのが大事だって昨日聞いたから、ここで乱してはいけない。



 ギュッ



 そう思ったらクルビスさんが私の手を覆ったまま握ってくれた。

 大丈夫だ。って言われてるみたい。



 うん。がんばろう。

 もうちょっとなんだから。



「プギッ。」



 そんなことを考えてたら、ポンっと跳ねるようにヒヨコもどきが頭を出した。

 そして、何故かクルビスさんを見上げて固まった。



(どうしたんだろう…。まだ動けないのかな?)



 (うかが)うようにクルビスさんを見ると、こちらに気が付いて微笑んでくれた。

 あ。大丈夫そう。



「ピギッ。」



 ヒヨコもどきがこちらを向く。

 すると小さな目を見開いて私の腕に飛び乗ってきた。



「え。ちょっ。」



 治療は?もういいの?

 慌ててクルビスさんを見ると深々とため息をつきながら頷いた。



 あ。いいんだ。

 ホッとして腕を上ってこようとするヒヨコもどきを捕まえる。



「こらっ。ジッとしてなさい。」



 治ったばかりなんだから。

 手の平の上に戻すと、身体をプルプルして毛づくろいを始めた。



「もういいのかな~?」



「プギッ。」



 メルバさんが手元を覗き込むと、ヒヨコもどきがふんぞり返った。

 やめなさい。手から落ちるから。



「ふふっ。一応大丈夫みたいだね~。でも、なんでご飯食べなかったんだろうね~?」



 メルバさんがヒヨコもどきの頭を撫でつつ聞いている。

 確かに気になる。何かの病気だったのかな?



「恐らく、ハルカに会うためだと思われます。」



 クルビスさんがメルバさんに答える。

 …私?



「私にですか?」



「ああ。倒れてた所をハルカに拾われただろ?同じ状況になれば会えると思ったんだろう。」



 え。それで食べなかったの?

 ストライキってこと?



「…何だかそうみたいだね~。ストライキ起こしたんだ~。君~。」



 メルバさんが苦笑しながらヒヨコもどきに話しかける。



「プギィイ…。」



 メルバさんの問いかけに力なく鳴く。

 何だか返事してるみたい…。



(ええっ。じゃあ、ホントに自分でやったの?この子。)



 この子ってセパっていう動物のヒナなんだよね?

 セパってすごく賢い動物なのかな?

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