66.エルフは和風好み?
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用意した差し入れは1分足らずで無くなりました。
いやー。すごかった。早送り映像見てるのかと思った。
ルシン君はどら焼きも気に入ったらしく、1口食べたら「おいひいれすっ。」と言いながら次々に口に放り込んでいた。取り皿意味無くなってたもんね。
それを見て、「お行儀悪いよ~。喉詰まらせるよ~。」という言葉をかけようとしたら食べ終わってました。
ドラゴンの子って皆こんな感じなのかな…。
ちなみに、メルバさんとフェラリーデさんはささっと自分の分のどら焼きを確保してました。
…素早いですね。いつもの優雅さはどこへいったのか。
「ふ~っ。ごちそうさまでした~。美味しかったです。ありがとうございました。」
お粗末様でした。
ルシン君の前からお皿を除けて、お茶を目の前に差し出す。
「ぼく、あんなに美味しいの初めて食べました。黄色いのは口で溶けてびっくりして、パンのやつは中に甘い紫のが入っててびっくりしました。でも甘すぎないからいくらでも入りました。」
食べ終わったルシン君はお礼の後、感想を矢継ぎ早に言ってくれた。
…そんなにいろいろ良くわかったね。ものすごい速さだったのに。
「あ、ありがとう。口に合ったみたいで良かった。」
ルシン君の勢いに押されつつ、何とか返事をする。
何が驚いたって、あの速さだったのに食べたものの色や味の感想も入ってたこと。
これもドラゴンの高いスキルのおかげとか?
無駄に高いな…。
あ。気が付いたらフェラリーデさんがうっとりしてる。
味も気に入られたようですね。良かった。
「美味しいね~。パンと餡子がこんなに合うなんてね~。」
メルバさんもにこにこしながら食べてくれてる。
気に入ってもらえたようで何よりです。
「私も朝にパンを食べて驚きました。食べなれた味だったので。
それを差し入れを作るときに思い出して、どら焼きを作ったんです。」
メルバさんにどら焼きを作った経緯を説明する。
本当に思い付きで突発的に作ったんだよね。
思い付いたらルドさんに聞いてたし。
ルドさんが良いひとで良かった。
「作ったといっても、皮の生地も厨房で余ってるのをいただきましたし、皮を焼いてくれたのはルドさんだったので、こんなにふっくら出来たのはルドさんのおかげです。」
「ホントに美味しいよ~。ふわふわの生地と餡子が一緒になって。
クリームもいいけど、餡子も美味しいんだね~。ルド君にも後でお礼言わなきゃ~。」
「ええ。パンの柔らかさと、あんこの滑らかさが素晴らしく合いますね。
こんな食べ方があったとは、考えもしませんでした。せいぜい蜜をかけるくらいだとばかり思っていましたから。」
うっとりしたままフェラリーデさんがどら焼きをほめたたえる。
ただのどら焼きですけどね?
この分だと善哉や汁粉も受けそうだなあ。
エルフって甘党っていうか、和風好みだよね?